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雪解ボタンはまだ夢の中にいます。
今回の話における私は雪解ボタンです。
ここは私の家。
私が普段住んでいる実家の脱衣所。
後ろには横開きの扉。
扉の先にはリビングが広がってる。
左手には鉄製の扉。
お風呂場が広がっています。
右側は壁です。
左斜め前には服の収納棚。
その向かいには洗濯機があります。
前にあるのを飛ばした先には洗面台。
コレが私の実家です。
目の前には服の山があります。
服は蠢いて脈動しています。
誰かが居るのかな。
誰が居るんだろう。
あっ分かった。
『お婆ちゃん。お婆ちゃんだよね!』
私はそう直感しました。
蠢く山は何も答えません。
でも私にはあれがお婆ちゃんだとわかります。
『お婆ちゃん。会いたかった……会いたかったよお婆ちゃん!』
お婆ちゃんに凄く会いたかった。
お婆ちゃんは存命してるし、
向かいに住んでいるけど凄く会いたかった。
私は山に飛び込みました。
山は私を飲み込みました。