第五章 第五話 救世主
「滑稽だな!」」
目の前に雷が舞い降りた。
かすかに見えたその姿はまるで機械人間のような、それが二人……。
「お前にこの人たちを殺させやしない!」
「そうだそうだ!」
この場が、少し賑やかになったような……。
「大丈夫?意識はっきりしてる?」
片方の人が寄り添う。僕を気遣う言葉だったが、今はエリーの方が……。
「あの子を……。」
「わかった。」
その人がエリーの方へ駆け寄った。
どうやら、気を失っているようだが命は大丈夫なようだ。
「貴様ら、何者だ。」
バクタさんが問う。
「他国の者ですよ。“リノ”という同郷の方からの要請がありましてね……。」
バクタさんは何か腑に落ちたような表情を浮かべ、また何故か不敵な笑みを浮かべた。
「あの手紙の……。ふん、馬鹿め。だったらあの女と同じように殺してやる。くらえ!」
しまった!生物兵器が来る!抗菌活性のないこの人たちには一撃必殺の攻撃だ!
「……。シュコー。」
「……。シュコー。」
「「……。シュコー。シュコー。」」
「な、なんだ?その大きな面は?」
「いや、生物兵器が来るって聞いていたら当然用意はしてくるでしょう。対策ってやつを。」
僕にも彼らが一体なにを身に着けたのか。
いや、顔に付けたのかは謎だが、どうやら彼らには生物兵器の攻撃は効果がないらしい。
「くっ……。ええい!やれ!」
再び大熊が攻撃を仕掛けてくる!頼む!避けてくれ!
「必殺。スーパーエレクトリカル死ね死ねハイビーム。……決まったな。」
「なにそれ。」
「今考えた。」
「アルト、それは作り直したほうがいいわ。」
何が起こった?
さっき気遣ってくれた方じゃない人が、手からものすごい電撃を放出した。
そして、その電撃は大熊を直撃。
「ヒュー。これで倒れないのね。ちょっと予想外だな。」
「アルト、僕は操り手の人間のほうを攻撃するから、引き続き熊の方を頼む。」
「了解。」
あの攻撃を食らってもあの熊は平気なのか……。とんでもない怪物だ。
熊の方へは、ほぼ拮抗した状態で戦いを繰り広げている。
バクタさんを相手にしている彼の方は、おそらくバクタさんを圧倒している!
しかし、このままではバクタさんが倒されてしまう。
ひとつ聞きたいことがある。なぜ、バクタさんが組織を裏切ったのか。
それを聞くことができないまま、彼に殺されてしまうのは納得ができない!
なんとか、立ち上がることはできる。声も頑張れば張り上げられる……!
「バクタさん!本当に裏切ったんですか!?」
なんとか声を捻り出し叫んだ。
「あいつ!バカか!?」
自分でもおかしなことをしてしまったと思った。
こんな満身創痍の人間がこんな行動をとるなんて、母さんがいたのならきっと叱られてしまうな。
眼前に、大熊の大きな腕が飛び込んでくる。
雷の戦士二人もきっと間に合わない。
バクタさん、それがあなたの答なんですね―――――――。
――――――。
――――――。
―――――生きている?なんで?
「……変形:不屈の剣!!」
そこに立っていたのは、右腕が大きな剣に変化した男だった。
男の剣の攻撃だろう。大熊の腕が宙を舞っている。
「レッドさん!遅すぎですよ!」
「遅れてすまない!……大丈夫だったかい?」
「あ、はい。」
「それはよかった。」
その男の人の眼差しはとても優しくて、だけど強くて、とてもかっこよく見えた。
「アスト!アルト!気を引き締め直せ!倒すぞ!」
「「はい!」」




