連邦軍大将ディニッツ・エル・ファーラント
まず今回の衝突の経緯であるが…
①皇国がとある惑星をめぐってとある国と戦闘になり、これを滅ぼすしたことで、その国出身だった技術者、科学者等が皇国に不和を抱く。
②その技術者、科学者等が連邦に亡命する。
③それに気づいた皇国が身柄引渡しを要求する。
④連邦政府がこれを拒絶。
⑤皇国より宣戦布告。 now!!
という流れである。
現在、連邦宇宙軍は25個艦隊という多数の汎用戦力に加え、大将ディニッツの編成した対外敵用の防衛艦隊10個艦隊という潤沢な戦力を保持している。
しかし、皇国艦隊は全体で驚きの73個艦隊を保持していて、その全てがワープ能力を持っている。ほぼ全方位に敵を持つため、だいたい30個艦隊程しか自由に運用できないが、それでもかなりの脅威である。
今回連邦は防衛の任を連邦宇宙軍大将ディニッツに与えた。
「防衛艦隊は全て皇国方面に向けろ。汎用艦隊は10個艦隊を用いる。」
大将ディニッツは連邦宇宙艦隊の約4割強をこの防衛戦に用いる。多方面の守りが著しく落ちるが、そうでもしなければ守りきれないとディニッツは判断した。
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宇宙歴1635年4月10日20時31分連邦領土、ターメンⅡ星系
に皇国艦隊10個艦隊が侵攻。
付近に展開していた連邦軍5個防衛艦隊がこれに対抗し、ターメンⅡ星系に展開する。
4月10日21時5分に戦闘が開始された。しかし、防衛艦隊と言えども、二倍の戦力には劣勢に陥った。
その事を聞いたディニッツはさらに5個防衛艦隊を派遣し、戦況の改善を図った。
「大将閣下、何故汎用艦隊を派遣しないのですか?派遣すれば優勢にことを進められますぞ。」
この防衛戦の間につき、副官となった男から戦力を小出しにするディニッツに対する不快感が見て取れる。
少し気だるそうにしながらもディニッツは答える。
「マドース少将よ、皇国の必勝戦術を思い出せ。アーヴァトス元帥閣下は五年前にどうやって敗北を喫したか。」
「…突如として現れる皇国艦隊に背後を取られ、そのまま勢いに流され……」
「そうであろう…………よし、ジッツェヴァ星系に汎用艦隊全てを集結させよ。」
「閣下、何故です?ジッツェヴァはさして重要ではありません。集結させるならオールディア軍事天体系の方がよろしいかと愚考致します。」
オールディア軍事天体系…超巨大人工天体オールディアを中心にした無数のコロニー、軍事拠点群のことをさす。
「…はっきり言うてそれは誰だって考えることだ。もしそこに籠ればジッツェヴァを挟んだガードラに行きさえすれば、我等が到着するのは数日遅れてしまう。ついでに、今までの戦いを鑑みるに奴さん達は、様々な手段を採れる場所を好んどる。それらに沿うのは今回、ジッツェヴァ星系ただ一つのみ。そこに現れた奴等を汎用艦隊の全火力を集中させ、壊滅させる。」
「…了解いたしました。軍の移動を開始致します。」
「うむ。」
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4月18日1時5分、世界を驚かす動きが見られる。
皇国のワープアウトである。