5.竹下家の血筋と松坂家の血筋
さて、そろそろ登場人物を整理しておこうか…。この物語は『ご主人様は誰?』(全三部作)のうちの第三部。その途中の物語である。父親は松坂大輔、母親は松坂桂子。娘は長女の菫。祖父母は桂子さんのご両親で登、綾子。それから、長男が彩、その嫁の沙希、そしてその息子が空。そして、ここまで地の文を務めさせていただいていたのが僕、マンチカンのパル。ここからは個人名を出して物語を続けていくことにしよう。
そもそも、菫ちゃんが戻って来ることになったのは前述したことが要因の一つではあるが、彩君と沙希さんが離婚して二人とも家を出たことで部屋が空いたからだ。空ちゃんは沙希さんが引き取った。その辺りは色々と事情もあったらしいのだけれど、ここでは触れないでおこう。
菫ちゃんと沙希さんは中学校からの同級生で、今でも仲良くしている。彩君は現在、別の女性と同棲しているとのこと。
引っ越してくるにあたり、菫ちゃんは松坂家の色んなものを断捨離した。ほとんど使われていないキッチン道具や古くなったもので自分が持っているものなどはことごとく捨ててしまった。そして、自分が使いやすいように配置換えして整理整頓していった。桂子さんや綾子さんは使い勝手が急に変わったので最初は戸惑っていたのだけれど、最近はもう慣れたみたいだ。
「ねえ、使ったものはちゃんと洗ってよ」
「水につけてないと落ちないから」
「ばあちゃんが焦がしちゃうからでしょう。大体、火をつけてその場を離れるなんて信じられないわ」
以前、大輔さんがさんざん注意したにもかかわらず全くなおらない綾子さん。大輔さんもとうとう諦めたのだけれど、今度は菫ちゃんが引き継いだ。
ご存じだとは思うが、このおばあちゃん、使った鍋やフライパンには水を張って置いておく。そして、一向に洗おうとせずに放置。次から次と新しい鍋を使っては同じように放置。たいていは見かねた大輔さんが洗うことになる。最近は桂子さんもこの気が出て来た。
「桂子さんが最近、ばあさまに似てきたなあ。若い頃はこんなんじゃなかったんだけどなあ」
大輔さんがそんなことをこぼしている。
「これは竹下家の血筋なのかなあ…」
「じゃあ、私もそうなるの? いやだなあ」
「菫は大丈夫。松坂家の血筋だから」
「でも、竹下も入ってるよ」
「あっ、そうか…」
菫ちゃん、そんなに心配しなくても大丈夫。僕から見ると、葵ちゃんは二人のいいところ取りだと思うよ。