逃れ得ぬ宿命
二つの王国があった。
両国の王族は数世紀にも渡る戦争を世代を変えながらも戦っていた。
一方がもう一方を滅ぼさなければ決して終わらない戦い。
互いの王国の王は共にそう知っていた。
それは逃れ得ぬ宿命なのだった。
そして、ある時の戦場で二人の王は相対した。
数世紀も続く因縁の相手を双方が認識し、共に憎悪と怒りに満ちた表情で二人は叫んだ。
「貴様を必ず滅ぼしてやる」
数え切れないほどの兵を率いながら、二人の王は言い放つ。
「仮に最後の一人となろうとも。貴様の首を必ず刎ねてくれる」
二人の王の宣言が戦場に響き渡った時。
不意に双方の兵士が主君である王を残して退却をした。
呆然とする王に兵士達は告げた。
「最後の一人だ」
言葉を失った滑稽な者達を兵士達は煽った。
「どうした。宿命の戦いなのだろう? 殺し合え」
物語はどちらの王が勝ったのかを告げはしない。
ただ、二人の王を馬鹿にしておしまいだ。