仕事探し
^_^
街を歩いていて思ったことがある。
仕事どうしようと。
俺はこの世界について全く知らない。どこでどんな仕事があるのか、どうやって仕事につけるのか、何も分からない。
あの門番の人が言っていた土属性とは?魔法のタイプのようなものだろうか。だとしたらどんな仕事が向いているのだろう?
もし魔法のタイプだとしても魔法はどうやったら使えるのだろうか。
「オーク肉1kgあたり20リルだよー!お買い得だよー!」
リル?オーク?また知らないことが増えた。
オークは子供の時やったゲームで聞いたことも見たことがある。それと同じようなものならば豚の顔をした人型の獣のはずだ。
声が聞こえた方を見てみると、そこには屋台があり沢山の肉が置いてあった。その上に『オーク肉』と書かれた紙がぶら下がっている。
あれがオーク肉か…。生なのに美味そうだ。
そういえば『リル』というのはこの街の通貨だろうか、1リルというのがどれほど価値があるのか分からないせいで安いのか高いのかよく分からん。
通貨の価値が分からないのは仕事を選ぶ際に良い仕事かどうか判断がつきづらい。
ここは商店街のようなのでどれが何リルなのか知ることが出来る。仕事を探す前に商店街をブラブラして、通貨の価値をある程度知っておこう。
少し経って。
なんとなく分かった。1リルは十円ぐらいだな。
だからオーク肉は200円ぐらいだな。1kg200円はかなり安い。なにか理由があるのだろうか。
まぁいい、これで通貨の価値が分かった。これで仕事の良し悪しがある程度分かるようになった。
さて、オススメの仕事を周りの人に聞いてくるか。
いや、仕事探すの面倒くさくなったとかじゃない。こればっかりは独学じゃ時間がかかりすぎるから調べてる間に野垂れ死んでしまう。だからこれは人に聞く。
俺はまず、焼き鳥らしきものやっているおっちゃんにオススメの仕事を聞きに行く。
「よう!かわいいお嬢ちゃん、何がほしいんだい?」
「あの…オススメの仕事ってありますか?」
「オススメの仕事ぉ?お嬢ちゃん、訳ありか?」
理解力すごいなこの人。
「そうだな…お嬢ちゃん、属性は?」
「土属性です。」
「おっいいもん持ってんじゃねぇか!なら冒険者だな!」
冒険者?なんだそれは。そうだ、思い出した。子供の頃やっていたゲームでそんな職業があったな、でも聞いてみるか。同じじゃない可能性が高いし。
「すいません冒険者ってなんですか?」
「ああん?お嬢ちゃん冒険者知らねぇのか。簡単にいや規模が大きい雑用だよ。」
「…それって大丈夫なんですか?」
規模が大きい雑用って…あまり良くなさそうだ。
「大丈夫かと聞かれたら、全然大丈夫じゃねぇな。毎年死者が結構出るし収入も安定しねぇ。」
「全然ダメじゃないですか。」
冒険者が俺の中で働きたくない仕事ランキングトップ3にランクインした。
俺が失望した雰囲気を出していると焼き鳥屋のおっちゃんが困ったように自分の頭を撫でる。
「んなこと言われたってな〜、お嬢ちゃんのような奴は冒険者ぐらいにしかなれねぇよ。」
「え?なんで?」
「お嬢ちゃん、訳ありなんだろ?その様子だと身分証明証を持ってなさそうだしな。」
身分証明証…確かにそんなもの持っていない。なるほど、仕事を得るには身分証明証が必要なのか。というかよく分かったな、透視でもしてるのか?
「冒険者は身分証明証いらないのですか?」
「あー、冒険者協会っつーところで、登録をすると冒険者カードが貰える。そいつが身分証明証の代わりになるんだよ。普通の身分証明証より不便だかな。」
なるほど、身分証明証がない人に対する救済処置のようなものか。それが無ければ野垂れ死んでいただろう、ありがたい処置だ。
「そうだ、おいお嬢ちゃん。礼儀正しいのは良いがそんな口調じゃ舐められちまう。今の内に変えておけ。」
「口調…ですか?」
「そうだ、敬語じゃ冒険者の奴らは下手に出てるのと勘違いされちまうぞ。」
まじか。そんなに野蛮というか無法者というか…そんな奴らの巣窟に俺は行こうとしているのか。
しかし口調か…。前世の口調じゃおかしいよな、今は女の子だし。しかも15歳ぐらいの少女だ。
…よし。それっぽい口調にしてみよう。何なら頭の中に自分が思うこの姿の性格を作っちゃおう。
全体的に細いスレンダーな体型。黒く長くどこかフワッとした髪。俺は活発的な女の子の見た目だと思う。
それを踏まえて…うん、この性格でいこう。
「わかったー!」
俺は手を上げてニッコリと笑う。その姿ははしゃぐ子供の様だろう。おっちゃん、どうだ!?
「…こっちのほうが舐められそうだな。」
「ええぇ!?」
俺は大げさに身体を動かし全身で驚きを表現する。
自分で演じながら思う、これただの無邪気な子供だと。
「それが素なのか?」
「そうとも言うしーそうとも言わなーい!」
両手を高く上げ、楽しそうな声を上げる。
あれ?自分の意思に反して勝手に動くぞこの口と身体。
「…言わないほうが良かったか?」
「大丈夫!大丈夫!おっちゃんの言葉は無駄じゃなかったよ!」
身体を横に向け左手をおっちゃんに向けてサムズアップしながらウィンクする。
…何やってんだ俺!?まずい脳内で作った性格が頭から離れない!!そのせいで意思に反して身体が動く!誰か止めてくれ!!
俺が性格を作ってしまったことに強い後悔を感じながら、おっちゃんが冒険者協会の道のりを教えてくれた。そのおかげで俺は職を手に入れることが出来そうだ。
はぁ…本当にどうしよう、この性格。
冒険者協会の前にて。
ここが、冒険者協会か。おっちゃんの言うとおり進んでいったら着いた。想像してたより大きいな。ちなみに作った性格はまだ残っている。
冒険者協会に向かっている途中に作ってしまった性格を頭の中から消してしまおうとしていたが無理だった。何をするか、行動は決められるが口調や仕草は勝手に動いてしまう。
どうやら自分は司令塔になってしまったようだ。でもこれにも良い点がある。それは意識しなくても女の子らしい行動をとってくれるという点だ。あと自分が動かしていたら出来ないであろう事が出来たりする。指パッチンとか。
なんだか自分の身体なのに傍観者になった気分だ、感覚はあるが。
話を戻して、冒険者協会に入るとするか。
俺は酒場とかにありそうな小さなドアを両手で開けて、中に入る。
それと同時に中で食事を取ってい人達から視線のプレゼント。
嬉しくないが、性格は嬉しそうだ。
俺は冒険者協会の中を見回し、受付らしき場所に向かっていく。
向かっている間に周りの人の話が耳に入る。
「おい、あいつ誰だ?」「知ってるぜ、あいつは門で全裸だったやつだ。街中で噂になってる、ヤベェ奴が街に来たって。」「え?そんなにヤバい奴なのか…顔は結構良いのによぉ…。」「ああ…顔は良いよな。」「冒険者協会に来るって何か依頼でも出すのか?」「服を探してほしいとか?」「なるほど…いやでも今服を着てるぞ?」「…じゃあ何のために?まさか冒険者登録するためか!?」「ヤベェのが来るのか…嫌だな。」
…嫌なことを聞いてしまった。街中で噂になってるとかまじかよ、ついさっきの出来事だぞ!?速すぎる…。
「冒険者協会にようこそ!どういったご要件ですか?」
「ご要件は〜冒険者になる為でーす!」
受付の人困惑してる。きっと変なやつが来たっ!とかおもってるんだろうなぁ。
「えっとそれならこちらの魔道具に手をかざしてください、そうしたらで冒険者カードが出てきますので、お受け取りください。」
「わかったー!」
俺は受付の言うとおりに手をかざす、そしたら手に違和感を感じたと思ったら魔道具からカードが出てきていたので、俺はそれを取った。
…え?もう終わり?
「はい、冒険者登録完了です。」
「質問あるよー!」
俺は元気よく手を上げる。質問なんて無いんだが。
「…どうぞ。」
「この冒険者カードはどんな機能があるんですかー!」
機能?何を言ってるんだこの肉体は。
「カードの所有者が死んだ場合、冒険者協会は死亡通知が届くという機能がございます。」
あるのかよ!死亡通知って!別に知る必要が無くないか?
「質問はもうございませんか?…では冒険者人生をお楽しみ下さいませ!」
想定外な事がいくつか起きたが、俺は無事職を得ることが出来た。
(+_+)




