夢幻病
初挑戦作品第一号
他にも何作かあらすじだけを投稿する予定です!
初心者ですので
優しい目で見てやってください...
【夢幻病】 別名:SES
発病日時:2070年4月1日 時刻:膨大
SESは原因不明の集団的な病気である。
発生源 治療法 原因
それら一切が謎に包まれた奇病。
唯一判明している『対象は当時の未就学児全員』『発病者は皆、眠った様に気を失う』という点である。
皆、電源を切った様に倒れ込んだ。
食事中に 排便中に 遊戯中に 工作中に
信号を渡っている最中に 川で泳いでいる最中に
戦地から逃れている最中であろうと関係なく発病した。
当時、世界中の病院は騒然としていた。
同時多発テロでも起きたのか。
そう思い違ってしまう様な人の雪崩れ込み。
必死な形相で我が子の異常を訴える。
だが検査結果は全員、ただ眠っているだけ。
体の中からウイルス等は発見できず、
脳波や体に異常は見受けられなかった。
一週間と経たず、
全世界の首脳を動かす問題へと発展した。
首脳の中にも被害にあった人はいただろう。
普段では見せない、強気な姿勢で会議に臨んでいた。
緊急事態宣言が発令された。
全ての病室は急遽、子供の寝床に。
症状の軽い患者、退院一週間〜二週間の患者は出て行かせた。
この年代はまともな医療を受けられなかった。
政府へのバッシングは常軌を逸していた。
それを覚悟した上で彼らは強行手段をとった。
一日でも早く、原因を突き止め、我が子と再会する為に。
更なる問題が発生した。
否、発生していた。
後に生まれた赤ん坊にも、同様の症状が発症していたのである。
赤ん坊は出産時には泣き声を上げ、生まれてきた事を両親や周りの人間に伝え証明する。それは人類誕生から変わらない、不変の継承だった。
取り出された赤ん坊は生きていない。
母親の腕の中で眠るように安らかな顔をしている。
泣く代わりに寝息を立てている。
生まれたばかりの弱々しい赤ん坊。
しかし生まれる寸前までは、母親のお腹の中で守られていた。夢幻病に罹る筈がない。その事実は崩すことができない。
医者は匙を投げ
神に祈りを捧げた人もいた。
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一年が経過した。
混乱は未だ止まず、けれど懸命に調査した。
その結果、二つの事実が確認された。
一つは発病者は不死と化す。
死なないといっても不死身という意味ではない。
肉体的な損傷を受ければ死ぬ。
しかし点滴による栄養補給等が無くとも、
生きていられるという実例が各所から上がっている。
肉体は眠った当時のまま。
一切のエネルギー供給を必要とせず、
衰弱することも、筋肉や骨が縮むこともない。
二つ目は原因不明が今尚継続中。
最新の医療機器で調査しても原因不明。
身体を開き、頭を開け、脳までイジった。
だが原因は不明。
非公式ではあるが、
ある医者が孤児を用いて実験を行った。
非人道的な実験だ。
その医者曰く、この病気は人類が不老不死になるための鍵であると。死刑が執行される寸前まで言い続けたらしい。
現場検証の際に発見された資料。
実験の最中、一人の子供が一瞬ではあったが、
目を覚まして言葉を話したという記述が見つかった。
診察台の上、死の間際に子供は目を開いた。
脳がむき出しの状態で、上半身を起こし子供は当たりを見渡し、言葉を言い終えると折れ倒れた。
その言葉は、その後の研究資料に度々登場した。
【ここは嫌だ 早く帰らないと みんなが待ってる トム ジョニー アリソン ワタナベ 今 イク ョ】
その子供に渡航歴はない。
孤児で学もない。
だが寝ぼけた発言にしては意味深だった。
この資料は一つの国が保持している。
情報は開示していない。
これは強みだからだ。
世界が混乱している。
神の存在や地球滅亡説まで現実味を帯び始めた。