神住マウ山林ニテ
茂み事件の後日談です。椎岳の時空獣についての話です。
椎岳の事件を解決させたファヴロスは利己崎アケンの社でひとまずの休養をとり、怪揮も椎岳での用事を済ませていた。だが、ファヴロスにはアケンが何者かは全く知らない。それに何でこんな事件が起こったのかに悩んでいたのだ。そこで怪揮は今回の事件を交えつつアケン達椎岳の時空獣について説明を始めた。当然アケンの許可を取って。
「あの事件の原因はまずアケンの親父達が何者かを説明せねば始まらん。彼らは陰陽神族と呼ばれる時空獣種族で、アケンの親父はそれらを纏めているってわけよ。さて、その陰陽神族がどういう種族かだが、これはだな…」
「我輩からも説明させろ。」突如アケンが話に割り込んだ。自分の口からも説明したかったと見える。
「元々我輩達は体の半分は獣間と変わりないがもう半分程に精神体、すなわち幽霊が混じっている様な物でな、心の在り方が直接体調に影響を及ぼすのである。そのため、心構え次第で何百何千年でも生きていられ、精神力を怪能力として発揮出来るが、心が壊れりゃそのまま死に直結してしまう。」
「まさか、陰陽神が何か恨みや怒りを溜め込んだら…」突如ファヴロスは思い出したかのように意見を出してきた。そしてアケンは思い詰めながら返事を返してきた。
「そう、押さえきれなくなった負の感情が怪能力ごと暴走を起こす。この現象を感情暴走と我輩達は呼んでいるのだ。」
アケンの説明に戦慄したファヴロスに、怪揮は話に戻るように喋り出した。
「言って置くが、感情暴走自体は陰陽神族に限った現象ではない。精神力の弱い時空獣なんかもこの現象を起こしやすい。ファヴも気をつけるに越したこたあ無いってもんだ。」
怪揮の説明が恐ろしくなったファヴロスは遂にダウンしてしまった。それを見て怪揮とアケンは反省点を会話した。
「やはり俺らの説明が難しすぎたか。ファヴが完全にのびてるぞ。」
「いや、彼は賢い。今の説明も一から十まで理解していたであろう、これはショックから来る目眩である。目を覚ましたら特製の薬膳鍋をご馳走しよう。」
「親父の薬膳鍋は旨いからな、ファヴも食べれば絶対レシピを教えろと迫るだろうよ。」
「またまた、お前が家でも食いたいだけだろう。」「ちげえねえ。」ハッハッハッハッハ!
アケン特製の薬膳鍋は芳しい香りをほとばしり、心の整理がついたのかファヴロスの目が覚めた。
他の陰陽神達も鍋に集まり、怪揮とファヴロスは薬膳鍋を美味しくつつくのだった。
如何でしたか、毎度期待を裏切り申し訳ありません。
今回が久々の投稿となりました。いつ投稿するかわかりませんのでご了承を願います。