表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/36

35. 星脈の導く場所




【惑星Earth テラ軍 医療棟】




リラは、医療ポッドに横たわり、透明な上部カバーをぼうっと見つめていた。



惑星Dahlia上空で、ルークがメビウスを自爆させた。


その星脈エネルギーは、天の川銀河オリオン腕全域に広がり、カルザ帝国軍のミサイルは無効化されて宇宙に消えた。


同時に星脈エネルギーは、惑星Zeroniaにも影響を及ぼした。

カルザ族は、神経リンクを無効化された状態にある。


ルークは、惑星Dahliaとダリス族を救った。



リラが乗った脱出ポッドは、Earthへ帰還し、軍に無事回収された。


軍の医療室で検査を受け、かすり傷程度で健康状態は問題なく、お腹の子どもは無事着床していることがわかった。


これで、〝妊娠〟の段階にたどり着いた。


だが……


肝心の、この子の父親。

ルークの行方が、わからないままだった。


ルークは、自爆シークエンス起動後、自分も脱出ポッドに乗ると言っていた。

その脱出ポッドが発見されていない。


リラは今も確かに、ルークの生命反応とも言える星脈を感じている。

ルークは、きっと無事だ。


ポッドの再生が終わって、ドーム型の上部カバーが左右に開く。

その横にはキリュウが座っていた。


「気分はいいか」


リラは体を起こして脚を床に下ろした。


「ええ、いいわ。もう大丈夫」


キリュウはうなずくと、一瞬、視線を下に向けてリラに戻す。


「ルークの宇宙船なんだが……」


その態度から、いやな予感がした。


「機関システム部隊が設計図を確認したところ、脱出ポッドは……一機しか無かったことがわかった」


え……


リラの思考は止まった。


「うそ……」


キリュウは何も言わなかった。


「うそよ……ルークは、自爆シークエンスを起動したら、自分もポッドで脱出するって……」


ルークは──


どうなったと言うの?


「リラ」


キリュウはリラの方に身を寄せる。


「ルークは、きみと〝サン〟の命を優先したんだ」


「ルークは生きてる!」


リラはキリュウの言葉を遮るようにそう言った。


「感じるもの……彼の、星脈を……」


震える唇。


──絶対に、生きている。


そう確信しているのに涙が出る。


「リラ……」


キリュウは取り乱すリラを腕に抱いた。


「そんなの、信じない……」


リラはぎゅっと強く目を閉じ、唇をかむ。


彼が自分や子どもたちを残して死ぬはずがない。


「カイ、なんとか言ってよ……」


左手の指輪とブレスレットはまだ温かく、彼の存在を示しているのに。


嗚咽おえつと共に涙が次々にこぼれ、キリュウの軍服の胸を濡らした。




【惑星Dahlia 南部】




一人の老人が、日課の散歩で砂浜を大型犬と歩いていた。


「バゥッ、ワゥッ」


何かを見つけて吠える犬。


「なんだなんだ、どうした」


老人は、犬をなだめながら、その視線の先を追う。


「なんだ、ありゃ……」


そこには、打ち上げられた、機械の残骸らしき物体があった。


老人は引き寄せられるように、その物体へ近づく。


「──大変だ、人が倒れてる」


こうしてルークは、アストラ族の長老に発見される。




「おぉい、誰か! 来てくれ! 医者を呼べ!」


……いや、医者はここにいるんだが。


老人の声で、ルークは意識を取り戻した。


体中が痛い……


「クゥン……」


近寄って来た犬がルークの頬をつつく。


一瞬リアムかと思ったが、シェパードではなく、レトリバーだった。


「ワゥ、ワウッ」


ルークが目を開けると嬉しそうに声を上げる。


静かにしろ、体が痛い。


そう言いたかったが声は出なかった。


しかもそのレトリバーは、不思議な白銀のレトリバーだった。

頭のてっぺんから、まるでユニコーンのような角が生えている。


──あれ?


ルークは、惑星Dahliaの軌道上でメビウスを自爆させたことを思い出す。


もしかして、オレ──死んだ?

ここは天国か?


とりあえず、Earthではないようだ。


ということは──


どこまでも続く白い砂浜と、ピンク色の珊瑚礁。


ここは、惑星Dahliaだ。


ルークは漂流し、みずからが向かうべき場所へたどり着いた。


その瞬間──


星脈は、

かつてない強さで、

ふたたび脈動を始めていた。





星脈のネクサス Season1〜The Awakening〜




【了】




Continued in the next season.






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルに応援クリックお願いします → ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ