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CLEATER  作者: ディノニクス
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奇妙ナ探偵ト怪獣ノ街

初めまして初投稿です。

変わり者の人間と常識ある怪獣の奇妙な共同生活はここから始まります。

とある街の交差点。此処では交通戦争を繰り広げていた。

青信号にも関わらず車に轢かれる者がいるばかりか、車が車を轢いてそのまま走っていく事も多い。

特に今日はいつも以上に熾烈な争いが繰り広げられていたが、無謀にも一匹のトカゲが割り込んで来た。

このトカゲ、車と同じ大きさではあったが、やはり生物。鉄で出来た車には敵わないと誰しも思っていた。


しかし、トカゲは車を頭から押し上げ、そのままひっくり返した。押し上げられた車はもとより、その前にいた車もたまったものではなく、あれよあれよと車達はひっくり返り、そのまま爆発炎上した。

その場に居合わせた歩行者にとってこれは地獄絵図であった。怪獣映画さながらの光景が今そこにあった。そう、このトカゲは正に怪獣であった。

そこに突如、一発の銃声が鳴り響く。弾は何処にも当たらなかったものの、トカゲ怪獣を牽制するには十分であった。

銃声の主は、トカゲ怪獣に向かってこう告げた。

「何者だが知らねえが、ここはお前の餌場じゃねえ。文句ならこっちに言え。」

彼の名は単鉱怪揮。トカゲ怪獣に対し、宣戦布告を申し立てたのだった。


一方、此処は地球ではない何処かの星。鳥の羽を背に生やし、インバネスコートのような服を着た怪獣が住んでいた。人間より少し小さいくらいである彼は、運悪く落雷に巻き込まれた。そしてその後、ばったりと消えてしまったのだ。

いや、むしろ運がいい方かも知れない。何故なら彼は原因不明の洪水に巻き込まれていたのだから。落雷に消えたのは洪水の最中だったのだ。

そう、怪獣は死んだのではなく、異空間ワープの真っ只中にあったのだ。

この不幸な怪獣の名は「ファヴロス」。今まで普通に生活していたが、持ち前の運の悪さから連続的にトラブルに巻き込まれてしまったのだ。


とうとう出口に行き着いたかと思いきやそこは何処かの家のテレビ。しかも後押しされたかのように出てきてしまい、尻餅までついてしまった。


その時、単鉱怪揮はトカゲ怪獣と一進一退の攻防を繰り広げていたが、自分の家の方角に雷が落ちたので怪揮は勝負を切り上げて帰っていった。その後トカゲ怪獣と野次馬はそそくさとその場を逃げ出していった。


自分の家があるアパートに帰ってきた単鉱怪揮は、早速「単鉱探偵事務所」の看板の無事を確認した。

彼は私立探偵なのだ。数年前に旗揚げしたのだが、今のところ所長である彼一人しかいない。

扉を開けると、鳥とドラゴンが混じったような奇妙な怪獣がテレビの前で座っていた。ファヴロスである。

そう、ファヴロスは単鉱怪揮の家に迷い込んしまったのだ。

怪揮はとりあえず声をかけてみたが、ファヴロスは分かり易い程に混乱していた。

「此処は何処?貴方は誰!?」

混乱するファヴロスを尻目に、やけに落ち着いた様子の怪揮はこう言い放った。

「此処は俺の事務所だ。どうやらテレビから出てきたらしいが、名前は!?」

目の前の怪獣が何者かについて知っていたようで、スムーズに話を進めようとする怪揮だが、当の怪獣は怯えるばかりだった。

挙句の果てに逃げ出すファヴロスだが、怪揮はすかさず静止し、この街について説明した。

「ここは無法地帯だ。慣れない奴が出てくると御陀仏は必至だ。」

事実、探偵事務所の周囲には魑魅魍魎とも言うべき化け物が周囲を取り囲んでいた。

いきなりでカオスなこの光景。案の定呆然としたファヴロスはこう答えた。

「じゅ...獣間!何で獣間が此処に!?」

一方で単鉱怪揮は淡々と説明し、ある疑問をぶつけた。

「こいつらは時空獣。昔からこの民葉に住む生き物だ。一応おまえもそうなんだが、こんな臆病なのは見たこともないぞ。」

「時空獣」と呼ばれる生物。交差点を襲ったトカゲ怪獣も事務所のテレビから出現したファヴロスもその一種である。

この事実を、単鉱怪揮は知っていた。

単鉱怪揮は話し終えると、すぐさま名を名乗った。

「そして俺は単鉱怪揮、そんな時空獣の真相を探す探偵だ。」

心の整理がついたファヴロスは続けて自己紹介した。

「ファヴロスです。よろしくお願いします。」


お互いの紹介を終え、ファヴロスは単鉱怪揮にこう質問した。

「私は事故でここに来てしまったのです。帰る方法を知りませんか。」

しかし、単鉱怪揮の答えは残酷なものだった。

「知らん。ここ民葉には多くの時空獣が出現しているが、故郷へと帰っていったのを見たこともない。」

これを聞いたファヴロスは諦めて単鉱怪揮に頼み込んだ。「ここに住まわせて下さい。」

これに対し単鉱怪揮は「いいとも、しかし条件がある。」

ファヴロスは「条件ですか?」と尋ねると単鉱怪揮はこう返してきた。

「ここ単鉱探偵事務所で働いてもらう。」


こうして、「私立探偵」単鉱怪揮と「時空獣」ファヴロスの奇妙な日常が幕を開けたのだった。

お楽しみいただけましたか。

期待はずれの方も多いことでしょう。

この作品は連載といっても短編の寄せ集めと言う具合でやっていきますのでご了承下さい。

次回は、単鉱探偵事務所の本格始動話をお送りしようと存じます。

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