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序章 第一話 愛と栄光の日々
俺たちが生きているのは夢の中ではない。
これは紛れもない現実であり、しかしそこに過去はない。
―――未来とは何か。
剣の男は思想に耽る。
この世界はどうあるべきか。
そしてどうしていくべきか。
俺たちが夢にまで見た答を今、形にする時。
しかし、男の立つ場所は世界のどこでもない。
まるで巨大湖のような水たまりの上に男は立っている。
なぜだろう。
過去などないはずなのに、とても懐かしく感じる。
彼らと共に戦った日々を、思い出すのだ。
世界を取り戻すために戦った日々。
“愛と栄光の日々”を。
ああ、とても辛い日々だった。
だけど楽しくもあった。
あの時間は俺にとってとても誇らしい時間。
だれかに自慢したい。
しかし、自慢する相手などどこにもいないのだ。
だから思い出すしかない。
“愛と栄光の日々”を。
―――――過去が動き出す。
そしてそれは現在となり、未来となる。
神は言う。もう一度目覚めよと。
神は言う。悲しみを塗り替えよと。
神は言う。我を倒せ、と――――。