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春のゆくえ

作者: 三春星秋

あんなに鮮やかに咲いたお前。


どこへ行ったのだ。


嵐のような風で飛んでいったのか。


地に埋もれて隠れたか。


あの地に落ちたお前はどこへ行く。


川に流れて筏を作ったか。


海に流れて遠い国へ行ったのか。


私には見当つかぬ。


あのお前はどこへ行き。


どこかで色鮮やかに。


淡い桃の色を風に漂わせ。


どこかで綺麗に地を舞っているのか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私が覚えているかぎり。


お前はただの花弁ではない。


私が桜を見て、桜の下から散ったから。


お前はただの花弁ではないことに気付いた。


私が桜の木を覚えていて。


桜の下に花弁が落ちているかぎり。


お前はただの花弁ではない。


桜の花弁なのだ。


お前が初めて桜の下から去り。


消えることでお前をただの花弁だと思おう。


過去の思い出となろう。


そしてお前が地から風に舞って。


花弁一つも残さず、消える時分。


私は当たり前を知るだろう。


桜と同じように。


夏の暑さ、蝉、花火。


秋の紅葉、鈴虫。


冬の雪、寒さ。


それらと同じ。


私が忘れることがあれば。


当たり前だと思う。


思い出して有り難みを知れば。


当たり前を知ることができるだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そうやって春は、又一つ去ってゆき。


こうして歳を重ねるのであろう。


歳を重ねることに恐怖を感じていたが。


こう思うと歳の数字が増えることに。


有り難みを知ることを知れるだろう。


私は生を享受するのだ。


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