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この過酷な世界で  作者: マリモ二等兵
2/7

人との遭遇

投稿が速いのはストックがハーメルンの方でも投稿していたからです。

 グゥぅぅぅぅぅ!!

 

 俺は腹の虫で目が覚めた。最初は誰のか分からなかったが、ひどい空腹を感じ、これは自分自身のものであると気付いた。

 

 そういえば転生してから口にしたのは水だけだ。だからこんなにも腹が減っているのか。

 何か食べるか。周りを見れば真っ赤な果実や白いベリーなど食べられそうなものはあった。

 しかし全く知らない植物は食べるべきだろうか。もし食べたのが猛毒だったら死んでしまうだろう。でも食べなかったら人に会うまでに生き残れそうにない。


 …完全に運だが仕方ない。周りのイケそうなもの選んで食べよう。


 かなり迷ったが俺は赤色の果実を食べる事にした。なんとなく赤色のほうが食べられそうだったからだ。

 赤色の果実を手に取り、顔に近づけて見る。かなり美味しそうだ。

 俺は美味そうな果実に口にする。シャリっとリンゴのような音が鳴るが、口に広がったものはイチゴだった。


 …なかなか不思議な果実だ。俺の記憶にこんなものは無い。かなりマイナーな果実なのだろうか?それとも俺が無知なだけか?


 沢山あった赤色の木の実を腹八分目になるまで食べる。満腹まで食べなかったのは、満腹になったら運動能力が低下してしまうと思ったからだ。腹いっぱいになると動きたくなくなるし。


 さて、寝てご飯を食べた。人探しを再開しよう。

 

 が、昨日どちらに向かっていたのか分からないのでまた枝に決めてもらうことにした。

 俺から開放された枝は逃げること決意したようで、前に倒れた。まっすぐ進む事に決定だ。

 俺は枝が指し示した方向に歩みを進めた。








 3時間後。


 長い距離を歩いた気がするが動物の出現や植物による妨害のおかげで思ったより進めていないだろう。

 そんな事を考えていたので気が滅入る思いだったが、木と木の間から平原が広がっているのが見えたのでそんな思いは吹き飛んでいった。


 この森から抜けられる。


 そんな思いが心を支配したからだ。この森は俺にとってトラウマのようなもので、いつか出られる日を心待ちにしていた!早く出たい!

 

 俺はそこに走って向かい、そして太陽がサンサンと空から光を落としている広大な平原が目の前に広がった。ついでに遠くに高い壁に覆われた大きな街も。

 

 「おおお!!」


 美しさを感じる景色に思わず声を上げてしまう。俺は人生初めて牢獄から出た囚人の気持ちを知った。

 俺は草原を歩き、草の柔らかいような硬いような感触楽しんでいた。ある程度歩くと森を抜けたという安心感からか力が抜けて座りこんだが、お尻に草が刺さって痛かったのですぐに立ち上がった。


 …さて、平原は堪能した。次は人だ。


 俺は遠くにある街に向かって歩きだす。歩いて向かっている時、あることを思い出した。致命的な、人間としてなくてはならないものが自分に無いことを。


 俺全裸だ。なにも隠してない。


 ………どうしよう。完全に変態だ。しかも今俺は少女、ぐへへな事をされてしまう可能性がある。

 そう思うとかなりやばくないか?ど、どうする?また森に戻るのは嫌だ。ぐへへな目に遭うのも嫌だ。


 くそっ!なんでこんなにデッド・オア・デッドな選択肢ばっかなんだ!どうする!?どうする!?

 

 俺は必死に頭を回す。どっちが生き残れる可能性が高いか、いくつかシュミレーションしてみる。

 森に戻る場合、すぐに死ぬという結果が出た。

 街へ向かう場合、死の可能性は低く運が良ければ不幸な目に遭わずに済む結果になった。

 …よし、街に行こう。あの街に住んでいる人が優しいことを祈りながら俺は街に向かった。






 街の近くにて。


 俺は草むらに隠れていた。

 

 高い壁には門がある。そう思い門を探し、見つけた。当たり前だがそこには門番がおり、外から来た人達の行列が出来ていた。遠くから見てみれば何か検査のようなものをやっており、見たことない機械を使っていた。


 街に入るには列に並び、検査を受けなければならないのだろう。そんな事を全裸の俺に出来るのだろうか?いや、出来ない。だから俺は草むらに隠れて入れる機会を待っていた。


 彼らを観察していて疑問に思ったのが服装だ。

 小さなポーチにボロボロな服を着ていて、特におかしいと思ったのが背にある大剣だ。使い古しているのかところどころ欠けていた。

 その隣にはデカイ帽子に黒いマント、手には先に宝石がついた杖を持っていた。

 門番は白い鎧を着てチェストプレートには紋章のような模様があり、腰には剣をぶら下げていた。


 なんというか、とても現代の服装じゃない。コスプレ大会かと思ったが、なぜかここは異世界だという考えがよぎった。そんなはずが無いと思いながらも、なんとなくそんな気がする。見たことない果実に威圧感を放つウサギ、そして転生。

 これら全てが証拠になり、異世界だという確証が生まれる。


 …まぁ異世界だったとしても状況は変わらない、俺は全裸でバレたらヤバい。


 さっきからずっと見ているがあの門番、全く隙を見せてくれない。夜になるまで待つか?いや、夜だからといって警備が甘くなるとは限らない。

 う〜む………………。


 ええい!!焦れったい!ダッシュで突撃だ!もうどうにでもなれ!


 俺は草むらから飛び出し、門に向かって列を抜かしながら向かう。


 「うわ!?」「なんだあれ!?」「速くて黒いぞ!」「女の子だ!!」「なんで全裸なんだ?」「露出マニアか!?」「あいつすげぇ変態だな!!」


 耳に嫌なのが入ってくるが構うものか!その警備、抜けさせてもらう!!


 「ちょ、き、君!待つんだ!ッ防御結界起動!!」


 あだぁ!?思いっきり頭をぶつけた、メチャクチャ痛い。頭蓋骨にヒビ入ってないか、心配になる。


 「だ、大丈夫かい?」


 そういいながら仰向けで倒れている俺に布を被せる。隠してくれるんだ、優しい。

 

 「えっと立てるかい?」


 「…はい。」


 手を差し伸べられて急に頭が冷えた。何やってんだろ、俺。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 俺は門番の人に案内され、とある部屋で座らせられる。目の前に机があり、その奥に門番の人が座っている。門番の人が俺に質問をしてくる。


 「君の名前は?」

 「……。」


 いきなり難問。前世の名前を言おうとしたが身体が違うからやめた。じゃあなんて名乗ろうか。いろいろ思いつくけどどれもイマイチだ。

 俺が今世の名前を決められず黙っているのを、門番の人は言いたくないと受け取ったのか分かったと一言、次の質問をしてきた。


 「どこから来たの?」

 「……。」


 異世界から来ました。なんて言えるはずもなくまた黙ってしまう。なんだがコミュ障みたいだ。

 門番の人は質問に何一つ答えてくれないことにため息をついている。

 まずい、せっかく優しい人に会ったのにこれはまずい。何か一つ、今までの沈黙の理由となることを言うんだ!

 ……よしッ!これだ!


 「お、わたし…記憶が無いんです…。」


 俺と言うところだったがちゃんと言えたな。切ない表情と声で言ってので説得力があると思う。記憶喪失の人見たことがないから分からない。


 「そ、そうだったのか…すまない、答えられないとは知らずに質問をしてしまって…。」

 「え?いや、良いですよ…すぐに言わなかったわたしが悪いので。」


 この人ほんとにいい人だな。記憶喪失だと思わせることにも成功しているし、今の所いい感じだ。


 「えっと名前も覚えてないの?」

 「……はい。」


 覚えてない、というか知らないな今世のは。あ、そうだ。この人に名付けてもらおう。いい人だしきっと変な名前はつけないはずだ。


 「その…名前をつけてもらっても良いですか?」

 「え?誰に?」


 ここには俺とあんたしかいないんだが…透明な人でもいるのか?


 「あなたにです。」

 「え!?僕!?」

 

 そんな驚くこと?大丈夫、ひどい名前だったら却下するからさ。気軽に言ってくれ。


 「えっと……黒い髪だから『クロ』っていうのはどうかな?」


 猫かな?やめてほしい。


 「じ、じゃあ『ノワール』。」


 うっ!学生時代を思い出す。やめてほしい。


 「……『スファギ』っていうのは?」

 「どういう意味?」

 「えーっとごめん…思いついただけで特に意味はないんだ。」


 まぁ…クロとかノワールよりはマシか。意味が無いのならどうこう言われる心配は無いし。


 「今日からわたしの名前はスファギにする。」

 「ええ!?い、良いのかい?」

 「うん。」


 これでよし。名前が決まった。門番の人は君が良いのならいいよと言って、どこからかあの見たことがない機械を取り出した。


 「それは何?」


 門番の人は少し驚いた顔を見せ、笑う。


 「これはね、人の属性と天術を知れる魔道具だよ。これで君の属性を見る。」


 門番の人がそれをトントンと指を叩きながら説明する。

 属性?天術?魔道具?何言ってるんだ?ふざけてると思ったがそれらしい気配が感じられない。ということは言っていることは本当ということ。

 まったく分からん。知らない言葉を一言で3つも出さないでほしい。


 「それじゃ見るよ。…おお!土属性か!良いの持ってるね!」


 待って、話を進めないでくれ!一週間休んだ後の数学みたいになってるから!

 門番の人に俺はいろいろ聞こうとしたが、門番の人の同僚らしき人が入ってきた事によって止められた。

 

 「あの…。」

 「おい!いつまでやってんだ!そろそろ戻ってくれ!」

 「ああ、分かった。ごめん!服は後ろのクローゼットに入ってるから適当に着てくれ!出口はその横にあるよ!」


 門番の人が急いだ様子で部屋を出ていき、部屋には布だけ羽織っている俺だけが残った。

 俺は門番の人の言うとおり後ろのクローゼットを開けて、適当に服を着る。黒い長袖の上着とショートパンツ。ファションに詳しくないのでシンプルな服を着た。


 着替えた後は言うとおり出口から出た。聞きたいことが山程あったが彼も忙しいだろうし、あとにしよう。

 今はこの街がどんな街なのか、どれくらい進歩しているのか、この世界はどんな世界なのか知るとしよう。

 


 


続くよ。

スファギはギリシャ語で虐殺。

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