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レストラン

 田村さんと当番が重なった数日後、自分は京成八幡駅付近にいた。自分の通う塾は千葉県北部にいくつもの教室を持っている規模の大きいところだが、生徒はそれぞれ所属する教室が決まっている。自分の場合自宅近くだと市川駅教室になるのだが、市川学院との通学経路の途中になる八幡駅教室に所属している。三年生では無いので夏季の集中講座は申し込まなかったが、それでも夏休み中は1日を通しての特別授業を何日分か受けることにしていた。今日も朝から授業だった。


 特別授業の昼休みは長めに1時間半あるが、昼食は大体コンビニでおにぎりや菓子パンを買って教室か公園で食べて済ますのが常だ。まぁでも体の事を考えると炭水化物ばかりでも良くないし、折角食後のコーヒーも無料で飲めるのだから、サービス券の期限が切れる前に、田村さんのバイト先にランチを食べに行くのも悪くない。そう考えてその日は例のイタリアンレストランに行く事にした。


 八幡駅店には滅多に行くことは無いものの場所は知っていた。どの店舗も結構な人気があって、12時過ぎに行くとランチ客で混んでいるのは分かっていた。なので30分ぐらい時間をずらして12時半ぐらいに訪れた。


 お店は商店街の雑居ビルの2階にあった。階段を登って店の扉を開けると、丁度通りがかった店員さんに奥の方の二人掛けの席に案内された。時間をずらしたおかげで待ち時間が無かったのは狙い通りだ。席についてからキョロキョロと店内を見回す。


 店の奥の方にいる田村さんを見つけた。緑単色の制服の上に白と緑のチェック柄のエプロンをしている。エプロンはウェスト部分で縛られていて、今まで気にしていなかったが彼女はスタイルがいいのかもしれないなとふと思った。あんまり見つめてもいけないので目を逸らそうとしたら、彼女がこちらを振り向いて先日の神社と同じく目が合った。


 学校の図書館で会ったときの様に微笑んでくれるのかと思ったが、予想は外れた。目が合ったとたんに彼女の表情が曇るのが分かった。先日、図書館の貸出カウンターで広崎さんの言ったことを真に受けたわけではないが、社交辞令でも喜んだ顔をしてくれるのかと思っていたところで当てが外れた。何か胸の奥の方がチクリと傷んだ。


 今更帰るわけにもいかないし、来るんじゃなかったと後悔し始めたその時、店の奥の方の席に例の三人組が座っているのが見えた。夏休み中なので私服かと思えば、上半身は先日と違って派手な柄のシャツを着ているものの、下は学ランを履いている。こういう人たちは本当に制服が好きなんだなと思う。彼らは田村さんを席に呼びだして執拗に何かを話しかけているようだ。


 嫌な連中に出くわしたと思ったかと言えばそれは違った。田村さんの表情が曇った理由がわかって安堵したというのが正直なところだった。しかもヤンキー風の学生が絡んでいる様子は見過ごせないし、今後も何かとここに来る理由づけができそうな予感がした。


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