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シャーロキアンのホームズⅢ〜精神病棟のホームズの物語〜  作者: 語り部ファウスト


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第四幕:アル中の恐怖とデクノボウ

やあ、君。僕はホームズだ。そして、ホームズを愛するシャーロキアンの一人だ。

なのにーーシャーロック・ホームズと名乗っている。


第三幕では、僕の部屋にドクター・ハントリーによって、虚像のワトソンが連れてこられた。彼はアル中でデクノボウだった。だけど、医者の知識をもつ。


ここは僕が閉じ込められた病室だ。

もうすぐで、消灯時間がくるだろう。

見回りの看護師がドアにつけてある覗き窓から、僕らを見るはずだ。

別にいつも通りの事だ。

ーーこの部屋の中に、デクノボウさえいなければだけど。

「ほんの少しでいい。飲ませてほしい。誰にも言わない。内緒にする。」

そういうと、彼は一歩一歩近づく。

「よしたまえ!君、鏡を見たまえ。ヤバいぞ。」

「かまうもんか。君はーーどうせ、分りゃしない。ボクの苦しみは、誰もわからない。だから、飲ませてくれたっていいだろ」そういうと、彼はしゃがみ込む。もう、犬だ。ハアハアと吐息を漏らした。

「おい、お前たちーー......」と扉越しで声がした。

見張りの看護師だろう。うるさいとでも言うつもりなんだと思った。

「我々は理解があるほうだ。その、声は、あまり騒ぐなよーー」と言って、離れていった。

そうだーー変な誤解をされた。

不愉快すぎるから、これ以上は考えない事にした。

気づくと、デクノボウは僕のベッドの下に頭を突っ込んで、べちゃべちゃと舐める音を立ててた。正直、踏みつけたかった。だが僕は紳士だーー。

黙ったまま、天井を眺めた。


ーーこんなはずじゃなかった。


しばらくすると、もそもそと行為を終えたデクノボウが手をわきわきさせてベッドの下から這い出た。

冬眠のクマが巣から這い出るように、太った尻が揺れていた。

「満足したか、デクノボウ。二度と、こんな事をするなーー」と僕はムダな事を言った。

「ーー君は、君は分かってない。水を飲むように、またボクには必要な事なんだ。愛を求めるように、やはりコレがなきゃダメなんだーー」とヤツはいった。

「ヨソでやりたまえ 」と吐き捨てた。

「ーーヨソに行けたらいい。ーーそうだ、口をゆすがなきゃ。」

「勝手にしろ。僕に報告はいらないーー」

「だって君はルームメイトだしーーお互いに知り合うべきじゃないか。」

僕は、それを聞くと凍りついた。

なんでーーこんなのと知り合わなきゃいけない。


「ねえ、ホームズ。君がボクをデクノボウと呼ぶのはかまわない。ボクだって、自分を良くは思えない。金もない、運もない。家族もないんだーーああ、そうだ。

ボクら、互いに過去を話し合うのはどうだい?」

「お前なんかと?僕が?」

「ーーそうだとも。」

「僕に過去はないーーホームズになる事にしたからね。」

「君、よっぽど変わった子なんだね。

そうだ。なら、ボクから話そうーー」


そういうと、彼は空いているベッドに腰を下ろした。


「どこから話したら、君にボクという人間を語ればいいだろう?

君とボクは、ホームズとワトソンになったばかりだから」

「おい、僕は認めてないぜ。

お前は、アル中漬けのおっさんだ!」

「ははは、そうだ。そうなんだ。

じゃあ、そこを絡めて話そうーーこれはアフガン戦争帰りの男の話になるーー」

僕は聴くのは嫌だったけど、

彼の話にホームズとしては興味があった。

だから、話を聴いた。


(こうして、第四幕は語り部交代により幕を閉じる。)

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