いつの間にか
どうも、コーフィー・ブラウンです!
どうぞお楽しみください。
ガチャン
「お次はエフォード様でしょうか?」
その女はうざったいほどに、無表情で真っすぐにこちらを見る。
「・・・次の方は何代目なの?」
「それは、62代目になります。」
「・・意外と死んでるんだ」
「そうですね。ちょうどミーンワイル様の次に出動の数が多い天使様なので」
それは、すぐに死ぬ僕らを侮辱してるのか・・?
いいや、きっと困ってるのは彼女だろうから。
「じゃ、行こう」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「こちらです」
ずいぶん遠かった。
20分は歩いたぞ。
その割には外の景色は変わらず森の中。
ガッチャ
「やあ! 新たなミーンワイル!」
彼は、・・すごいなあ。 色々と。
「なあんだ! 男同士の握手はッ!」
彼は右手をグッと掴んで胸の前に無理やり、
「こうすんだよっ!」
と、引っ張って、バチイッ! と音が鳴るくらい勢い強く握る。
「は、ははは・・」
「まあ、入れよ! 初日から天命は来ないだろうから、どうせ暇だろ!」
「そんな風に振り分けられるもんなんですか?」
「そんなことねえか! あの神様だもんな!」
「え?・・ええ、あれっ」
「? どうかしたか?」
「いや、天使ってもっと堅いと思っていたんで・・」
「あーあ、なるほどな。
まあ、司教のジジイどもは大体そうだけど、あれ? 聞かなかったか?」
「?」
「俺たちはあくまで、神様の武器。
ここの『教え』なんて、これっぽっちも分かってねえ俺がいるんだぜ?
俺たちはずっとこうやって鳥籠に囚われ続けるってわけよ。」
「囚われ続ける・・」
「いやっ! それはちょっと言い方をミスったな!
ん~・・まあ! あれだ! よろしくって話!」
「そ、そうですね~・・」 ごまかせてないよ・・
「あっ!
そういえばさっきデフォンが、お前のことをすげえ愚痴ってから食堂に行ってたぞ。
昼飯のついでだ。
一緒に食堂に行ってアイツにも挨拶しに行こう。」
「ああ、はい・・」
びっくりした・・僕一人、食堂にいる人に話しかけなきゃいけないのかと思ったけど・・
目の前を先導するエフォードさんがすごく心強い。
こういう人がリーダーじゃなきゃね。
「おう、ミーンワイル」
「は、はい!」
「あそこに塔、見えるだろ?」
目を凝らすと、針葉樹の黒いとんがった木の形とは異なる、とんがった建物が見える。
「あれは?」
「ラヨンが言ってたんだけどな、あれは神様の中指だそうだ」
「な、中指ィ!?」
「ま、アイツなりのジョークだろ。
アイツ全然寝ないから頭がいかれてんだ」
「それをどうして僕に・・」
「ん? ハハハッ! 次はお前が新しい奴にちゃんとカマせよ?」
「嫌ですよ。 引かれちゃうじゃないですか。」
「それは・・まあ、嫌なのか。」
「え?・・はい・・そりゃ・・」
『そりゃあ、引かれて嬉しい人間なんて』と言おうとしたが、エフォードさんのシルエットから何か黒い何かがにじみ出ている気がして、言えなかった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「ここが、俺たちの・・・」
ま、あえて一言でいうと、豪華だ。
しかし、不自然に食卓が折れ曲がっている。
もしかして上から見ると、と思い少し背を伸ばしてみると、
「これはライト教のシンボル、六芒星らしい
・・おい! デフォン!」
食堂には一人しかおらず、朝の日差しによく似合う金髪の少女。
ああ、今朝の・・・
「んむ〜?ングッ んむんむ、ちょいまひ〜」
少しでも口にスペースができれば食べ物を突っ込むような食べ方。
彼女の容姿には似つかわしくない、汚い食べ方だ。
そう考える僕の思考を読んだのか、
「こんな下品なやつを見てるより、食べる方がましだろ? 俺たちも朝飯にしよう。」
と言って、少女から少し遠い席に座り込んだので、僕も追いかけさらに彼女から遠くに座ろうとすると、
「そんなとこじゃ話しにくいだろ」
とエフォードに席をすすめられてしまった。
それからすぐに食膳が運ばれてきた。
天使といえど人間・・
魚の焼き物と、ご飯、卵焼きに味噌汁。
「おお!これはまた、えらい和風だなあ!」
そう言ってきた彼の方は、ロールパンにマーガリンとジャム、三本のウインナーと何かのポタージュ、それに何も入っていないヨーグルト。
「まあ、毎朝これなんで」
「なにい? 西方生まれなの?」
食べ終えたのか、口周りを拭きながら、美少女がきいてきた。
「いえ、そうではないはずなんですが」
僕は生まれも育ちも中央のはずれだ。
西方の島国の異質さは有名だが、自分のルーツがそっちの方だとは聞いたことがない。
「まあ、毎日食べるほどの文化なら、そっち生まれが自然だが、今どき食文化なんてぐっちゃぐちゃ。
中央の真ん中にも西方の奴らの街だってあるからな。」
「へえー」(二人とも)
「ミーンワイルはともかく、お前は分かってろよ。」
「だって僕、全然出番無いんだもん」
「それはまあ、いいことだろ」
「そんなに皆さん、偏ってるんですか?」
「偏りすぎだ。それにミーンワイル、君が出るのは二分の一だぞ。」
「それって、多いんですか?」
「休みは無えと思え、新人!」
そんなあ・・・
「まあまあ、初めのうちは付き添いもある。
それこそデフォン、半年ぶりに外に出られるんじゃねえか?」
「そっか・・そうかも! ナイスじゃん!」
そう彼女はニカっと笑って僕の頭をぐしゃぐしゃにして、まるで金色の光のように出て行ってしまった。
は~
ため息をつきながら髪を直していると、
「ああだが、仲良くしてやってくれ。」
「そりゃまあ・・」
彼は悲しい顔をしていた。
悲しそうな顔ではなく。
「どうしてそんな・・」
「・・リーダーだから・・だな。」
知っていた。
『天使』とは、幸せに満ち溢れていて尊大な存在ではなく、
民衆、もっと言えば信者に気づかれない場所でずっと戦ってる。
だけど、ほとんどが僕らの名を呼ぶことは無い。
しかし、それにしてもだ。
「あの・・他の人たちは?」
少ない。
この場はかなり広大で、とても十人以上はいないと違和感しかない。
「居るよ。あと20人ぐらいは。
みんな恥ずかしがり屋だし、こうしてここに来れないやつも。
あと、この家にさえ帰れない奴も。
もしかしたら今も死に場所を探してるやつも。」
何を言ってるんだ?
コイツ、本当にチームのリーダーなのか?
チームの一員が死を求めてさまよってんだぞ?
信頼してるなんて体のいいもんじゃない。
職務放棄だ。
「なぜ! 僕らを助けようとはしないんですか!?」
「そうだな、お前みたいにそうやっていれば数人は救えたかもな。
それに今の俺は10代目やそこら何だろう。」
彼はエフォード、62代目・・・
「すまない、ミーンワイル。 お前に当たるのは間違っていると分かっているんだ。
だがな、放っておくってのもつらいんだ。」
いったいこれまでの間に何人のエフォードが・・・
「早くご飯は済ませよう。飯がまずくなる。」
「あの、エフォードさん。
今晩の食事も一緒にいいですか?」
それを聞いた彼は少し驚いてから、くしゃっと笑い、
「なんだ!寂しがり屋かっ!」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
その夕方に天命が入って園を出たエフォードさんは、深夜に片脚をなくして戻ってきた。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
もう20時だ。
夕方に天命を受けて出ていったエフォードさんはまだ戻ってこない。
エフォードさんの世話をする方に聞くと、部屋の中で待っててもよいと言われたので、ソファに座り周りを観察していると、
「あれ?見たことないな」
びくっ
開いたままのドアに、赤毛の女性の方。
立ち姿と、服装からして僕と同じだ。
「あ、あの、ミーンワイルです。」
「ん?あ、あーあ!
君がかっ! ごめんごめん。忘れっぽくてさ。
私はユナー。
君と同じ天使だよっ。
確かー・・あ!
けつらくしゃのてんし!」
「?あなたが?」
「うん!『欠落者の天使』だよ!」
欠落者・・・ムズイ
「それより、なんでここにいるの?」
「晩ご飯を一緒に食べるんです。
こんなに遅くなると思ってませんでしたけど。」
「へー!それいいね!」
「ゆ、ユナーさんは?」
「ん? 私はねー、そうだ!
エフォードにお気に入りの本を貸してて、返してって言いにきたんだった」
「じゃあ、二人で待ってましょうか。」
「そーしよか!」
彼女はボフンと隣に勢いよく座り込んで、ミーンワイルを強く揺らす。
そして、こっちを見て
「君はさ、今までの子とは全然違うね」
「そう・・ですか?」
変わってるのか?
天使になる前は普通だの平凡だのよく言われたもんだが。
「うん!何というか、芯があって強そう!」
強そうか・・。
「それは、大事かもですね」
「めっちゃ大事だよ!
だって今までの、・・正直役に立たないなあ、とか思うもん」
「そ、そうなんですね・・」
ユナーさん、意外とそういうこと言う人なんだ・・・
役に立たない、か・・
自分も死ぬとそう思われるんだろうな。
あれ?
いつの間にか、自分がここにいることに喜びを感じていたような・・
「あの、ユn・・」
彼女はソファの手すりに頭をかけて、ぐっすりと眠っていた。
僕は、カーペットに転がっていた一冊を拾って、
パラッとゆっくり開いた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
そこは、一面の花畑。
リンゴの花にしか詳しくない僕には、全部が同じように見えて、とても綺麗だと感じる。
これが夢かどうかの見分けはつかない。
リアルの自分は天使だと扱われ、
かつての名前はもうどこにもなくて、
この先を待ち受けるのは一生語れない戦績。
なんて、なんて夢みたいな現実。
もう、それぐらいしか考えられないから、寝転んで目を閉じる。
このままずっと・・・
「っきてーっ!」
バチィン! うぶへっ!!??
ミーンワイルは目をパチクリさせながら、
「っあ!? な、なん!」
「早く!来て!」
ユナーさんの声だ。
「へ、・・っふぁい!」
一体っ、どこに向かうんだ!
階段をいくつか下がる度に下の階を目指しているのは分かるが、かなり長い廊下を走っていく。
もうユナーさんを追いかけるのもやっとになってきたころ、
「エフォード!!」
とユナーさんの叫び声が僕にも聞こえた。
え?
ユナーさんは世話係の彼女たちを突き飛ばし、
血まみれの男を何の躊躇もなく、抱きかかえる。
僕は息切れをしながら、その様子を見るしかない。
「何やってんの!? 早くドロエ呼んでよ!」
「あ、あと少しでつくと。」
押し飛ばされて強く背中を打った彼女はよろけながらも立ち上がり、姿勢を正す。
「はい、どいてねー」
「わっすいません」
ロボット、しかも頭と首が無い。
「あら、あなた新入り?」
振り向くと、まるでアンコウに手足が生えたようなロボットにお姫様抱っこされた女性。
その女性は袖がタンクトップのように短く、丈が長すぎる白衣を着て、
その中はほぼ100パーセントが白レースでできた下着で、もも下は白いストッキングだが、ここの慣例なのか、足だけが裸足だ。
「は、はい。あなたは?」
彼女はチラッとエフォードさんの容体を見て、
「ワイズ。それぐらいなら完全治癒室で十分だわ、よろしく。」
「ああ、そうだな」
首の無いロボットが、アンコウの口からでてきた担架にエフォードさんを乗せて、アンコウ人間と一緒に運んで行った。
それを見送った彼女は、白衣を引きずりながら立ち尽くしているユナーさんに近づき、
「ほうら大丈夫よ、ユナーちゃん。私が来たでしょ?」
「リーダー・・大丈夫、よね!
だって、私が見た中でたぶん、一番頑張ってたもんね!」
「そうね。私も同感だわ」
ユナーさんはトボトボと僕の横を抜けていく。
「ユナーさん・・」
「ごめんね、ちょっと今日はもう疲れたの、おやすみ。」
「いえ、全然・・」
「そんなに仲良くなってたの~?
だめよ? ちゃんとあの子の母親である私に挨拶しないと。
あ、私たちの母はライト様だけだったかも。」
「あ、あの、ドロエさんは、何代目なんですか?」
彼女は、うつむいてから、まるで絶好の獲物が前を通った獣のような眼で、
「なあに? いきなりデリケートな質問じゃない。
・・9代目よ。 でも、私はもう1000年以上は生きてるわ。」
「えぇえ!?」
「んフフッ そんな反応してくれるなら、言ったかいがあったかもな♪」
そう言った彼女は天使のように白衣をはためかせて、ロボットたちが行った方に向かっていった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「・・っ、・・っく、うっく、えぐっ、えっふ、っく」
誰かが泣いている、そんなのは誰でも分かる。
問題は、誰が泣いているかだ。
洞窟の中をただ、一点だけを目指して、進む。
暗いそこには、もしかしたら縦穴があるかもしれないのに。
無言で、ゆっくりとのぞき込む。
しまった。
唾を飲み込んでから来るべきだったかも。
今、飲み込んでもばれないか?
ゴクッ
バッ うつむいて泣いていた子がこっちを振り返った。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「ハッ・・ハア、・・ハア・・」
このベッド、あっつい・・
足で掛け布団を蹴り飛ばす。
でも、この動悸は収まらない。
「あれは・・誰?」
ちょ、あの、ちょっと!
寝室の外が騒がしい。
ガチャ!
「おい!ミーンワイル!
天命だ! はやく行くぞ!」
え? その顔・・・
「あなたは?」
「ちっ、今必要かよ・・。
喪失者の天使・・ペナだ。」
本作品を読んで頂きありがとうございます。
キャラクター紹介
ー天使ー
ミーンワイル(元名:○○○) 大衆の天使 499代目
本作の主人公。
17歳と若いために青年の姿。
奇跡:受けたダメージを犠牲と入れ替える。
通常の攻撃魔法、防衛魔法。
捧げた細胞の量で規模が変わる。
犠牲:自分の細胞
ワイズ 天才の天使 2代目
天使たちの司令塔や相談役。
年齢不詳。
普段はロボットを通じて活動。
老衰・餓死・病死は不可能。
奇跡:不明
犠牲:不明
デフォン 偶像の天使 19代目
金髪の可愛らしい女の子。(ここだけの話、23歳)
奇跡:不明
犠牲:不明
エフォード 指導者の天使 62代目
天使たちのリーダー。
天命以外の普段は、白いトレーニングウェアを着ている。
両方の髪を刈り上げていて、かなり大きな六芒星のピアスをしている。
首や胸元、肩には白いタトゥーが彫られている。
奇跡:不明
犠牲:不明
ユナー 欠落者の天使 37代目
たまーに、天命で出動する。
赤毛の女性、眼鏡にこだわりがあり、コンタクトをしてわざわざ伊達メガネを付けることも。
ここだけの話、29歳。
奇跡:不明
犠牲:不明
ドロエ 杏林の天使 9代目
天使たちの救命担当。
袖がタンクトップ程短く、丈がウェディングドレス並みに長い白衣を着て、中はほぼ100%白いレース でできた下着を着用。
彼女は下着が大好きなので、様々なタイプを着用(すべて白いレース)
もも下は白いストッキングで常に裸足。
奇跡:不明
犠牲:不明
ペナ 喪失者の天使 40代目
天使の中でも最高級の実力者。
俗界では白い仮面をしている。
白いフード付きの短いマントをして、黒を基調としたロリータ風の軍服を着ているため、天使たち以外には女だと思われている。
背中にくそでっかい大剣を背負っているが普段は腰に差した中小サイズの剣を使う。
奇跡:不明
犠牲:不明
今後、随時書き足したり、修正していきます。




