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寝る子は起こすな 寝る子は育つ  作者: 技兎
一年目
15/18

350


 前話同様、今回だけ見ても理解不能です。

 今回も雪解ボタンと三人称視点の切り替えです。


「……350回目の暗転。ここは」


 目の前には木製の階段と手すり。

 右側と背面には壁があり、左側は視認不可。

 今回の夢は階段で何かが起きると推察。


「(不可解……サルベージ要求を繰り返しているにもかかわらず、一向に戻れない。信号は送れている。受信側の故障? あるいは私自身が何かしらの信仰を受け)」



『ハッハッハー!』


 階段の上で高らかに笑う男。

 カートゥーンアニメから出てきたと一目で分かる。


 男は猟師だ。

 服装は熊皮のベストとチェック柄のシャツ。

 ライフル銃を背中に背負っている。

 無精髭を生やした顔が縦長のヴィラン顔。


 その男が私の、

 雪解ボタン友達を人質に取っている。


 手にはナイフが握られている。

 皮を剥ぐ際に使われるデカい刃物。

 それを友人の足の這わせて脅す。


 大切な友達。

 通っている小学校で一番よく話す友達。

 その友達が危機的状況下にいるというのに、

 ボタンの心には全く不安や恐怖が見当たらなかった。



「(あの少年との面識は無し。データにも無し。無し無し無し! 何故私が。夢の主人でも無い私が、物語の主人公になっているのか理解不能。サルベージ求むサルベージ求むサルベージ求)」



 猟師は友達の足を掻っ捌いた。

 ナイフで簡単に。小学生とはいえ人の足を一秒足らずで切って見せた。


 階段から落ちてくる友達の足。

 足の切断面からは血ではなく綿が溢れている。

 だから私は不安に思わなかったのか。


 カートゥーンの猟師は再び高らかに笑う。


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