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黒い夕闇 -Light Of Day-   作者: SOUTH
CHANGE THE WORLD
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第六章 第十話 Meet Clash In

 「なんだ……あれ。」


 人生を生きていく上で絶対に見ることはないだろう。

 空を飛ぶクジラや宝石が降る、などと言った天変地異、超常現象。

 予期せぬイメージ。唐突すぎる膨大な情報量。

 今、僕とエリーの遠く目の前には巨大な雷の球体が出現している。


 「きっと、アスト君とアルト君だわ。……あんなことができるなんて。」


 目は見開き、瞳は少し揺れているように見えた。

 この反応は決して大仰なものではなく、至極当然なものであることをわかってほしい。


 「……トール。来るわよ。」


 エリーが察知する。

 女の勘、なんてものは信じないがまだ僕の視界にそれらしき敵影はない。


 「エリー……どこ?」

 「四方から!飛ぶわよ!」

 「え!?」


 一瞬の猶予もなく、エリーの推測は形となった。

 謎の黒き物体がうねりながら僕らを目がけて突撃してくる!

 エリーに手を引かれ壁の上から飛び降りる。

 

 「うわあああああああ!」

 「トール!フラジェリーアに乗って!……来て!サリー!!」

 「フラジェリーア!」


 二頭とも上手に僕らをその背中に着地させた。 

 ……危機一髪だった。

 エリーの好判断がなければあの一撃で殺されていた。

 それぞれ愛馬から降りたところで声が聞こえた。


 「ようやく地に落としましてよ。タンガス。」

 「ああ、そうだな。ヘンレ。」


 ……あり得ない。

 先ほどからあり得ないことばかり起きているが、やはりありえない。

 目の前には、敵国の男女がいる。

 男の方は、どうということはないただの兵士という印象だ。

 しかし、問題は女の方だ。

 先刻攻撃を仕掛けてきた大量の黒い物体は……彼女の髪の毛だったのだ。

 まるで毛髪の一本一本、一束一束に命が吹き込まれているかのように、それぞれが固有の動きをしている。


 「エリー……。あれは、すごいね。」

 「あれも、変形の力だというの……?」


 レッドさんが前に言っていた“可能性の力”とは、こういうことだったのか。

 しかし、あれは変形だけではない。恐らく再生の力も関わっているはずだ。


 「2対2ね。トール、私が女の方と戦う。あなたは男の方をお願いできる?」

 「わかった。エリー、負けないでね。」

 「あなたこそ。……サリー!」

 「フラジェリーア!」


 二頭が駆ける。

 白馬は女を、蒼馬は男を目がけ駆ける。


 蒼馬はその一角を男へ向ける。


 「フラジェリーア!そのまま突け!」


 閃光と化す一角獣は目測ではその速さを攫めないほどだ。

 願わくはこの一撃で仕留めたいものだ。

 しかし、その願望は不発に終わる。


 「へへ、いいぜ。来いよ!」


 男は避けようとはしない。

 むしろ、その受け止めようという心意気すら感じられた。


 「――――――!!!」


 男と蒼馬が衝突する。

 音速を超えうるほどの衝撃。

 常人ならば、体は跡形もなく千切れ、残るのはわずかの肉片のみ。

 しかし、そこには完全に保存されたままの男の姿があった。


 「……硬化解除。……こんなもんかよ。つまんねえ。」


 こいつは、強い。恐らく尋常もなく、その自信が漏れなく溢れ出ている。


 「……ッ!フラジェリーア!そいつから離れろ!」

 「逃がすか!」


 逃げようと駆けだした蒼馬を、なんと男の舌が巻き込んでしまった。


 「フラジェリーア!くそ、一度戻るんだ!」


 蒼馬は黄金の光となって視界から消え失せた。


 「は、そんなことができるのか。」


 男は伸びた舌を器用に戻したあと、言葉を投げ捨てた。


 「なぁ、革命家さんよ。どうだい?楽しいかい?」

 「楽しい?なにが?」

 「戦いだよ!あんたらは世界を敵に回したんだ。世界中があんたらの敵だぜ。俺にとっちゃ四六時中興奮しっぱなしなんだがなァ!どうなんだよ?聞かせてくれよ。今の気持ちってやつをよぉ……。」

 「生憎だけど、ちっとも楽しくなんてないよ。僕達はこの世界から戦いを失くすために戦うことを決意した。お前たちとは違う!」


 男は嘆息を漏らし、露骨なほどにそれを表情にした。


 「……チッ。なんだよ。つまんねえな。」

 「……さっきからつまらないとか、ふざけるのもいい加減にしろよ!」

 「ああ?なんだよ。あの程度の攻撃しかできねぇような奴が俺に指図してんじゃねぇよ。ぶっ殺すぞ。」


 男の眼は本気だった。

 だけど、そのような考えを許容なんてできない。

 戦いを愉むなど、あってはならない。


 「そういう風な言葉遣いはやめた方がいいよ。……馬鹿に見えるからさ!」

 「てめえ……。死んで後悔しな!」

 「再召喚!フラジェリーア!」

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