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57 信長、安土城を発する

 光秀は家康との会話を思い出し、首筋に冷たいものを感じた。このまま見殺しか・・

 しかも、儂の徳川殿への面子は丸潰れじゃな。


 斉藤利三は、兵舎を廻りながら溜息が出た。

 また、減っている。脱走防止の策を巡らせせても、何処かに抜け穴ができ、そこから抜けていく。もしかすると敵の手引きが有るのかも知れんな。

 光秀への日々の報告で、

「今日も3百ほど減っております。既に1千4百減りました。」

 そうか、

「二俣城から使者が来たようじゃ、開城するとのことであるらしい。」

 左様ですか、

「武田は一度二俣城を落としております。弱点もよく知っておりましょうから時間の問題と思っておりました。それで将兵はどうなりましょう?」

「皆、城を出ることを赦されるようだ。」

 そうですか、

「それはよろしゅうございました。」

 将まで赦すとは武田の評判は上がるな。しかも、敗兵がこの城に入れば、士気はどちらに転ぶか?

「殿、危のうございますな。織田の援軍はまだでしょうか?」

 光秀は目を落とし、

「そちもそう思うか?」

 はっ、

「武田が何の策もなしに城兵が浜松城に入るのを許すとはおもえません。」

 しかし、

「武田の策を考える真田も上杉の直江も此処にはおらん、北条にもな。」

「それこそが策かもしれません。」

 利三の肩を叩きながら、

「かもしれん、疑えばどこまでも疑える。」


 家康は、居室で本多正信に愚痴をこぼしていた。

「二俣城も持たなかったな。織田殿がやって来る頃には儂の首と胴は離れ離れかも知れんのう?」

 はぁ、左様ですか?

「それは困りましたな、某はその首を何処に持って参ればよろしゅうございますか?」

 おのれは、

「少しは慰めになるような話をせぬか。」

 わざとらしく両手をつくと、

「ははぁ、気が付きませず申し訳ございません。」

 まぁよい、それはそうと

「織田殿に動きはないのか?」

 主君の目を見つめ、

「毛利が動き出しましたから、動けても半分でございましょう。我らも覚悟が必要かもしれません。」

「上杉は岡崎をどうするであろう?」

「手放す時期を見ているように思えますな。」

「此処を捨てて岡崎に帰らねばならんかも知れんな。」

 十中八九。

「正信、何としてでも天竜川で食い止めねばならんぞ。」


 安土城では・・

「筑前守、毛利を摂津境からこちらに、入れるな!」

 大げさに平伏をし、

「畏まりました!必ずやこの任、果たしてご覧にいれます。」

 そこで一つお願いでございます。

「上様、もう1万、兵を頂けませんか?」

 なにぃ!

「どこもここも足らんのじゃ!そのくらい分かっておろう!」

 ははぁ!

 信長は4万の軍勢を率いて遠江を目指すと宣言した。

 岐阜で待っていた1万の兵を加え、総勢5万で尾張清洲城に入った。

 信長は、5万。1日3千石として月に9万石、3月で27万石か、春のこの時期米の値段も馬鹿にならん。

 しかも、水軍は敵が有利だから船で運べぬ、兵站の確保が大変だな。まぁ、2ケ月が限度か・・

 今回は、我慢じゃな。そのうち機会を見て個別に叩き潰してくれる。

 池田恒興を先鋒に三河岡崎城目指して出立した。


 秀吉は信長の出陣を見送ると自身の出陣の準備に忙殺されていた。

 安土城の大手道沿いに新築された羽柴屋敷では、黒田官兵衛が

「殿、なかなかの役者振りでございましたな。」

 であろう?少ない兵で頑張って

「上手くいった時の褒美が楽しみじゃな。」

 しかし殿、

「我が方は2万弱、毛利は4万はおりましょう。」

 まあ、

「あまり刺激せねば大丈夫であろうよ。毛利も四国に九州と忙しい。こたびは、あの口先だけの将軍様のご意向と本願寺の願いを無碍に出来なかっただけじゃ、元々天下には興味を持っておらんからな。」

 では、本陣は山崎辺りでようございますな。何処へでも動ける様にしておきましょう。






 

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