350
前話同様、今回だけ見ても理解不能です。
今回も雪解ボタンと三人称視点の切り替えです。
「……350回目の暗転。ここは」
目の前には木製の階段と手すり。
右側と背面には壁があり、左側は視認不可。
今回の夢は階段で何かが起きると推察。
「(不可解……サルベージ要求を繰り返しているにもかかわらず、一向に戻れない。信号は送れている。受信側の故障? あるいは私自身が何かしらの信仰を受け)」
『ハッハッハー!』
階段の上で高らかに笑う男。
カートゥーンアニメから出てきたと一目で分かる。
男は猟師だ。
服装は熊皮のベストとチェック柄のシャツ。
ライフル銃を背中に背負っている。
無精髭を生やした顔が縦長のヴィラン顔。
その男が私の、
雪解ボタン友達を人質に取っている。
手にはナイフが握られている。
皮を剥ぐ際に使われるデカい刃物。
それを友人の足の這わせて脅す。
大切な友達。
通っている小学校で一番よく話す友達。
その友達が危機的状況下にいるというのに、
ボタンの心には全く不安や恐怖が見当たらなかった。
「(あの少年との面識は無し。データにも無し。無し無し無し! 何故私が。夢の主人でも無い私が、物語の主人公になっているのか理解不能。サルベージ求むサルベージ求むサルベージ求)」
猟師は友達の足を掻っ捌いた。
ナイフで簡単に。小学生とはいえ人の足を一秒足らずで切って見せた。
階段から落ちてくる友達の足。
足の切断面からは血ではなく綿が溢れている。
だから私は不安に思わなかったのか。
カートゥーンの猟師は再び高らかに笑う。




