第6回 プロテクター・パームピストル 手のひらに収まる
製造する年代や場所などでも細部に違いがあります。
弾数がもっと少ない物、リボルバーでなく単発の物などもあったようです。
いつもながら「諸説あります」です。
※間違えて別の連載の方へ投稿してしまい、訂正いたしました。すみませんでした。
プロテクター・パームピストル
亀の子ピストル
ターレットリボルバーピストル
1882年に製造が開始された、プロテクターと呼ぶ事が多いけれども、機構や見た目で色々な呼び方がある拳銃。見た目は頭と尻尾だけを出したような亀、ヨーヨーにでっぱりを付けたような感じになっています。
見た目はとっても可愛らしくて、手のひらにすっぽりと隠れてくれる程なので、暗殺のような事にも使えます。
手のひらに隠れるというサイズなので、大きな弾を使う事ができないため、どうしても威力は低くなりがちです。それでも、持ち運びが容易である事、重量も500グラム以下という軽量な作り、魅力になるポイントは沢山あるピストルです。
女性がドレス姿で握っていたりすると、美しさに危険なフレーバーが足されて絵になるように思います。
ターレットリボルバーとは、リボルバーの一種で、円盤状で外側を向けて配置したものです。
円柱状にして弾丸が全て射出する方向を向いている一般的なリボルバーと違い、円盤で放射状にならんでおり、中華料理のテーブルを回すようにリボルバーが回転して、弾丸が発射する方向を向きます。
銃の連射という分厚い性能の壁を越えるために生み出された、数多あるアイデアの1つがターレットリボルバーです。装弾数も7発と沢山入れられるようになっています。
なかなか優秀な機構を持っているように見えますね。
ですが、このターレットリボルバーという構造はとんでもない欠点をもっています。
円盤の形で放射状に弾丸が並ぶと言う事は、弾倉に入っている弾丸のいくつかは、持ち主の方を向いているということになります。これだけならまだ良いのですが……
チェーン・ファイアという暴発があり、これは弾倉の中の他の弾丸に引火してしまう事をいいます。
つまり、暴発した瞬間、自分に向いている弾丸が発射されてしまうので、使い手が蜂の巣になってしまいます。
連射という性能と引き換えに、暴発した場合は確実に自分が重症になるとんでもない爆弾を抱えているのがターレットリボルバーです。
ですが今回紹介するプロテクター・パームピストルは、この危険性を何とか乗り越えて実用化した数少ないピストルの1つです。
というか、暴発が危険すぎて試射することが出来ないので、真っ当に開発できたのがとっても少ないタイプなんです
◇
~プロテクター・パームピストル~
冒頭でも紹介したように、このピストルはとっても小さく作られています。
使っている弾丸も通常タイプに比べると全長が短く、それに伴って使う火薬の量も少なめになっています。
使っている材質も強固な物を使用、メタリック・カートリッジとも呼ばれ、万が一暴発しても使用者に向かって弾丸が飛んでくる事を防げるという頑丈さも持っていました。
使い方ですが、持ち方からして特別で、発射方法も普通の銃器とは異なっています。
射出するための銃口が出っ張っていますが、ここを中指と薬指の間から出して握ります。こうすると、発射するためのトリガーとなる部分が親指の付け根当たりに当たります。
このまま手をギュっと握ると、トリガーが押し込まれて弾丸が発射されます。握った手を開くと、ターレットリボルバーが回転し、次弾の発射用意が整います。
この銃全体を握り込むだけという発射方式が、当時は十分な安全対策として考えられていました。
この頃のピストルは「撃鉄を起こす」「引き金で撃鉄を落とす」という動作が必要だったのですが、使用者の意図しないタイミングで撃鉄が落ちて暴発と言う事が時々あったからですね。
タイプによっては銃口の近くにセーフティレバーがついており、握り込む時にここも一緒に押さないと弾が出ないようになっていました。
安全に配慮され、安心して使う事ができるプロテクター・パームピストルですが、威力は正直なところ低いと言わざるを得ません。そもそも発射の仕方や構え方が全くと言っていいほど異なるので、命中力も低い銃でした。
威力が低い主な理由は2つ、火薬が少ない弾を使い、打ち出された弾頭を加速させる砲身も短いという所です。
これを強力な大型の弾にすると、手におさまらないばかりか、チェーン・ファイアが発生しやすくなって暴発の危険が上がり、武器として成立しなくなってしまいますから、低威力は宿命みたいなものです。
握り込む銃という特殊な仕様だったこともあり、当時では異例で異常とも言えるほど外見にバリエーションがあり、重苦しい銃を嫌う人や、実用性よりも見た目を気にする人が好んでプロテクター・パームピストルを所持しました。
7発という連射できる弾数もあり、相手も完全武装で無いと仮定した場合、護身には十分です。
室内であれば相手とも比較的距離が近いですから、殴りつけるような感覚で撃てば命中率や威力は申し分ありません。
多少離れても7発も撃てば、1発くらい当たる可能性は十分にありますからね。
オシャレの1つとして、チャラチャラと見せつけるように身に着けていたり、懐などにこっそりと忍ばせるなど。所持しているという事で、効果が十分だったという事もあったかもしれません。
私個人的な意見ですが……
手のひらの中に自分の方を向いている弾丸があるという一点だけで、プロテクター・パームピストルは持ちたくないなぁと思ってしまいます。
みなさんは、プロテクター・パームピストルを握り込んでみたいと思いますか?
この手の中に!
暴発って色々あるんすよ
予定外で弾が出ちゃうってだけで十分危険。
銃そのものが吹っ飛ぶのはもっと危険。
弾倉の弾丸全部に引火するのは、最高クラスの危険です。
ターレットリボルバーは完成するまでは危険すぎて、試射するだけでも命がけ。