やうやう白くなれれば
どうも、コーフィー・ブラウンです。
コーヒー、飲んでますか?
僕はカフェオレが大好きです。
どうぞお楽しみください。
「チッ 今必要かよ・・
喪失者の天使、ペナだ。」
そこにいるのは、顔だけ見ると男の、・・・女の子?
白にかなり近い水色の髪は結われて女勝りなボリュームで、コスプレのようなドレスを着ている。
しかしどこか体つきは違和感があって、顔つきもどこか美しさより、たくましさを感じる。
「おい!見てばっかじゃなくて、天命だと言ってるだろ!」
声は・・・ああ、男だ。
「天命、ですか。 よ、用意します・・」
「チッ・・あと一分でいくぞ」
彼と入れ替わるように、世話係の人たちが衣服を持って、僕を囲む。
「ねえ、僕には天命が来なかったんだけど・・」
「申し訳ありません。
私にはわかりかねます。」
天命を受けられない天使って致命的じゃないの?
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
ガチャっ
「あ、おまたせですっ!」
寝室から出てきたのは、白いパーカーに白いジーンズの短パンに白いスパッツ。
そして身長が10センチ伸びたような厚底シューズ。
「よし、ついてこい。」
その人についていくと、建物から出る。
出れた、ひっさびさの外!
スゥー、ハアー 空気がうm・・・
重力がなくなったような体感で、
mああああ!
スタッ 黒いブーツでふわりと軽く着地、 (ペナ)
ズシャアアア!・・ゴン! (ミーンワイル)
「痛ってえ・・」
真っ白な服に水たまりの灰色がしみ込む・・
「おい、少しの間そのまま伏せてろ。」
「はい・・・」
ええぇ・・
伏せたまま、周囲を見渡す。
夜の街か・・ 人が全くいずに、明かりが街灯くらいなのを見ると夜中なんだろう。
ここで現れるとしたら、悪魔ではなく幽霊の類だ。
後方を見て、前を向いた時、さっきまでしゃがんでいたペナさんの姿が無い。
「あれっ」
必死に首を振って探すが見当たらない。
ポタッ
顔の近くに一滴が落ちた。
ポタッ ポタッ
同じ場所に何度も落ちる。
上に何か・・?
身体を起こし、反らしてみると。
「・・グ、グチュチュグッ・・チュグッ、パアアァ」
すぐに目に入ってきたのは三つの眼玉。
落ち着いて俯瞰できるようになるほどこれはやばい・・・
象のようなフォルム、つまり長い鼻は僕の顔の前に突き出されると、
「グッ・・グッ・・パアアァ」
鼻が五枚に裂き分かれ、無数の牙が姿を現す。
バケモノだ。
バシュッ
その五枚が視界の端から迫ってきた。
これは、避けられない・・・
ガイイイイイン!
便利だな、『奇跡』というのは!
ダッ
すぐに立ち上がりバケモノから距離をとる。
すぐに刀を抜き、対峙する。
くそっ! ペナさんは一体どこで何をしてるんだ!?
そんな僕の焦りを察したのか、バケモノはあの大木のような足を変化させて、巨人のような手で街灯を引き抜き槍のように突く。
「グクッ・・・」
ヂヂヂッヂヂッヂヂヂッ!(刀と街灯がこすれあう音)
それに夢中になっている間に、
ガイイイイイン!
巨人の拳をまた、『奇跡』で防ぐ。
まずい、前回よりも大幅に細胞を消費しているのが感じられる。
このままでは前より早く死ぬだけ、
ここで死んだら今度は誰が助けてくれるんだ?
「ペナさんっ・・どこにっ・・」
急いで路肩に走り、そのまま建物の間を駆け巡る。
「グゴコッ・・ゴックンカ!クンカ!」
バケモノも脅威の速さで迫り、建物の間にめり込んでいくが、あまりの巨体に進めそうがない。
ミーンワイルは、悪魔が近づいてきていないのに気づき、ゆっくりゆっくりと元来た道を返す。
バッ(意を決してのぞき込む音)
いた、あのバケモノ。
しかし、呼吸も見えないほど動かない。
「死んでるんだ。」
グシュッ バケモノの眉間から何かが突き出て、
グッ グッ それが嫌な音を立てながら
「『もうやめて』」
ズッパァン!
細道を蓋していた肉塊は、塵のように吹かれていく。
僕は、それにただ立ち尽くしていると、
「俺は優しいはずだから、厳しいことを言ってやろう」(ペナ)
その向こうに、大剣を収める彼の姿。
「無能は総じて見えない『モノ』を頼る。
お前は俺を頼って、時間稼ぎに乗じて己の身を案じた。どうなんだ?」
どうなんだだと…?
違う! 逆だ!
僕はお前の身を案じてやったんだ!
僕が死んだら一体誰が、お前を探すんだ!
何も、口から出なかった。
「ここで反論してこないのを見る限り、お前、天使になる前は働いていたな?」
「え? おう、あ、はい・・」
「それなら、まだマシってところだ。
おい、ミーンワイル。
この先、救われる側、与えられる側のうるさい畜生どもが、俺たちのことを天使だなんだと、慣れた口調、ここ1番の名演技で感謝を述べるが、勘違いするなよ。」
畜生は悪魔に襲われた人たちか・・・
こいつは、じゃあ一体何のためにお前はこうやって血脂を浴びているというんだ?
「俺たちは救ってんじゃねえ、救われてんだぞ。
感謝しろよ。」
それを聞いたミーンワイルは、目を見開いて、必死にまぶたに力を込める。
だめだ。
ここで納得してしまうのは。
だめだ。
こんな正解を信じて受け入れてしまうのは。
「い、今の内は、そう、思っときます・・・」
「さあ、お前の分は終わった。
次だ。
俺のやつに行くぞ。」
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
次の場所はさっきの街中から1時間しか離れていないからと、歩いていくことになった。
「ミーンワイル、さっきの戦闘でどこの細胞を失った?」
歩いている感触、髪の毛、顔の形は何も変わってない。
「たぶん、体内の器官かもしくは赤血球とかだと思います。」
「・・・よし、ならまだ大丈夫だな。」
まだ大丈夫か、どうして分かるんだ?
僕らが普通の人間ならまだしも、それぞれに能力が異なる天使同士なのに。
この人はさっき、奇跡を使って僕の前から消えたんだろうか?
「ペ、ペナさんはまだ平気なんですか?」
「平気、だな。 おい、ここ右に曲がるぞ。」
「はい・・?」
通りに二人がいなくなってすぐに、
ワハハハハハ!と寝静まった夜道を騒ぎ歩く酔っぱらい五人が現れた。
彼らをチラッと振り返って見たミーンワイルは、
「僕らって見られちゃいけないんですか?」
ペナはそれを聞くと、顔をしかめて、
「別に、そんなのは無いが、こっちの道が近いからだ。」
彼はそう言いなら、前を歩くが、心情の揺れが彼のドレスのフリルを揺らす。
あっ、そうか。
こんな格好だから。
「あはっ」
やばっ
すぐに口を抑える。
「おい」
ひっ 怒られる、いや殺される!
「別に、おかしな格好してるってのは俺が一番わかってる。
それより、向こうから来たようだぞ。」
へ?
カッ コッ コカッ カッ
蹄を打ち鳴らす一頭の、
「ウマ・・?」
これが、悪魔なのか?
黄色い照明で少しわかりにくいが赤毛をした、毛並みが良い綺麗な馬だ。
「ミーンワイル。刀を抜け。」
こんなウマを殺すというのか?
こんな、優しい目をしているというのに・・・
スラッ
その馬は僕らに構うことなく、道端の草を食む。
「ペナさん、この子が本当に、悪魔ですか?」
「そうだな・・一人でやってみろ。」
「えっ、一人?」
フュヒヒヒヒヒヒヒヒッ!
といななきながら前足を上げて舞うと、
カカッ カカッと迫りくる。
馬ってどう攻撃してくるんだ!?
左・・右っ!
刀を右に構え受けようとする。
ズバァッ! は?
ミーンワイルの右肩が何かに刻み込まれたのか、赤く染まる。
馬がけしかけてくるには、距離が開いていたはず・・・
それに、『奇跡』は・・?
馬は振り返ると、 フュヒヒヒヒヒヒヒヒッ!
とまた雄たけびをあげ、駆けてきた。
だめっ・・右腕が動かない・・
カカッ カカッ カカッ
とりあえず、こっちも攻撃しないと!
左に持ちかえ、切り上げる。
ガイイイイイン!
はっ!?
鉄の感触・・だんだんと槍先から槍、籠手、鎧、兜・・・
さっきまで見えなかった騎士の姿。
「ぐうっ」
強い反動を受け、飛ばされてしまったが、これは大きな収穫だ。
「これでっ・・」
ズキッ 右足の指先が痛い・・
でも、
構うな!!!
ブォン ヴォン ヴォン
三重の魔法陣が組まれ、突き出した刀が神々しく光る。
「大衆の驀進!」
ズガーン!
白い魔力の砲弾が騎士と馬に向かって飛び放たれる。
馬は慌てふためいたように上半身を起こしひるがえらすが、もう避けられないはずだ。
「いけっ・・!」
ズサアアアアアアン!
白い魔弾が分断されて馬と騎士が何もなかったように、姿を現す。
何でっ・・
カカッ カカッ カカッ
くっそぉ・・
馬がまた右から回り込んでくる。
騎士は槍を構えて、絶好のタイミングまで力を貯めている。
カカッ カカッ
今か! 上から突かれた奴の槍と、構える僕の刀。
ガガガッ ブシュッ!! 「ぐぅあっ!」
刀に受け流された槍が右ももを貫いた。
痛ってえ・・
しかも全然血が止まらない。
右肩と右足が不能はまずいか・・
しかし、まだペナさんがいない・・。
『奇跡』で失う細胞がどれだけかわかんねえけど・・・
やるしかねえな。
騎士が周回して、槍をミーンワイル目掛けて下から振り上げるが空振りに終わる。
騎士が驚いたように見ると、それはすっかり目線も正常に働いていない状態でよたよたとふらつき立っている。
右足も右肩も傷は塞いでいるようだが、それどころではないようだ。
身体中の皮膚がなくなったことで、あちこちから肉が見え、真っ赤だ。
もう奴の神経も、筋肉も骨も動かせんほどだと思える。
騎士は馬から降りると、馬は騎士の甲冑の間に吸い込まれていく。
カチャッ カチャッ(鎧の当たる音)
腰に提げた剣をスラッと抜いて、
胸に向かって刺そうとした時、
「ここまでか。」
「『どうしたの』」
見知らぬ手が剣を握ると、ボトボトと豆腐のように崩れていく。
ガバッ 騎士は槍を拾い、また構える。
「まあ、ここまでなら上出来なのか・・」
スッ 騎士の方を見もせずに、指をさす。
「『ごめんね』」
鎧の騎士は動かなかった。
胸、兜、両肘と両ひざの防具がみるみる膨らんで、
パアアアアアアアアン!!!
はじけた
「よし、帰るぞ。
ミーンワイル。」
彼は白く綺麗なままの服だったが、遠慮なくミーンワイルを背負って、夜明けの街を歩き去っていった。
本作品を読んで頂きありがとうございます。
次回も応援お願いします。
キャラクター紹介
ー天使ー
ミーンワイル(元名:○○○) 大衆の天使 499代目
本作の主人公。
17歳と若いために青年の姿。
奇跡:受けたダメージを犠牲と入れ替える。
通常の攻撃魔法、防衛魔法。
捧げた細胞の量で規模が変わる。 ※身体の回復には大小関わらずかなりの犠牲が必要
犠牲:自分の細胞
ワイズ 天才の天使 2代目
天使たちの司令塔や相談役。
年齢不詳。
普段はロボットを通じて活動。
老衰・餓死・病死は不可能。
奇跡:不明
犠牲:不明
デフォン 偶像の天使 19代目
金髪の可愛らしい女の子。(ここだけの話、23歳)
奇跡:不明
犠牲:不明
エフォード 指導者の天使 62代目
天使たちのリーダー。
天命以外の普段は、白いトレーニングウェアを着ている。
両方の髪を刈り上げていて、かなり大きな六芒星のピアスをしている。
首や胸元、肩には白いタトゥーが彫られている。
奇跡:不明
犠牲:不明
ユナー 欠落者の天使 37代目
たまーに、天命で出動する。
赤毛の女性、眼鏡にこだわりがあり、コンタクトをしてわざわざ伊達メガネを付けることも。
ここだけの話、29歳。
奇跡:不明
犠牲:不明
ドロエ 杏林の天使 9代目
天使たちの救命担当。
袖がタンクトップ程短く、丈がウェディングドレス並みに長い白衣を着て、中はほぼ100%白いレース でできた下着を着用。
彼女は下着が大好きなので、様々なタイプを着用(すべて白いレース)
もも下は白いストッキングで常に裸足。
奇跡:不明
犠牲:不明
ペナ 喪失者の天使 40代目
天使の中でも最高級の実力者。
俗界では白い仮面をしている。
白いフード付きの短いマントをして、黒を基調としたロリータ風の軍服を着ているため、天使たち以外には女だと思われている。
本人はこの恰好をあまりよく思っていない。
背中にくそでっかい大剣を背負っているが普段は腰に差した中小サイズの剣を使う。
奇跡:不明
犠牲:不明




