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最後の春に君と  作者: 美咲
エピローグ
7/30

君がくれた季節


それから十年が過ぎた。


私は作家になり、拓也との思い出を綴った小説「君がくれた季節」を出版した。高校時代の淡い恋愛と、若すぎる別れの物語。多くの読者が涙してくれる作品になった。


「この小説、実話なんですか?」


サイン会でよく聞かれる質問。


「大切な人との思い出を元に書きました」


そう答えると、読者の方々は理解したように頷いてくれる。


今日も桜の季節がやってきた。毎年この時期になると、彼との約束を思い出す。


カフェで新作の構想を練りながら、窓の外の桜を眺める。満開の花が風に揺れて、ひらひらと花びらが舞い散る。


「拓也、見てる?」


小さくつぶやくと、頬に一枚の花びらがそっと触れた。まるで彼からの返事みたいに。


彼に教えてもらった愛することの尊さ。限りある時間の美しさ。一瞬一瞬を大切にすることの意味。全てを胸に、私は今日も新しい物語を紡いでいる。


「今度はどんな恋愛小説を書こうかな」


ペンを握る手に力を込める。拓也がくれた季節は終わったけれど、彼がくれた愛は今も私の心の中で輝き続けている。


きっと彼も、空の向こうで私を見守っていてくれる。


「君の分まで、たくさんの愛の物語を書いていくよ」


桜の花びらが、優しく私の肩に舞い降りた。


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― 新着の感想 ―
良かったです。もっと長編で読みたいと思いました。夏祭りのデートで、拓也がキスを急いだ理由。早すぎる展開の進み方も、こうして読み終えてみれば納得でした。読ませていただき、ありがとうございました。
感想一覧
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