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452.やっぱりこうなるか

短いです。



「貴様!何故ここに!」

ん?どういう事だろう。こいつと会ったのは今日が初めての筈だけどまるで知っているかのような反応だ。あの死人達の視点を覗けるとかそういう能力でも持っているのだろうか?いや、だとしたら見られていることに私が気付かないとは思わない。何か別の手段で見ていたか知っていたか。

それにしても危なかった。こっそりアーラン達に娘のバロールの瞳を付けていたから殺されそうになる寸前に転移で間に合えた。やっぱり私が三王全部殺して魔王も殺した方がいいかもしれない。

バロールは魔眼とか色々使えて便利な子なのだが超がつくほどの恥ずかしがり屋で今回も私の中から魔眼だけ貸して自分は引っ込んでいる。強い子なのだが如何せん使いづらい。

しかし死人達を残してるから少し心配だ。一応それまでに殺した死人達は木っ端微塵になってたり原型がほぼ無い状態にしているから大丈夫だと思うし残ったのもニクスに大爆発してもらって限りなく消し飛ばした。だけどあの影の様な三王は私でも殺すのに一工夫必要だったしこいつの操る死人達はそういうのじゃないとは流石に断言出来ない。

「お前と会った記憶はないんだけど……まあ良いか、さっさと殺すよ」

殺してから記憶でも覗き見れば良いだろう。



はい。ということで屍戯?のラブとやらをサクッと殺してみた。いやあっさり過ぎると思うかもしれないけどあの影のやつよりも弱かったのだ。というか踏み込んで腹に一撃入れてから首に蹴りを入れたらあっさり死んだというか。まあ質より量みたいなタイプのやつだったのだろう。使える能力も死人関係ばっかりっぽいし。あと私にとっては身体能力はそんなに高くなかったのだけどこの世界の人間には荷が重すぎる程度には強かった。

「ラブがあんなにあっさり……」

アーランが呆然としながらそう呟く。ちなみに全員既に回復済みだ。別に大きな怪我とかはしてないけど精神の安定的に使っておいた。あんまり意味は無さそうだけど。

「とりあえず……勇者パーティ解散をした方がいいんじゃないかなって私思うんだけどどう思う?」

私の言葉にアーランが目を見開く。

いやまあ確かに他の魔物やら三王以外の魔王が作った魔物?とやらには役に立つのだ。その位には皆強い。けど三王の二人と戦って分かったのはこの世界の人類が勝てる相手ではないという事だ。

どう考えてもあの影のやつには有効打を与え切れずに殺されるだろうし死人を操る所謂指揮官タイプの筈のラブとやらにも適わないのだ。練度とか地力とか以前の問題だ。明らかに勝てない。

恐らく勝てない理由も分かっている。私を送り込んでおきながらあの神はこの世界の魔王とその幹部に力を与えているのだ。そのせいで一切のバランスが取られていない。つまりこの世界の人類対魔王軍の図式ではなく私対神の祝福を受けた魔王軍の図式になっているのだ。

幹部以下がまだ弱いのは恐らく私が前の世界を攻略するのが早かったがためだと思う。そうでなければ無制限に強化を施せる筈のあの神が強化を施せていない存在がいるとは思えないからだ。まあ無制限とはいっても限度はやっぱりあるのだろうが。

「まあ、幹部以上には貴方達はどう考えても役に立たない。肉の盾にすらなり得ない。むしろ邪魔。だから解散して王都で待っていて欲しいのだけど」

勿論こんなことを言っても解散はしないだろうし付いてくるとは思うけど言わないで付いてこられるとまず間違いなく幹部にやられて呪いをその一帯にぶちまけることになる。そうなるとその呪いは私にも恐らく効くわけで困ったことになる。

呪いに関しても言った方が良いのだろうけどお前達は呪いの爆弾として敵地で爆発するのが望まれているのだ、魔王の前で誰かが死んで連鎖的に爆発して魔王諸共その地を壊して死ぬのがお前達の役割だ……なんて流石に言えない。あまりにも非道過ぎるし私の予想が正しければ恐らくその呪いを掛けた存在はこの世界の本来の神だ。

つまり私を送り込んだ神はこの世界を作った別の神を降してこの世界を乗っ取っているということだ。まあそう考えた理由としては今までに居た世界と毛色があまりにも違う事、地球のゲームに酷似した世界だけどあの神がそのゲームを知っていたとは到底思えないこと、あと明らかに呪いの質というか魔力?が神様寄りなのにあの神とは似ても似つかないような物な事、とまあ別の神が居ますよというのを全力で押してくるのだ。気付くなと言う方が無理ですらある。

さて、私の言葉にアーランが考え込む。結論はすぐに出せないだろうから放置しちゃった死人達でも殺しに行こうかな。多分ニクスが全部消しちゃってるから何も無いだろうけど。



強い、はっきり言ってそれしか分からなかった。俺の瞳でも一切動きが見えなかったラブをあまりにもあっさりと赤子の手をひねるかのように笑みを浮かべながら瞬殺したスイ。というか抱えていたミリが移動の速度に耐えかねたのか意識を失っていたけれどあれは大丈夫なのだろうか。

いや、それは一旦置いておいて。あの幹部達と俺達が戦うということを考えた時全く勝てるビジョンが浮かばなかった。自分達が死ぬ事だけは想像に難くなかったのに。

スイは勇者パーティ解散を提案した。それは仕方ないと思う。俺達があれに立ち向かうのは自然災害に人が立ち向かうのと変わらない程無謀な行為だ。スイが来なければあっさりと死んでいたであろう。

仲間達も流石に落ち込んでいる。俺達は比較的他の人に較べて強い。いや強かった筈だ。けどあんなにも格が違う存在と戦える気はしなかった。死ぬだけの旅を続けても良いのか、それは答えが出そうになかった。

それと、そんなことを考えるよりも前にあのスイが見せた転移に驚いた。スイは気付いていないようだが俺の瞳ならあの時スイが走ってきた訳でもなく転移という不可思議な技で目の前にいきなり出現したのだと分かる。

あの力を使えば俺達も役に立てるだろうか。いや無理だろうな。分不相応というやつだ。なら俺達がするべき事はなんだろう。考えてみるが上手く考えが纏まらない。

ラブの死体だけがポツリとある空間で俺達は暫く動けなかった。

アーラン「俺達が出来ること……」

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