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スパイはいかがですか?  作者: 東西 南南
1/1

file.1 レイ・クロノス

 霧で覆われた世界。ここエインワース王国は貴族派と国王派の戦いがまさに激化していた。


「おい!!あっちに行ったぞ!!」


「逃がすな!!あいつは重要な情報を盗み出した!!逃がしたらこの計画はダメになる!」


 霧の中に光が生まれると魔法陣から炎の塊が一人の男を襲う。


 男はその炎を華麗にかわすと追いかけてきた男たちに銃弾を浴びせる。


「こんなところで魔法打つかね。危ないでしょうが。」


 男は自分の発言がそのまま返ってくる発言をする。


 今、男たちが戦っているのは貴族の住宅街の真ん中である。


 深夜ということもあり人通りはまばらであるが完全にいないわけでもない。

 それなのに魔法や銃撃を行っているのだ。


 組織から逃げている男の名はレイ・クロノス。クロノス男爵家の長男である彼の職業はスパイ。コードネームはゼロ。現在は国王暗殺を目論む貴族派の貴族から実行する人のリストを奪い取って逃げているところである。


 ちなみにクロノス男爵家はエインワース王国の諜報部隊であるクロウズを指揮する貴族だ。


 レイの生い立ちを話すと長くなる。


 彼は日本からの転生者だ。


 日本では自衛隊に所属していた。「日本を守る。」そんな大それた目標があったわけではない。就職活動が失敗に終わり、路頭に迷っていた彼がたまたま見た掲示板に自衛隊募集の張り紙を見つけ立候補したのだ。


 理由はわからないが彼は試験に合格し、これも理由が分からないが昇格していった。意外と適性があったのかもしれない。


 そんな運がいい彼でも人生最大のミスを犯してしまったのだ。彼は日本でも諜報機関に勤めていたのだが潜入中に携帯が鳴り、あっけなくスパイだとバレて処刑されてしまった。


 目が覚めると世紀末のロンドン風な世界があった。封建制度がまだ採用されていて貴族や王族が権力を握っている。そんな世界でも車やテレビなどは普通にある世界だ。


 世界観もおかしかったがもっとおかしいのがこの世界には魔法が存在しているということ。あらゆる科学製品は魔法付与で作られている。車が走れるのはガソリンではなく、魔法石に魔力を貯めるからであり、テレビが映るのも電気があるからでなく、魔法石に魔力を貯めてあるからである。


 そんな世界に転生した彼は自分の転生先が貴族であると分かると歓喜した。就職活動をせずとも好いからである。ただ、その家が諜報機関を統括する家だと分かると絶望した。


 前世でも諜報活動、今世でも諜報活動だからである。


 ただ、ここでも驚異的な運と前世の知識を生かして組織のナンバー2にまで押しあがったのだ。

 ちなみにトップは自分の父親である。


 そんな彼でも管理職としてデスクワークにはならずにバリバリ実行部隊として活動()()()()()()()


 理由としてはまだ若いのとレイはセンスの塊であり、自分が不利な状況になったとしても切り抜けることができるという理由を盾に父親から命令されたからである。







 レイは、近くに止めてあった愛車のスポーツカーに乗るとアクセル全開で走る。

 応援に駆けつけてきた敵はレイの車に魔法を連発するが魔法・物理攻撃完全防御の彼の車には全く意味がなかった。


 車の中でレイは偽りの顔をはがす。


「ふぅー、やっぱり素顔が一番だな。マスクつけてると顔がかゆくなるし。」


 そういってアクセル全開で快調に走っていた車はクロノス男爵邸の前に着くと屋敷の前にいた使用人が話しかけてくる。


「ゼロ様。お疲れさまでした。お車は私がガレージに入れておきます。」


「ありがとう。頼んだよ。」


 使用人に車のカギを渡すと盗んだ資料を持ち、屋敷に入っていく。

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