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69.悪役姫は、賭けられる。

 神殿に据えられた時計塔。

 その中心部が大きな音を立て、正午を知らせる鐘が鳴る。

 正午の鐘は全部で5回。


「賭けは僕の勝ちだね、ロイ」


1つ目の鐘の音を聞きながら、勝ち誇ったようにアレクはそう言う。


「……まだ、鳴り終わっていないだろ」


 2つ目の音を聞きながら、ロイは願うようにそうつぶやく。


「往生際の悪い男は嫌われるよ、ロイ」


 3つ目の音が鳴り響く中、アレクは帝国内の瘴気の調査結果を差し出す。


「アリアの事を思うなら、帝国のために生きるなら、身を引くことも優しさだと僕は思う」


 4つ目の鐘が鳴り終わり、アレクはそう言って肩をすくめた。


「調査結果は異常なし。とりあえずこれで帝国の危機は去ったと見ていいだろう」


 ロイが調査結果をアレクから受け取った時、5つ目の鐘が音を奏で始める。


「それでも俺はアリアを信じてるから」


 ロイがそう言って上を見上げた瞬間、最後の鐘の音が消えるよりほんの少しだけ早く、ロイの腕の中にアリアが落ちてきた。


「……ははっ、アリア。お前、どのルート通って来たの?」


 難なく彼女を受け止めたロイは、肩を震わせて笑いながらアリアに尋ねる。


「……湖の辺り、木々を飛び越えながら、走ってきました」


 肩で息をするアリアはブレスレットを揺らして、対岸からと告げる。


「で、ショートカットするために建物駆け上って2階のテラスから落ちてきたのか?」


 くくくっと心底楽しそうに喉を鳴らして笑ったロイは、黄昏時の至宝(サンセットジュエル)を発動させたまま、呼吸の整わないアリアを見ながら、


「相変わらず無茶苦茶だな」


 嬉しそうにそう言った。

 アリアは整わない呼吸と早過ぎる心拍数を抑えるようにゆっくり息を吐いて、黄昏時の至宝(サンセットジュエル)を解き、元の淡いピンク色の瞳で、ロイを琥珀色の瞳を覗き込む。


「……まだ、間に合いますか?」


 アリアは少し呼吸を落ち着けて、


「私、まだあなたの妻のままですか?」


 と不安げな声でそう尋ねる。


「"まだ"そうだな」


 肯定するロイの言葉に安堵したようにほっとした表情を浮かべたアリアは、


「私、ロイ様の妃辞めたくないです」


 はっきりと自分の願望を言葉にして伝える。


「物語からずっと退場したいと思ってたし、それが平和的な解決で、正しい事だと思ってました。でも、わがままを言ってもいいのなら私は、あなたの妻でいたいです」


 ロイの最愛ではないかもしれない。

 それでも、今のアリアにとってロイは最愛の人だった。


「私じゃ、ダメですか?」


 そう言って自分の事を真っ直ぐに覗き込んでくる淡いピンク色の瞳に優しく笑いかけたロイは、


「ダメなわけないだろう」


 愛おしそうにアリアを抱きしめて耳元でそう囁いた。

 そう言われたことが嬉しくて、アリアはロイの首に腕を回しぎゅっと抱きつく。

 今なら自分の気持ちを勢いで言えそうだと思ったアリアは、


「私、ずっと……本当はロイ様が」


 言葉を紡ごうとする。

 だが。


「アリア。普段俺にだけ塩対応なアリアが熱烈に告白してくれるのは非常に嬉しいんだけど、このすごい数のギャラリー前にこのまま続けて後で我に返ったアリアが恥ずかしさのあまり離宮に引き篭もって音信不通になる、とかはやめて欲しいんだけど。俺このまま話聞いていい?」


 ロイからそう待ったがかかりアリアは我に返ってあたりを見回す。

 自分達を中心に半円を描くようにかなりの数のギャラリーが遠巻きに事の成り行きを見守っているようだった。

 全部、見られていた。

 理解が追いついたアリアは顔を青くしたり赤くしたりしながら、とりあえずロイから離れようともがく。


「----〜〜〜〜///////」


「ハイハイ、言葉にならないのわかったから暴れるなって」


 落ち着けと苦笑しながらトントンッとアリアの背を優しく叩く。

 まぁ暴れたところで離す気ないけど、といったロイは、


「アレク、賭けは俺の勝ちのようだ」


 と勝ち誇ったようにそう言って笑う。


「ざーんねん、あとちょっとだったのに」


 文句を言いつつもこうなる気がしていたアレクは、


「仕方ないからもう少し僕の可愛い妹を貸してあげるよ」


 と笑った。

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