表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/521

140.メリティの目的



「本当に申し訳ございません。この罪は全てが終わった際にどのような罰でも受けたいと思います。ですので今暫く罪の精算についてはお待ち頂ければ嬉しく思います」

そう言ってメリティは綺麗な土下座のまま微動だにしない。状況が今一つ飲み込めていないが分かったことは幾つかある。

「メリティ。貴女は味方?」

「勿論でございます!襲撃に関しては私の早とちりでございます……スイ様だと分かっていたならば決してあのような愚行はしていません」

「メリティは私をどうして襲ったの?」

私のその言葉にジアが驚いている。しかし今は口を出すべきではないと思ったのか静かに話を聞いている。

「それはスイ様が隠されていなかったからです」

「隠す?」

「はい。この千年の間私達はヴェルデニアから隠れ潜むため素因から漏れ出る気配を可能な限り遮断し見付かりづらくしています。これは北の魔王ウルドゥア様や魔導王グルムス様といった方だけではなく東の魔王エルヴィア様にその妻ルーフェ様、南の魔王フォルト様にその側近ユースティア様西の魔王アガンタ様にその妻ミュンヒ様といった高位の方々も例外なく実践されております。そしてそれをしていないのが殆どがヴェルデニア旗下の者達でございます。故に私達の目の前に現れた素因を隠さずそれでいて実力が高いスイ様を刺客と勘違いしウルドゥア様達に危害が加えられぬように暗殺を企てました」

成る程、聞いてみればスイの不注意によるものが原因と言える。直ぐに暗殺を企てた辺りは些か早計であったと言わざるを得ないが。

「まあ良いや。でも私素因の気配なんて隠し方分からないよ?」

「素因を魔力で固めた部屋に閉じ込めるようなイメージでございます。咄嗟に攻撃はし辛くなりますが慣れればラグも無くやれるようになると思います」

言われた通りに魔力で部屋を作りそこに入れ込む。感覚として違いは良く分からないがメリティが小さく流石ですと言ったので成功しているのだろう。

「ん、それとジアに聞かせても良かったの?」

「それも大丈夫だと思います。そもそも先程の会話を聞いていたので事情は知っているのでしょう。ならば下手に隠し事をするよりもいっそ打ち明けて巻き込んでしまった方が良いかと」

「うん、まあそうなんだろうけど本人目の前にして言うことじゃないよね」

「まあジアは自分から巻き込まれに行った節があるから諦めて」

ジアは自覚があるのか口を噤んだ。

「それでメリティ?貴女はどうして猫人族みたいになってるの?元から?それと学園に居るのは何故?どうして今目の前に居る貴女から素因どころか魔族にすら見えないの?」

「順に説明させて貰いたいと思います。猫人族のような姿になっているのは変装ではありますが違うとも言えます。その辺りは私の素因に関する質問となります。私の素因は偽装であります。この素因により私は自らの姿を偽装し猫人族になりました。魔族に見えないのもその一環です。学園にいる理由ですが潜伏場所として優秀だったからです」

「潜伏?母様やグルムスのところじゃ駄目だったの?」

「駄目という訳ではありませんがお二人とも地位のあるお方としてこの国に君臨しておられます。その為多数の貴族などと接する機会が多くあります。そこに私のような存在は場違いですし何より潜伏する以上公には出られません。ご迷惑になられるだけと判断しお二人には何も言わず学園内部に潜伏することにしました。本音としては部下である私が働けないのに上司にあたるお二人が働く姿を見せ付けられるのは少々心苦しく思ったので」

「なるほど、良く分かった。確かにそれは頼りづらいね。それじゃ最後の質問。どうして潜伏を?」

「……こればかりはあまり公言したくないのですが」

「構わないよ。この場にいるジアは……何かしようとしたら消すから」

「こわっ!?僕何もしないよ。そもそもそれだとなし崩しに家族にまで迷惑掛かりそうだからね。誓って言うよ、何もしないし何も聞いてない」

そう言うとジアはドアからあえて離れ教室の真ん中あたりに来ると耳を両手で塞ぐ。それを見るとメリティは満足したのか私に内緒話をするように小さく言葉にした。

「……現在私は魔軍の将軍の方々からの素因をお預かりしております。あの方々がこの街に到着するまで何としてでも見付からぬよう又仮に見付かっても逃げられるように潜伏しております。極秘の事項ですので出来ましたらご同行の方にも内密に」

「…………」

「スイ様?」

「メリティ、貴女の潜伏度合いが高過ぎたんだね……もうこの街にいるよ。私と一緒に来てる」

「へ?」

「潜伏し過ぎたせいで情報がなかなか手に入らなかったんだね。仕方ないけれど。未だに多分貴女を探し回ってると思うから放課後一緒に来てくれる?」

「そんな……一月以上前に……!?も、勿論です!スイ様!むしろ今すぐにでも行かねば!」

「落ち着いて。私が引き留めたと知ったら何も言わない筈だから」

混乱して何故か窓から出ようとしたメリティを裾を引っ張って無理やり止める。

「えっと、何でいきなり投身自殺を?」

「この高さくらいじゃ死なないだろうけど強いて言うなら自分の不甲斐なさを嘆いて?」

「別にそんなのではありませんから!」

「というかメリティやっぱり本来ならにゃとか付けないんだね」

「え、あ、そのあれは……猫人族はあんな感じかなとそう思いまして……恥ずかしくはあったのですが誰も言わないのでこれで良いのかと」

「ん、猫人族に限らず別に亜人族の人達は別に語尾が人と違うとかは無いからね。基本的に人族に獣の耳や尻尾が生えただけだから」

そう言うとメリティは愕然としてよろめく。一体いつからやっていたのかは知らないが長期間やっていたのだとしたら黒歴史の量産だ。それと今更メリティが語尾を変えるのは難しいのでこれからもやることになるのだろう。自業自得だが少し可哀想である。

「し、しかし私が参考になればと入った店では語尾に色々と付いていたのです。それではあれは一体何だったのでしょうか」

「多分そういう嗜好の店だろうねそれ。人気がありそうだけど決してそれは普通のものではない。あぁ、でも一人だけ唯一例外で語尾がワンだった人はいるね」

「そのような方が?」

「神話の戦争の時に後にも先にもただ一人獣帝と呼ばれた最強の亜人族。亜人族の原初の一人イグリース。彼だけはワンって語尾に付いてたね」

「想像以上にやばそうな人物の名前が出てきて困惑しております」

私がそう言うとメリティが何とも言えない表情をしている。だって私その人しか知らないんだもの。

「まあその語尾のまま過ごして貰うのも良いけど可哀想だからイルゥに変えてもらおうか」

語尾の変更程度なら大した力も使わないだろう。頼めばササっとやってくれそうではある。まあもしも断られたらドンマイと言って慰めるしかないが。

「とりあえず話は終わったのかな?」

「ん、まあ終わったよ。ジア貴方はどうする?」

「どうするって、答えを間違うと死に直結しそうな問題をそんな簡単に訊かないで欲しいなぁ。まあ答えは決まっているけども。協力させて欲しいな。僕の母もきっとそうしろって言うと思うし」

「そっか。ならよろしくねジア」

私がそう笑うとジアは一瞬呆けた表情をしてから納得したような表情をする。

「なるほど、確かにこれは手助けしたくなる。意図してやっているのだとしたら悪女だね。それでもやってあげたいと思う辺り今の笑顔で僕の心は持って行かれたのかな」

「何をごちゃごちゃ言ってるの?」

何か小声で喋っていたので訊くとジアは首を振って何も無いと示す。

「あぁ、そうだ。ジアのお母さんって名前は何?もしかしたら私や母様が知ってるかも」

「そうだね。母の名前はテスタリカだよ」

その名前は予想外過ぎて思わず勢い良く振り返ったのは仕方ない事だと思う。

「テスタリカ……作業着を好んで徹夜作業を嬉々としてやるあのテスタリカ?武器や防具を見ると興奮するあのテスタリカ?未知との遭遇に全力を掛けていて未開の土地に単身乗り込むあの?」

「大半が良く分からなかったけど作業着と徹夜作業は合ってる。それ以外は分からないな」

しかし本人だとしたら今私が持つ基幹素因であった筈の把握は何なのか。

「……放課後ジアの家に行っても良い?」

直接行って確かめる事にしよう。

テスタリカ偉業四分の一


スイ「テスタリカのとんでもない偉業を羅列するよ」

ジア「少し楽しみだなあ」

メリティ「私も知らないので興味があります」

スイ「とりあえずメリティは今だけはにゃ付けようか」

メリティ「え!?あ、うぅ、分かりましたにゃ」

スイ「テスタリカ偉業十、凶獣の構造を戦闘中に把握して無力化して凶獣から通常の魔物へと元に戻して後にペットにした。九、アーティファクト構造を完全に理解してアーティファクト作成の手順がロストしていたにも関わらずアーティファクト作成の手順を再度作り上げた。八、不朽不壊とされていたアーティファクトに実は強度がバラバラであることに気付き現存するアーティファクトに五段階の評価を付けた」

ジア「聞いてるだけでやばい」

メリティ「想像以上に凄い人だったにゃ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ