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505.手紙♪

もっと綺麗に書きたい



〈愛しのスイちゃんへ〉

こんなふざけた言葉から始まった手紙は所々私を馬鹿にしたり自分が如何に天才かを自慢する文言が多数、というより八割方そんな感じだったけど要約するととんでもなかった。

〈これ読んでるってことはスイちゃん自分に起きた事とかなーんも理解してないって事なんだろうけどー笑。宇宙一天才で美少女、どころか神様ですら恐れ戦いちゃうくらいすごーいユメちゃんが解説してあげましょー♪ま、私がやったんだけどね(´>ω∂`)てへぺろ♪ 簡単に言っちゃうとユメちゃんがお馬鹿なスイちゃんに見せてあげたかった二つの技の反動です!実際はもっと多く使って見せてあげたかったんだけどスイちゃんよわよわだからさ〜笑。鈴ちゃんはスイちゃんの頭脳つよつよって感じにしたから無理なのは分かってたんだけどまさか脳筋なスイちゃんがそんなに弱いと思ってなかったからねー。まあいいでしょー、そんなよわよわスイちゃんをほんのちょっぴりつよつよーにしてあげるのがユメちゃんの最期のお役目って思ってやってあげるね!〉

とりあえず物凄く読んでるだけでイライラする。けど二つの技というと間違いなく絶界・第九圏(コキュートス)残骸の世界(アシェルデ)だろう。そう簡単に使えるとは思わないけど似たようなものを再現出来たらかなり強力な技となるだろう。

〈多分ねー、時間も全然無いから教えられないと思うんだよ。だから忙しい私がしかたなーくこうして手紙に書いているわけなのです。感謝してね?じゃあ早速一つ目!絶界・第九圏(コキュートス)なんだけどね?あれスイちゃん使えないから。というより使おうとしても容量が足りない?っていうか?まああれって要は世界の再現なんだよねー。スイちゃんの魔力量じゃ足りないしキャパオーバーってやつかな?使う時は偽物の地球にある素因を強制励起して使ってあげるね!多分スイちゃんが順当に強くなって一万年ぐらい修行に費やしたら一回くらいは使えるんじゃないかな?それで二つ目、残骸の世界(アシェルデ)の方なんだけどあれも無理だよ。あっちは世界を創った上で全てのエネルギーを消失させるって感じだから絶界・第九圏(コキュートス)以上に使えないと思います!〉

何の役にも立ちやしない。おい、じゃあ何で使ったし。というかそんなものをなんで使えたんだ。

〈まああれは私が凄いんだよーってことを教える為でもあるので何とか時間掛けてもいいから超えて欲しいなーなんて!まあもし同じ時間を生きていたら絶対無理だけど笑。ところで素因って強制励起出来るんだよね。ねえ?スイちゃん?お馬鹿なスイちゃんはどうして自分の中の制御の素因を励起しないのかなーなんて思ったりしてるんだけど?制御の素因なんてそのまま置いておいても大した役に立たないんだから常に励起しておくくらいで丁度いいのに。そんなことも考えつかないから脳筋なんだよ?〉

書かれている文字を見てハッとした。確かに私は素因の励起をした事があまり無い。確か一回だけ混沌を励起したくらいだ。それだって混沌そのものというよりそこに含まれる概念に用があっただけだ。

〈それと励起の話は置いておいてースイちゃんの身体にその二つの技はすごーく負担が掛かるんだよ。死にはしないし死なせたりなんてしないけど物凄く。でも必要ではあったんだよ?スイちゃんの身体って適応能力が異常に高いから負荷をかければかけるほど身体自体が強くなるんだ。まあ強くなる速度に限界があるみたいだからやりすぎたら普通に死ぬけど。あとその速度もしょぼいけど。だからちょっとばかり裏技を使いましたーぱちぱち〜♪ま、簡単に言っちゃうと、というか簡単に言わないと脳筋なスイちゃんじゃ分かんないと思うけどー絶界・第九圏(コキュートス)でスイちゃんの中の素因を全て凍らせてー残骸の世界(アシェルデ)で全部切ったの〉

…………素因を全部凍らせて切った?

〈素因は凍ってるから壊れなくてーその上で切られた事で素因が爆発的に治ろうとします。けど凍ってるから治んないよね?だからスイちゃんの身体は強制的にスリープ状態となります。何年かは予想だけど五年から六年くらい?だと思う。その期間を全てスリープ状態で過ごしてその間に延々と身体は治癒を繰り返していきます。さっきも書いたけど適応能力凄いから生き残れるとは思うよ。その為にスイちゃんの弟くんと幼馴染ちゃんの所に飛ばすし。だから起きてこれを読んでる時にはすっかり治ってると思うよ!予測だけど素因に穴?というか出力向上の能力が付いて自然治癒能力?も上がったんじゃないかなーなんて?ということで強制パワーアップイベントってやつだー♪感謝してね♪追伸♪いくら何でも指輪の中に入れられて気付かないのはどうかしてるよ?もっと注意力高めて♪お馬鹿で脳筋で愛しのスイちゃんへ☆〉

とんでもない事してやがった。それ以上に何も言えない。何処から突っ込んで良いのか分からないし、あと指輪の中に入れたって書いてある追伸の部分的に多分死神と戦いながら書いたのだろう。流石に魔力で書いたとかなんだろうけど怖すぎる。

それと分かったのがこの知らない天井とか拓が少し成長しているように見えたのは勘違いでもなんでもなさそうだ。多分本当に眠り姫だったのだろう。五年とか六年とかそれくらい。それならあの反応も分かる。

ノックの音が聞こえてきた。多分拓達が来たのだろう。開けようとした瞬間何かが扉から突き出てくる。鈍い輝きが見えた私はそのまま避けずに扉を開き切る。お腹に突き刺さった剣を見ながら開けた先に居た黒ずくめの男の顔を廊下の壁に叩きつけてシミにする。ぐしゃっという音と共にトマトのようになった男の頭を放り捨てながら隣に居た同じ格好の男と思われるそいつの顔に裏拳を入れる。男は反応して腕でガードしながら剣で切りつけようとして、私の裏拳が男の腕も頭も纏めて吹き飛ばして壁に叩き付けた。

「……拓達なんか変なのに巻き込まれてない?」

寝ていた私を襲う理由は無いだろう。ましてや殺そうとする理由も。だとしたら拓達が私が手紙を読み終えるまでにやって来なかった理由とも関係しているのだろう。というか手紙を読んでいて気付いていなかったけど何故か二人の反応が遠い。魔力の残滓を感じるので転移に近い魔法、いやこれは結界かな。結界同士を恐らく入れ替える魔法で無理矢理転移に近いことをされたのだと思われる。流石にこっちの大陸の魔法は進化している。まあその分魔物の脅威がとんでもないけど。

「ん〜、まあ二人がどれくらい強くなったのかは知らないけどその辺の雑魚に負けることは無いと思うし……別にいいか。私を刺せない時点でこいつらの力量なんてたかが知れてるし」

考えている間にお腹に突き刺さった、もといお腹に当たって服すら切れずに半ばで折れた剣が落ちる。

「人族?亜人族?頭潰しちゃったから判別つかないや。ちょっとだけ失敗したかなー」

まあどうでもいい。多分二人が気に食わないとかそんな感じの理由でその二人の縁者である私を殺して二人に嫌がらせか絶望でもさせたかったのだろう。知らないけど。

「ん〜、シェス達もなんか足止めくらってるなこれ。反応が動かないし」

ゼブルが居るのに動かないということは魔族も敵対しているのかもしれない。まあ別に魔族は仲良しこよしの種族ってわけじゃない。そういうこともあるだろう。

「……あ、リーリアとリロイの反応見付けた。気ままに歩いているみたいだし合流しようかな。ここの大陸の問題に下手に関わった二人が悪いってことで。私は無干渉で」

というより起きて早々変なことに巻き込まれたくない。拓とルーレちゃんには頑張って欲しい。

スイ「死体は……放置でいいか」

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