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空腹時

 新たな町を開拓します。

 目的はこの旅で必要な資金を手に入れるためです。


 コケーラ王国が崩壊してしまった今、次に需要のある土地に向わなければ、ホントに飢え死にしてしまいます。凶暴なアニマルモンスターなんかに襲われて、骨だけになってしまいそうな、そんな勢いです。栄養不足なので美味しくないとは思いますが……。


 揺れ動くダウジングで行く先を占います。その指し示す先は真東。お約束の占術です。いつものように、なんの疑いもなくわたしたちは、その先を急ぎます。もうお腹と背中がくっついてしまいそうな、極限状態にあると言っても過言ではないでしょう。


 そんなときは逃げるが勝ち。

 空腹時の戦闘は避けるべきです。

 これはわたしたちパーティーの教訓。

 

 逃げ足が速いのはユロロラさん。

 ホントはメンバーの中で、一番素早さが劣る重量級女戦士なのですが……それだけわたしとエリザさんは弱っているってことなんですけど。


 まっ、腹が減っては戦ができぬってことです。これではエリザさん自慢の素早さも機能しなくなります。

 

 でも、よくよく考えてみると、ユロロラさんは、おそらく空腹時には火事場のクソヂカラみたいなものが働くのでしょう。つまりタフなのです。


 道中、様々なモンスターたちと遭遇します。

 獣系、鳥系、虫系。気づかれたら逃げ、全速力で逃げ、転んでも即座に立ち上がって逃げ。


 その繰り返しです。

 もう心も身体もヘトヘト。


「んっ?」

「どうしました、ユロロラさん?」


 ユロロラさんの視線の先。

 前方に町らしきものを発見したようです。

 そうとなれば、天の助けと言わんばかりに、わたしたちはそこを目掛けて突っ走るのみ。


 そこまで行くのに、わたしは計四、五回転びました。

 擦り傷が痛みます。


 そう言っている間に、また一回。

 自分で言うのもなんですが、つまりドジなのです。


「パウナちゃん、大丈夫ですの? ちょっと、転び過ぎじゃないですの?」

「大丈夫さ、エリザ! パウナは自分で治療できるから、あたいらが心配することじゃねーよ」

「そうですわね。それなら、先を急ぎましょう。もう町は目と鼻の先ですわ」


 と言うと、わたしを置いて先を急ぐ二人。


 あれ?

 わたし……

 大事にされてない??


 そんな疎外感の中、猫に引っかかれた傷を癒せる呪文を三度唱え、傷を回復しました。


 ホントは心配して欲しいのに……少々、落ち込みましたが、置いてけぼりはごめんだし、それに後方からモンスターが迫って来ているので、二人の後を追いました。


 言うまでもなく半泣き状態で……。


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