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CLEATER  作者: ディノニクス
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3/9

時空進化ハ波止場二テ

依頼のない単鉱探偵事務所のひと時です。

単鉱怪揮が初めてファヴロスを釣りに誘います。

お楽しみいただければ幸いです。

此処は単鉱探偵事務所。民葉町で起こるあらゆる物事を解決する事務所である。

今日は全く依頼が来ず、単鉱怪揮は暇を持て余し、ファヴロスはようやく休めるとばかりに眠っていた。

彼らの生活は常に依頼次第。故に休日もまた依頼次第なのだ。

余りの退屈に怪揮の苛立ちは頂点に達し、寝ていたファヴロスを叩き起こしてこう言った。

「起きろファヴロス!釣りに行くぞ釣り!!」

折角気持ちよく寝ていたのを叩き起こされたファヴロスにとってはたまったものではなく、眠そうに目的を聞いた。

「何で今から釣り何ですか?」

それを聞いて怪揮はかなりシンプルな理由を話した。

「暇だからだよ。依頼もちっとも来んしな。」

怪揮の直球さにファヴロスは遂に観念して釣りに同行することにした。


場所は変わって此処は民葉近くの堤防。此処は単鉱怪揮が依頼のない日に良く来る釣り場である。

早速釣りを始める怪揮だったが、「此処では何が釣れるんです?」とファヴロスが質問すると、怪揮は答えを返した。

「そうだな、魚は勿論、時空獣もよく釣れるもんよ。」

怪揮の予想外の答えにファヴロスもこう返してきた。

「獣間も釣れるんですか!?」

それを聞いた怪揮は、改めてファヴロスに説明を始めた。

「そうとも。ここ民葉に住む時空獣のもう半分が民葉で生まれたと話したんだが、何故かはまだ聞いてなかったな。実はクレーターは地球上の生物の進化を多様化させ、時空獣へと至らせたからだ。雲から出現した時空獣もそのまま住み着く事がほとんどで、自らの子孫を残した事例も多い。」

この説明を半信半疑で聞いていたファヴロスだったが、怪揮の釣りを一目見て納得することとなる。


釣竿に確かな手応えを感じた怪揮はすぐさま竿を引き上げるが、事もあろうに凶悪な面構えの怪魚を釣り上げてしまった。

しかし、その怪魚「カイヴァス」はすぐさま糸を食いちぎり、明らかに弱そうなファヴロスに目を付けたのか、いきなりファヴロスに襲いかかった。

逃げ惑うファヴロスに追いかけるカイヴァス。

そんな騒動を岡目八目に見ていた怪揮だったが、すぐさま一眼レフカメラ「ダヴィンガ」を取り出し、起動したダヴィンガは猟銃の姿へと変わっていった。

こうして戦闘準備を終えた怪揮はダヴィンガの銃口をカイヴァスに向け、これを発射し、命中させた。

この時カイヴァスは死にはしなかったが、怪揮は明らかにカイヴァスの怒りを買ったのだ。

こうしてカイヴァスの矛先は怪揮へと移り、波止場の戦いの火蓋は切って落とされたのであった。


先攻はカイヴァス。スズキから進化した彼はエラ洗いが進化した「ハイドライブ」で縦横無尽に波止場を駆け巡る。これが時空獣の持つ能力「時空界能力」である。

カイヴァスの素早い動きに怪揮も翻弄されるが、彼もまた百錬練磨の狩人。幾度となく時空獣と戦い、打ち勝ってきた経験を活かしてカイヴァスに応戦する。しかし幾ら弾を撃ってもカイヴァスに当たることはなかった。その一方でカイヴァスも怪揮にただの一撃も食らわすことは叶わないままだった。

こうして一進一退の攻防が続いたが、カイヴァスもやはり魚。長い間陸で活動していた為、酸欠を起こしてしまった。この千載一隅の機会を逃す怪揮ではなかった。

怪揮は弱ったカイヴァスのエラに銃口を押し当て、引き金を引く。

放たれた銃弾はカイヴァスをエラから一挙に貫き、カイヴァスはこの一発の銃弾の下遂に事切れた。

怪揮は仕留めたカイヴァスの遺骸を抱え、ファヴロスに帰路につくよう呼びかけた。


事務所に戻った二人は、ひとまずの休息をしていたが、怪揮はよりにもよって持ち帰ったカイヴァスの遺骸を調理して食べようと言い出した。

驚きを隠せないファヴロスだったが、怪揮の無茶は最早治りそうもないと諦めて調理にあたった。

ファヴロスは何故か慣れた手つきでカイヴァスを調理していき、やがて見事な料理が出来上がった。

カイヴァスのアラ煮汁を飲みながら怪揮はこう言った。

「お前が料理好きとは意外だったば。これからは飯の支度をやってくれ。」

ファヴロスは「それより怪さんが獣間を食べている事こそ意外でしたよ。」と返した。

この的確な返しに怪揮も「違えねえ。」と笑い、ファヴロスも苦笑いをした。


こうして今日も単鉱怪揮や民葉町の新たな一面を知るファヴロスであった。

お楽しみいただけましたか。

相変わらす期待を裏切って申し訳ございません。

今回はカイヴァス戦に於いて少し残酷な描写を描いてみました。

また機会があったらお会いしましょう。

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