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第2話 はじめてのミッション

〜これは数時間前の入学式が終わって帰宅途中のことである〜

少年の視界はまたなぞの光につつまれた。そして立ちくらみ…

「敦くん。君に最初のミッションだ。」

目の前にはロボット。そしてついに敦は、はじめてのミッションに挑戦する時がきた。

「ミッションか…」

3回失敗したら存在が消される…もちろん不安である。

「そう、ミッション。えっと内容だけど友達をつくること。できるでしょ?」

普通の中学生なら友達をつくることなんて簡単なことだ。しかし敦は陰キャラであり友達がまったくいなかった。そんな少年には友達をつくることなど難しい。

「友達か…わかった。でもどうやってつくれば…」

「そうだねー。敦くんって趣味ある?」

「カラオケとかメダルゲームとか?」

敦は友達がいなかった。だからといって趣味がないことではない。少年の趣味は1人でも遊べるカラオケとメダルゲームであった。

「学校入学したらまず自己紹介があるよね?そこで自分の趣味を紹介してみたらどうだい?きっと同じ趣味の人はいるはず。同じ趣味の人をみつけて友達になるんだ!」

「なるほど。わかったやってみる。」

少年は決めた。はじめてのミッションをやると。

「じゃあ決定ー。1週間後までに友達をつくってねー。」

「1週間しかないのかよ?!」

敦にとっては1週間は短いものであった。




そして現在、入学式を終えた敦は自分の部屋の机で、明日の自己紹介の内容を考えていた。

「あーもーどうしたらいいのかわかんねえよー!!!」

少年は発狂していた。友達をつくったことがない敦は友達ができるか心配だった。それと同時に3回失敗したら存在が消されるという『不安』と『恐怖』の感情で溢れていた。だが今は目の前のミッションをクリアしなくてはなにも始まらない。敦は気持ちを切り替えた。




次の日、敦はいつも通り中学校に登校した。楽しい日々を掴み取るために中学校生活をやり直すとはいっても今思えば中学校生活をやり直すということはかなりだるいことである。そんな事を考えながら学校の校門をくぐり、出席番号の席に座った。自己紹介は1時間目だ。

「おはよう!」

「昨日のアニメみた?」

入学したばかりだが周りは話し声でうるさかった。




チャイムが鳴りいつも通り朝のホームルームが終わった。次はいよいよ自己紹介の時間だ。話す内容は決まっている。朝の5分休みはいつも通り自分の机で寝たフリをしていた。そしてついに1時間目、自己紹介の時がきた。先生の説明が終わり出席番号順に自己紹介をしていく。敦の名前は『山本敦』 クラスの人数は35人だが出席番号は一番最後。一番最後に発表するということは意外に緊張することだ。そして出席番号1番の発表が始まった。ショートカットの女の子だ。

「相川秋です!」

相川か。クラス変わっても出席番号は1番だろうな。そんなことを敦は考えていた。そして1時間目が終わるまであと10分、ついに敦に自己紹介の順番がまわまってきた。

「35番、山本敦くん!」

そんな声が教室に響き少年は席を立った。手には汗をかいていた。

「えーと山本敦です。趣味はカラオケとメダルゲームです。気軽に話しかけてください。よろしくお願いします。」

こうして山本敦の自己紹介が終わった。そしてこの日の学校は誰とも話すこともなく終わった。

「趣味が合う人がいなかったから話しかけられなかったのか?」

そう少年は呟いた。だが違う、明らかに自己紹介が地味すぎた。こうして敦の自己紹介は失敗に終わった。




2日目、3日目、5日目の学校生活が終わった。6日目、話しかけられるのを待っていた敦だったがついにタイムリミットが迫ってきた。ミッションを失敗する。このことを3回繰り返すと存在が消される。このままではヤバい。何か動かなくてはいけない。ついに敦は寝たフリをしていた『休み時間』の過ごし方を変えてみることにした。

「まずは話しかけやすい人に話しかけてみるか。」

少年は教室を見渡した。今まで休み時間は寝たフリをしていたため休み時間の教室の様子なんてしらない。どうやって話しかけたらいいんだろう。その時

「カラオケ好きなの?」

久しぶりに学校の人に話しかけられた。敦に話しかけたのは出席番号1番の相川秋であった。

「カラオケ?好きだけど…」

女子と話すのなんて久しぶりだ。少年は緊張していた。

「私もカラオケ好きだよ!どんな歌うたうの?」

「アニソンとかかな。」

アニメが好きである。敦の趣味はカラオケとメダルゲーム以外にもあった。

「おー!アニメ好きなの?!」

「アニメ好きだよ。」

敦は普通に話せるくらいのコミュニケーション能力はある。

「おー!今度カラオケ行かない?」

少年は人生ではじめてカラオケに誘われた。異性に誘われたが普通に嬉しい。嬉しいという感情の中にちょっぴり恥ずかしいという感情があった。

「おう。いいけど」

「やったぁ!LINE交換しない?」

今時の学生ならLINE交換はよくあるパターンだ。

「おう。」

「じゃあクラスのLINEのグループから追加するね!」

「いや、グループはいってないんだけど…てかもうあるんだクラスグループ。」

友達がいない敦はもちろんクラスのグループに入ってるわけなどない。

「じゃあふるふるしよっ!」

「お、おう。」

こうして敦と秋はLINE交換をした。その瞬間、少年の視界にはこの世のものとは思えない光に立ちくらみが襲った。

「またあのロボットとご面会か。」

また薄暗い中、ロボットがいた。

「敦くん。ミッションクリアだ。」

「は?え?」

敦はまだ気づいていない。普通に話をしてLINEも交換した。その関係は『友達』といえるだろう。

「秋とはもう友達だね。」

「友達なのか…まあとりあえずミッションをクリアできてよかった。」

まだ敦は友達ができたという実感が湧いていない。

「そうだ次のミッションは?」

「君のクラスの少年の運命を変えることだよ。」

敦には全く意味がわからなかった。

「どういう意味なんだ?」

「君の一回目の中学校生活の時におこった事件のことだよ。1年生の時のね。」

敦は思い出した。

「あの出来事を変えるって…」


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