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最後の春に君と  作者: 美咲
後日談
11/30

夢の中の再会


その夜、久しぶりに拓也の夢を見た。


高校時代の文芸部の部室。夕日が差し込む中で、彼が原稿用紙に向かっている。


「拓也」


呼びかけると、彼が振り返る。十八歳の時のままの笑顔。


「美咲、お疲れさま」


「会いたかった」


「僕もずっと君を見てるよ。立派な作家になったね」


「あなたのおかげ」


「そんなことない。君の才能と努力だよ」


しばらく二人で話をした後、彼が真剣な表情になる。


「美咲、一つ聞きたいことがあるんだ」


「何?」


「君は今、幸せ?」


その質問に、私は答えられなかった。


「幸せよ。作家として成功して、読者にも愛されて」


「それは仕事の話でしょう?君自身は?」


「私自身...」


「僕は君に一人でいてほしくて愛したんじゃない。君が笑顔で過ごしてくれることを願って愛したんだ」


拓也の言葉が心に響く。


「もし君が一人でいることで苦しんでいるなら、それは僕の本意じゃない」


「でも、あなた以外愛せないの」


「愛の形はひとつじゃないよ。僕への愛と、誰か他の人への愛は違うものでもいいじゃないか」


夢の中の拓也は、現実の彼より大人びて見えた。


「君が誰かと幸せになっても、僕への愛が消えるわけじゃない。心には複数の愛を抱く場所があるから」


目が覚めると、頬が涙で濡れていた。でも不思議と心が軽くなっていた。


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