第五章 第一話 Re:member
あれから半年の時間が経過した。
教官に頼み込み、できるだけ多くの戦場を経験させてもらった。
自分自身の限界への挑戦。それをテーマにこれまでの時間を過ごしてきた。
アスト、アルト。彼らは一体どうしているだろう。
再会を約束したあの場所へ、今はただ向かうだけだ。
「……。あ!レッドさん!」
「あー。ごめん。どっちがどっちだったか。」
「「ひどい!!」」
「……よし。こっちがアストで、こっちがアルトだな。よく聞けば声も少しは違うし、うん。もう間違わないぞ。」
「よく聞かなくても間違わないで下さいよ。」
「わかっているよ。アスト。」
「いや、僕はアルトですよ!」
「あれぇ~?」
「もしかしてレッドさん、わざとやっていません?」
「はははは。」
久しぶりの再会は、とても賑やかなものだった。
この場所で初めて会った時に、互いに抱いていた感情とは全く対極のものを今俺たちは抱いている。それをきっと信じている。
「レッドさん。聞いてもらえますか?」
アストが真剣な表情になり、話を進める。
「僕達、まずはミラビリスに行くべきだと思います。」
「なにか考えが?」
「はい。お世話になった人からの情報で、どうやらミラビリスには全世界の平和と安定を実現するための反政府組織があるらしいとのことで。」
「なるほど。理念は同じ、か。」
「そうなんです。なので、一度会ってみたい。そう思って。」
「いい考えだ。よくその情報を手に入れてきてくれたね。よくやった。」
「いえいえ!そんなことないです!……あと、直接要請があったんです。力を貸してほしいって。」
「その組織から?」
「はい。なので、行くのであれば早めの方がいいかと。」
「そうか。しかし、どうする?ミラビリス人の攻撃をどうかいくぐる?」
「そのことなんですけど……。」
「?」
そう言って、アストの少し大きめのカバンから出てきたのは大きなお面のようなものだった。
「これは?」
「これは、高密度のフィルターマスクです。すこし大きくなってしまいましたが着脱前後での運動効率の差が極めて少なくすることができた優れものなのです。」
「つまり、これを付けることで呼吸時に奴らの攻撃を吸い込む心配がないってことだな。」
「その通りです。」
「あとは、うん。服で素肌を出さないようにしておけば何とかなるな。良く用意してくれたね。ありがとう。」
「はい。では向かいましょう。ミラビリスへ!」




