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剣と魔法の世界から日本に転生した賢者~バカとテンサイはカミヒトエ~  作者: 九傷
二章 速水桐花

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第31話 嘘だといってよ、麗美……

 



 如月晶子、及び如月拓矢の拉致事件に関しては、色々と手を回した甲斐もあり穏便に収束することができた。

 不破達が撮った写真や動画などに付いては全て回収し、消去済である。

 念入りに監視網を張り巡らせていたので、拡散も恐らくはされていないだろう。

 少なくとも、データ的なやり取りについてはされていないハズだ。


 因みに、その不破達については、不破を除いて全員解放済である。

 解放前に必要な処置は施しているので、今後俺達に接触することはほぼないだろう。


 ちなみに、必要な処置なんて言うと洗脳や拷問でもしたのかと思われるかもしれないが、実は大したことはしていない。

 ちょっとした記憶操作で、不破や俺達と出会う前後の記憶を曖昧にしたくらいである。

 本来であれば、ピンポイントでの記憶操作は中々に難易度が高いのだが、数日以内の記憶を薄れさせる程度であれば、麗美くらいの魔術師にかかれば容易なことだ。

 やってることは、重度の酔っぱらいが先日の記憶を無くすアレ(・・)を故意に引き起こすようなものである。


 不破については……、まあデリケートな案件なので少し置いておこう。

 研究所の連中がやる気を出しているので、多分周囲には大きな問題を起こさないハズだ。

 まあ、不破自身に関しては知らないが……



 色々と面倒ごとはあったものの、我々『正義部』はついに念願の新入部員を獲得した。

 それも二人、しかも男で!

 二人とは、もちろん如月真矢と尾田君のことである。

 尾田君はあまり乗り気ではなかったんだが、これだけ関わったんだから~、と訴えるように誘ったら渋々了承してくれた。

 相変わらず律儀な男である。

 そんな彼だからこそ、俺は気に入っているのだが。


 ともかく、これで『正義部』の男女比は3:3である。

 これは我が部、というか俺が抱えていた問題を大きく改善し得る数値だ。

 この比率であれば、正義部が『女を囲っている不純な部』だなんて言われることは、もうないだろう。

 これで、俺に向けられる辛辣な噂や態度も緩和されるハズ!!





 ◇





「そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました……」


「……おい、いきなり招集をかけて何かと思ったが、一体どうした?」



 俺の(うれ)いを帯びた台詞に、真っ先に反応してくれたのは尾田君である。

 流石は我が心の友だ。

 彼は現在、体格の関係で上座というか、お誕生日席のような位置に座っている。

 その雰囲気はいかにも部長といった風格であり、いっそのこと彼に部長を任せても良いんじゃ? と俺は思っていたりするのだが、それはまた今度、別途相談することにしよう。



「尾田君……、君なら薄々気づいているんじゃないかな? クラスの雰囲気とかで」


「…………そういえば、なんか妙に好奇の視線だったり哀れみの視線を向けられてるような気もするが、それと関係あるのか?」



 まさにそれだよ尾田君。

 実に、実に由々しき事態なのである。

 これは想定していなかった……

 いや、正直想定したくなかった……



「兄者、まさか事件か!?」


「いや、事件というか、如月君のそういうところが原因というか……。ともかく、俺を兄者と呼ぶのはやめてくれと言っただろう?」


「部室では良いじゃないですか、兄者」



 兄者、という単語を聞くたび胃がキリキリする。

 この男の、この態度こそが、今俺達に向けられている視線や噂の内容に直接関係していると言っても過言ではないというのに……



「……諸君、現在、我が部にとって大変不本意な噂が流れていることを知っているかね?」


「それは……、良助が私達のご主人様だとかいう?」



 何それ。

 そんなの知らない……。知りたくない……。

 一重は一体、どこでそんな噂を聞いたのだろうか……

 クラスメートとの接触は可能な限り排除しているので、情報源は限られてくる

 そう思い静子を見ると、本人はキョトンとした顔をしていた。

 代わりに麗美が、バチコンバチコンとすっかり上手になったウィンクで応えてくる。

 ……コイツか。

 余計なことを、と思ったが麗美の情報なら信憑性は高いハズ。(うつ)になりそうだ……



「……一重、麗美辺りから何か聞いたのかもしれないが、それとは別物だ。主に噂になっている対象が違う」


「対象が違う……? ……なあ、神山。俺は少し嫌な予感がしてきたんだが?」


「その予感は正しいよ、尾田君……」


「兄者! 俺には何のことかわからないぞ! 噂ってなんだ? ご主人様? 説明してくれ兄者!」



 真っ直ぐで好奇心旺盛なのは大変結構だが、鬱陶(うっとう)しいぞ如月君! ていうか兄者って呼ぶんじゃねぇ!



「……麗美、説明してやってくれ」


「畏まりました。マスター」



 俺に頼まれたのが嬉しかったのか、活き活きとした表情で引き受ける麗美。



「如月君、実は如月君達二人が入部する前、我々『正義部』にはあらぬ疑いがかけられていました。それは、マスターが私を含む女子三人を囲い、ハーレムを形成しているというものです」



 全く、酷い噂である。

 大体に、普通に考えてそんなことできるワケないじゃないか……

 ハーレムなど、ティーンの妄想もいいところである。

 ……いや、ティーンだからこそ、その発想なのか。


 他にも、この部がたった三人で設立を認められたということに対し、色々な憶測が飛び交っている。

 会長を手籠めにして言うことをきかせたとか、親の権力がどうとか、ありもしないことをアレコレと……



「まあ実際、本気でそう思ってるのは全体の約3割程度だと思われます。残りの7割は妬みだとか、爆発しろだとか、そういった感情から噂に乗っかっているだけですね」



 俺はそれを聞いて少し戦慄を覚える。

 3割は、本気だったってことか……?

 嘘だ、嘘だといってよ、麗美……



「それは……。でも、確かにこの部の女子は全員美人だしな。以前の俺なら、リア充爆発しろと思っていたかもしれない」


「あら、美人だなんて如月君、随分とお上手なんですね?」



 静子も一重もやや照れた様子だ。



「いや、女性は素直に褒めた方が良いとお袋がな。兄者を見習うつもりなら、まずはあの女たらしぶりからにしろと」



 晶子さん!? もしかして俺、女たらしだと思われている!?



「まあ、動機は不純なようですが、正直な気持ちで言ってくれているのなら悪い気はしませんね。さて、これまでの状況については理解していただけましたね?」


「ああ」


「はい。ではそれを踏まえたうえで、現在流れている最新版の噂について説明致します。まあ、特に捻りもないので簡潔に言いますと、マスターのハーレムに、新たにメンバーが二人(・・)追加された、というものになります」



 そう。それだそれ。

 もう、マジで勘弁して欲しい。



「ちょ、待てよ! なんだそりゃ!? 俺達は男だぞ!?」



 ある程度予想はしていた尾田君だったが、どうやらその予想よりも現実は酷いものだったらしい。

 いや、もしかしたら、その噂に自分は含まれていないと思っていたのかもしれないな……

 残念だったな、尾田君!


 まあそれは良いとして、尾田君の疑問についてはもっともな話である。

 俺も同じ疑問持ったさ! でも現実はいつの世も……、たとえ世界が変わったとしても、残酷で非情であることは変わりなかった。



「はい。ですからマスター、尾田君、如月君の三人には、現在ホモ疑惑がかかっています」



 オブラートに一切包まない直接的な回答をありがとう麗美。

 でも、それは正確じゃないな。



 何故なら、俺に限定すれば、バイ疑惑がかかっているのだから!!!!!


 ああ……、胃が痛い…………



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[一言] 嘘だといってよ、バー○ィ( ˘ω˘ )
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