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424.ダンジョンを壊す?



「……おーい……そろそろ起きてくんねぇか?」

私を揺さぶる手に噛み付いて起きる。うぎゃっと言う悲鳴が上がるが無視して目を開ける。すると目の前には虎のような耳を生やした大柄な男が手をひらひらさせていた。

「誰?」

「そいつは俺が訊きてぇんだけどな。ま、別にいいか。俺はガウ。ガウ・ウェンリアっつーもんだ。一応Sランクの冒険者なんてもんをやってる。人によっちゃ迅雷やら白牙やら呼ぶが。呼びたいように呼んでくれりゃいいぜ」

「ん、じゃあ虎丸」

「どっから出てきたその名前!?」

「虎だから」

「めちゃくちゃ安直だなぁおい!」

虎丸がそう叫ぶが私はそれよりも気になる事があった。

「結界は?」

「んあ?あったのかそんなの?悪ぃ、俺結界やら魔法やらはすり抜けるスキル持ってんだわ。あ、てかその結界があるから誰もダンジョンに入んねぇのか」

虎丸はそう言って振り向く。振り向いた先は私が寝る前とあまり変わらなかった。強いて言うならあのおじさんのような居た筈の冒険者の内何人かが居なくなっていて明らかに兵士か騎士にしか見えない人が引き攣った表情でこちらを警戒している事か。

「ん〜、まあ良いか。それで貴方はどうして私を起こしたの?ダンジョンに入りたいの?」

「いや?別に今更Cランクのダンジョンになんか入らねぇよ。欲しいもんが出るわけでもねぇし。ただ冒険者達が街でやたら騒いでたから話聞いて来たんだよ」

「ふぅん、そう。それでその後はどうするの?私の邪魔でもする?それとも魔族と戦ってみたいとか言う戦闘狂だったり?」

「特に何も考えてねぇな。あ、いや何でダンジョン壊そうとするのかは気になる。魔族の利益になるとかなのか?まあ経験値とかアイテムとか考えたら人類側にあるダンジョンは目障りだろうけどよ」

「この世界にとっての異物だからかな。ダンジョンは別の世界の神から送られてきた侵略道具?建造物?まあそんな感じのものだからね。かなりこの世界に定着しかけてるみたいだし放置したら多分十年かそこらで乗っ取られるんじゃないかな?」

私の言葉が理解出来なかったのか目を瞬かせる虎丸。しかしすぐに何かを思い出すように視線を暫く揺らめかせてふと思い出したように顔を上げた。

「あ、研究者の一人が似たような事言ってたな。異世界の物なのだとか何か色々言ってた気が」

「ん、間違えてない。まあ私のように感じたからとかではなくて色々な資料を基に言っているんだろうけど大体合ってるんじゃない?知らないけど」

「へぇ、だから壊すってことか……なぁ、聞きてぇんだけどさ。乗っ取られたら何が起きるんだ?」

「さあ?私は神じゃないからね。正確に何が起きるかなんて分からないよ。今のまま何も変わらないかもしれないし突然海も何もないような場所から大洪水が発生して人も魔族も魔物も植物も等しく流してしまうかもしれない。一瞬で世界が消えてなくなるかもしれないし他世界を攻略する為の足掛かりの場所になるかもしれない。私にはその辺り何も分からないけど……私だったらこの世界の神と敵対している神に乗っ取られるのは怖くて抵抗するだろうね」

私の言葉に虎丸は真剣に考え始める。どうでもいいが今初めて会って話したばかりの女の子の話を真面目に聞くのって中々凄いことなんじゃないだろうか。だって普通に聞けば与太話かじゃなかったら狂人の話にしか聞こえないだろうに。

「なるほどなぁ……なぁ、その話嘘じゃないんだよな?」

「少なくとも私自身が異世界から来た魔族だしこの世界に来たのもこの世界の神に会って止めるようお願いされたからだし嘘なら神様に噛み付く必要があるね」

もしも嘘なら噛み付くどころかその首をねじ切ってやりたいぐらいだが多分それをしても殺せないだろう。何せ神だし。

というかそもそも私がこの世界に渡った理由的にはお願いを聞く必要は実は無いのだが暇だしやってあげるか的ノリである。

なので嘘だろうが真実だろうがどうでもいい。ただ一応報酬が出るみたいだから貰えるなら貰おうかなって感じだ。

「そうか……」

「というか私の話を信じるの?」

「嘘を吐いている者は案外分かりやすいものだからな。俺が嘘を吐いていると判断しなかった。だから信じる。そんだけだよ。間違ってたら俺の目が悪かったってだけで終わるし」

虎丸がそう言って私の目をじっと見る。

「うん、本気で言ってる。なら信じるしかねぇだろ。よっしゃ、じゃあダンジョン壊そうぜ!」

「何で乗り気なの」

「ダンジョンが壊れるとか見た事ないからな。壊せるなら見てみてぇもんだろ!それに今誰も入ってないっぽいしな」

「え?そうなの?」

「おう、ほらそこの受け付けの所にボードがあんだろ?彼処に名前かギルドカードの写しがあったら潜ってるって証なんだけど今何もねぇだろ?なら誰も居ないって事だ。居たとしたら犯罪者かならずもんとかその辺だ。だから大丈夫さ」

「居るって言われたのに……いや、あれ嘘だったのか」

顔をちゃんと見てないから嘘かどうか分からなかった。今度から適当に受け流すのはやめよう。いやでも結構どうでもよかったしな。やっぱり聞き流すかもしれない。まあその時が来たら考えれば良いだろう。

「とりあえず……一番手軽に出来るし外から攻撃してみるか。そう言えばダンジョンを壊すのを推奨するのってSランクの冒険者とはいえ駄目なんじゃないの?」

「駄目に決まってんだろ?でも良いんじゃねぇかな。知らんけど。ダンジョンが近くに発生した村とかだと滅茶苦茶邪魔らしいしその辺りを壊す研究とか何とか言っとけば何とかなるんじゃね?」

「適当……まあ良いけど。とりあえず受付の人邪魔だから追い出して……兵士も居るし面倒臭いな。結界広げて無理やり押し出せば良いか」

「雑だな。まあ楽だけどよ」

受付の人や兵士達がかなり動揺しながら下がって行く。今更だけど兵士や騎士っぽい人達私と虎丸の話を遮ったり話し掛けてこなかったけど何故だろう。普通ダンジョンを壊す云々の話をしてたら出来るかどうかは置いておいても止めようとするものだと思うけど。それとも異物の話も聞いていたから止めないのかな?

「まあ良いか」

「何が?」

「何でもない」

ダンジョンの外まで追い出された人達を追い掛けるように外に出ると凄い数の冒険者や兵士達が居た。そして良く見たら疲れた表情のアイザック達が居た。考えてみたら彼等の街の近くのダンジョンなのだから兵士達にも話が伝わっていたのかもしれない。

「良し、ダンジョンの性質から調べよう」

ダンジョン、というか小さな氷山にしか見えないそれに手を当てて魔力を浸透させる。そしてすぐに手を離した。

「……異界?何かちょっと違うけど多分ほぼ異界と変わらない……かな?いやまあちょっとだけ違うから異界とは違うんだろうけど……多分これあれだな。その場にあったものを巻き込んで作る環境特化みたいな異界と違ってその場に無いものを空間を歪曲させて作って潜らせて行くタイプなんだ。なら奥に進んでも壊せるどころか逆に遠くなるな。外からが正解か。さてと、どうやって壊そうかな」

魔法で壊すのもありだが歪曲した空間の数を考えるとかなりの魔力を込める必要がある。そしてそれだけの魔力を込めた魔法など放てば余波でこの辺りが吹き飛ぶし間違いなく背後の人達は即死する。

「グライスいける?」

『肯定。但し時間は掛かります』

「どれくらい?」

『概算ですが約一週間です』

「長い、却下」

そんなに長い間この場所に留まって居られない。いや居ようと思えば居られるがこうしている間も何処かでダンジョンが発生している可能性を考えればダンジョンを消し去るよりも早く作られることになりイタチごっこと化す。神も何の対策も取らないとは思わないので下手をすれば加速的に侵略が早まるだけになる可能性もある。

「ん〜、先に世界の保護からした方が良いかもなぁ」

ダンジョンが発生し続ければ今消しても意味が無い。どころかただ危機感を抱かせるだけになる。それは避けたい。ならダンジョンが発生出来ずに消えていくだけになればいい。勿論妨害はあるだろうが神本人と戦うことにならなければ何とでもなるはずだ。楽観的かもしれないがそれぐらいしかない。

「よし、じゃあまずは私が世界を掌握するか」

スイ「頑張るぞー」

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