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四勇者との出会い

思ったよりも、ずっと多くの方々読んでいただけて嬉しいです。


ありがとうございます。

いつも通りの鍛錬をして、森から戻る。


水で汗を流しながら、ウルドが言われた事をぼんやりと思い出す。


「ふん…?今日はどうやら面白い来客がありそうだぞ」


と、ウルドの勘というより予知は的中率が今のところ百%なので来客があるのだろう。


ま…一年前とこれで二回だけだけど。


仕込みをしようと厨房に入ろうとすると、


「おーい。ヤマトくん居るかい〜?」


ドアの開く音と共にグレットさんの声が聞こえる。


行商人であるグレットさんがこの時間に訪ねてくる事なんてないはずなのに…。


来るとしたら、各家々を回り終えた昼過ぎのはずだ。


何だろう?と訝しく思いながら、入り口に向かう。


すると…グレットさんの他に見たことのない男女数人がいた。


「…グレットさんこの人達は?」


グレットさんは柔和な顔立ちを更に和らげ、嬉しそうに誇らしそうに弾んだ声で言う。


「ああ…!ふふふ…ヤマトくん?なんとだよ!?この人達…いや!この方々こそが4勇者様達なんだよ」


ジャジャーン!とばかりにオーバーに胸を張り、腕を振るうグレットさん。


思わず苦笑すると、四勇者一行の一人も同時に苦笑する。


黄金を思わせる金髪を後ろで纏め、青空のように澄み切った蒼い瞳の少年だ。


年の頃は僕と同じか一つした位だろう。


かなりの美形だ。ただ弱々しくは感じないもののまだ少年ではなく、子供のような印象を感じるので異性にはまだモテると言うより、可愛がられる感じだろう。


というかそもそも、他のメンバーも美形しかいない。


なんだ…勇者になるには美形である必要でもあるのだろうか?


しげしげと思わず無言で見ていると、一行から身長が低い美少女が目の前に出て来て睨みつけられる。


「なにを見てやがりますですか!?クソガキが!?私達を視姦しようとは良い度胸してやがりますねぇ!?

極大魔法で宿ごと吹き飛ばしてやりますですか!?」


えっ!?なにこの子怖い。それになんか!?が異様に多いし…。

「サーシャ止めるんだ!」


僕より1、2つ年上ぽい先ほどの少年と同じ金髪青目で、少年を男らしくして成長させたような美男子が少し強い口調で少女を諫める。


僕を睨みつけていた少女がビクッと身とツインテールを震わせる。


「で…ですけどアベル様?」


えっ…何この可愛い声。


「サーシャ…?」


アベル様と呼ばれた美男子が優しげにだが頑固とした声で言うとおずおずと引き下がって行った。


もちろん最後に僕を一睨みしてである。


アベル様が歩み出て頭を下げる。


「私の仲間が失礼した。すまない」


「い、いえ…!?こちらの方こそ不躾な視線を向けてしまい申し訳ありません!」


慌てて僕は頭を下げる。先ほどは面食らったが元はと言えば僕が悪い。じろじろと他人に視線を向けられて愉快な思いする人がいる訳がない。


様子を窺っていたグレットさんが安心したように息を吐き出している。


「ありがとう。私の名前はアベルと言う。良ければ名前で呼んで欲しい。出来れば君の名前も教えていただけるかな?」


ふっ、と世の中の女性の全てが陶酔するかのような、爽やかな笑みをアベルは浮かべ、手を差し出した。


「ヤマト。ヤマト・ムラクモと言います。僕も名前で呼んでください」


こちらも手を出してガシッと握手を交わす。


すると先ほど目の合った少年が一歩進み出る。


「ぼくも挨拶させてもらいますね?ニースと言います。どうかぼくも名前で呼んでください」


女の子のように可憐で可愛らしい笑顔を浮かべるニース。男の子ってより、近所のお兄さんが言っていた男の娘ってやつかな?


「よろしくお願いします。ニースさん」


ニースも握手を求めて来たのでまた握手する。アベルさんの王子様って姿からは思いもしない、ゴツい手に比べると、なんか女の子って感じがする。


チッ!とワザと聞こえる音で舌打ちをして、先ほどアベルさんにサーシャと呼ばれたツインテール少女が、ぷいと逸らしていた顔を戻し、仕方なく浮かべた笑顔ですよ〜?を保ちアベルさんに促されるように挨拶する。


「私の名前サーシャです。よ・け・れ・ば!名前で呼んでください。ね♪」


呼ぶんじゃねぇぞ!と言外に言う。


あんまり刺激しないように関わらないようにしよう。

その後ニースさんの隣から大人の妖艶な色香を漂わせる、女性が蠱惑的な笑み浮かべ「マリーよ。よろしく」と人差し指を口に当て可愛らしく、小首傾げ挨拶する。


美人ってどんな動作も様になって得だよね。


そしてこの中で一番長身で一番偉い感じのするツンツン頭の少年?が口を開いた。


「ふんっ!我の名前はブラッドと言う。気軽に帝王様と呼ぶが良い」


胸を張り堂々と己の名前をいう。


や、でも帝王って…。恐らくと言うか間違いなく人の上に立つべき人何だろうけど…。


最後に一番後ろで帽子を目深く被り、あんまり表情と顔が分からない黒というか、一切の漆黒で身を包んだ女性が小声で、だけど不思議と良く聞こえる声で「フェアリス…。よろしく」と、無感情に言う。どっかの零号機のパイロットでもリスペクトしてるのだろうか…。


ひと通り挨拶を済ませるとグレットさんに僕は視線を向ける。


「ところで…グレットさん?勇者様達がなんでこんな辺境の村に居るんですか?」

グレットさんは慌てたように答える。


「いや…!すまない。説明が遅くなったね。大分舞い上がっているようだ。実は勇者様達はそれぞれの神様から同時に神託を受けたようでね」


神託…?ああ…この世界には神様が存在するんだっけ。


「その神託が…なんと試練の洞窟に挑む事だったのだよ!」


確かに、いかにも勇者が挑みそうな名前だと思ってたけど…まさか本物の勇者様が来るとは…。


「なるほど…それは分かりましたけど…なぜこの宿屋に?」


村長の家は充分と言うか、この宿屋より少し大きいから六人くらいなら泊められるし、村長なら泊めると…ああ。


「僕に試練の洞窟の案内をさせる為ですか?」


口を開きかけたグレットさんに確認する。


「あっ…ああ、そのとおりだ。それと…彼が君に是非とも会いたいと言われてね」


「…えっ?僕に?」



目を向けるとニースはまた少女のようにニコッと笑う。


「実は城塞都市エネルで君の噂を聞いて。ぜひ会いたいと思ってたんです」


なんか分からないけど、この中で一番ニースが僕に好意的らしい。


エネル…あの辺境伯のいるところだっけ…。


「君がどうやって辺境伯の凶行を止め、改心させたのかをぜひ今度教えてください」


…改心と言うかなんというか…あの時はキレてたからなぁ。


「まあ、その内と言う事で…ところで皆さんは一週間の滞在でいいですか?」


僕の言葉に皆頷く。


「部屋割はどうしますか?なにぶん田舎の宿屋なので五部屋しかないのですが…」


勇者様一行は六人なので、残念ながら全員個人部屋とはいかない。


「ああ…!それならぼくはマリーと一緒で構いません」


ニースがそう言うとなぜか、サーシャが拗ねたようにアベルを見つめ、残念そうにする。


「では六人ですと…一泊3食付きで720ナールになります」


「む…!?ちょっと高くありませんか?」


サーシャが金額に文句をつける。


「食事を抜くと600ナールになります」

すかさず食事代を抜いた金額を提示する。


大体この世界の相場は1ナール=百円くらいといったところだ。


だからちょっと田舎にしては高いかも、しれないが金額以上に満足させるという自負がある。

横で聞いていたグレットさんが仲介してくれる。


「田舎にしては少々高いかも知れないですが、部屋の泊まり心地と食事の美味しさは首都にある一流の宿屋に引けを取りませんよ」


その言葉に自信を込めて僕も頷く。それにこの村で食事出来るのはここだけだ。


旅人ならあとはカルラさんの所でパンを買って、雑貨屋で食材を買うなりしなければならない。



「サーシャ…。では食事込みで頼む。さっそく部屋に案内してもらっていいかな?」


サーシャが不満げにこちらを見ているが、まるで気づかないようにアベルさんが7040ナール金貨七枚と銅貨四枚を出す。


「いや…後払いでいいですよ。ではこちらに」


アベルさんが静かに驚き、それを横目に皆を部屋に案内していった。





ありがとうございます。


戦闘などはまだ先になります(^_^;)


説明不足や誤字脱字などありましたら、良ければお知らせください。


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