路〜誕生〜(9)
「よし!せっかくの料理が冷めちゃうよ!早く食べよう。」
「「いただきまーす」」
ザザの言葉を皮切りに、アラキは食べ始めた。
「うん。やっぱり美味いなー。ザザの料理は。」
モゴモゴと口を動かしながら喋るアラキのことなど気にしていない様子でシャーベットはヘルメットを外してから料理にがっついた。
ヘルメットの下は黒髪でまだ幼気のある切れ目が印象的な美しい顔をしていた。
ーー美味い!!
シャーベットはここ3ヶ月ほどまともに食事を取れておらず、格安栄養サプリだけで体を保っており、人生で一番美味しいと思った料理だった。吐き気のする味ではなかった為少し杞憂だったなとも思った。
「な。美味いだろ。ザザは天才なんだ!」
アラキが子供の様な顔で自慢してくる。言葉遣いと表情から本当に子供の様に見える。
「なんでお前が自慢してるんだよ」
キッチンに戻って洗い物をしているザザが目を細めた笑顔で突っ込んだ。
ーーそういえばザザは食べないのだろうか
「ザザは食べないんですか?」
「ん?ああ俺か。俺はいいんだよ。今回は、身体能力の向上も見込めないからな。朝飯も食ったし。」
「ん?アラキは朝ごはんを食べてなかったんですか?」
「いや、アラキも同じものを食べたよ。ただ大食いなだけだ。」
目の前でこちらを気にせずガツガツと食べる。アラキをじっと見つめる。ふとアラキがこちらに気づいた。
「ん?どーひた?」
「い、いや。なんでも」
そう言ってアラキは再び食べ始めた。
それを見てシャーベットもまた、食べ始めた。
ザザはまだ洗い物をしているらしくキッチンからガシャガシャと音が聞こえてきた。
「「ごちそうさまでした。」」
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