シヴィア=ガルⅣ-Ⅲ星系での小競り合い
シヴィア=ガルⅣ-Ⅲ星系にて宇宙歴1635年4月3日14時36分から始まった帝国と共和国の小競り合いだが数で劣る帝国軍に悲劇が訪れる。
共和国軍が狙ったわけではないだろうが、恒星シヴィア=ガルⅣ-Ⅲの周りを周回していた彗星の一つが小惑星に衝突したことにより粉砕され、その彗星の残骸の一部が戦場に流れてきて、あろうことか帝国軍マレート分艦隊旗艦アレジオンに衝突したのだ。マレート准将等アレジオン乗組員は何とか脱出に成功したが、その間マレート准将旗下の艦隊約1000隻の指揮系統が混乱し、乱れたところを突かれてしまい、予想外の被害を出してしまったのだ。
何とか立て直したマレート分艦隊だが、わずか二十分ほどで200隻程の損害を出してしまった。
マレート分艦隊は前線を支える所ではなかったので戦線崩壊には至らなかったが、もし前線で崩されてしまったらそのまま敗北してしまっただろう。
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宇宙歴1635年4月4日3時56分、約十二時間の連続戦闘を経てついに共和国艦隊の光線の弾幕が途切れてきた。
対する帝国艦隊は前衛を務めたチュネジー准将、カトラン准将の分艦隊は最新の加速器を搭載したアグラート級汎用戦艦の砲撃により、度々シールドを貫かれてしまう事態が発生したものの、残存艦艇は八割をそれぞれ保っており、後衛艦隊もマレート分艦隊を除けば、損害は皆無であった。
「ジークネス、マレート両准将に向け目視信号で攻撃開始と伝えろ。本艦隊もすべてのミサイル、ビームを撃ち込め。敵艦隊を叩き潰すぞ。」
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「提督大変です、帝国艦隊が反撃に転じました。エネルギー切れを起こしていた艦艇も多い前衛部隊が壊滅的被害を受けています。」
「……攻めきれなかったか。相手の思惑については分かってた筈なのにな…」
「提督、撤退の指令を。」
「…何でだろうな。ハハッハ」
どこか壊れた提督を見て副官は焦りを見せる。
「提督ッ撤退の指示をお執りください。生きてこそ再起の芽も出ようと言うもの。」
「…はっきり言ってこの船もエネルギー残量が心許ない。撤退するにしても~~~~~~」
「艦隊の残存艦艇数、四割を切りました。」
オペレーターの声が艦内に響くとともに、旗艦に向かって一筋の光が伸びる。
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4月4日4時13分、共和国第24艦隊旗艦ジーテ=タレン級大型戦艦グリオネスはマレート分艦隊所属の戦艦アルタン=ミネスの砲撃がシールドを貫き機関部に命中、その後三十秒の沈黙を守った後、内部爆発が起き、勢い良く四散した。
それから三十分後、共和国艦隊は旗艦が轟沈されたことにより経戦を諦め降伏を申し出た。
帝国艦隊の被害は完全破壊が632隻、通常航行に支障をきたす重度の損害を受けた艦艇が374隻、その他は大半が損害軽微で終わった。死者は27035人に上った。
対する共和国艦隊は完全破壊3576隻、重度の損害を受けた艦艇1733隻、降伏、もしくは拿捕された艦艇数2375隻、行方を眩ました艦艇が13隻、死者は153206人。捕虜120003人。
シヴィア=ガルⅣ-Ⅲ星系の小競り合いは帝国の圧勝に終わった。