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第4回 ガトリング砲 創ったのはお医者さん

やっぱり、火器・銃器は恐ろしい。

ガトリング砲

ガトリング銃

ガトリングガン


 みなさん、ガ「ド」リングだと思っていませんか? 「ト」が正解です。ガトリングガンですね。

 アメリカで医者でありながら発明家であった、リチャード・ジョーダン・ガトリングさんが発明した最も古いと言える機関銃、つまりマシンガンです。


 見た目もインパクトが強く、長い砲身を何本も束ねており銃器としてもかなり大きな物です。これを台車に乗せて、鎖のように連ねた弾倉をセッティングします。

 取り付けられたクランクを回転させると、束ねられた砲身が回転して、鎖のような弾丸が吸い込まれるよう給弾されていきます。


 轟音を響かせながら、回転した砲身が一定の場所に来るたびに火を噴き、文字通り弾丸の雨を降らせるというとんでもない兵器です。


 当時の銃では一発一発を詰めて発射しますから、どれだけ早く放ったとしても1分で1発が限界です。相当手慣れた人でも2発程度撃てるか撃てないかといったところでしょう。


 ガトリング砲はなんと1分間に200発もの弾丸を発射できます。

 個人が放つ弾丸の100倍~200倍の連射速度になりますね。

 うわぁ、チートレベル。


 回転する砲身という事も恐怖感を演出していますが、これにはちゃんと理由があります。一本の砲身で連射してしまうとあっという間に加熱されてしまい部品が膨張したり破損したりします。


 これを複数の砲身を順番に使う事で1本あたりにかかる負担を軽減させて、弾を補充する「給弾」発射できるようにする「装填」そして「発射」をスムーズに行います。当然、薬莢の「排莢」も回転させている間にスムーズに行います。


 同じ砲身で連発しない上に回転しているので、砲身の冷却も十分に行う事ができますね。

 原始的な連発方法は、戦国時代に信長が行った3人1組での交代制の銃の使用ですが、このガトリング砲があれば、1人で交代制をはるかに超える連射を繰り出す事ができますから、一点に集中させて攻撃すれば文字通り蜂の巣のように穴だらけにしてしまうことでしょう。


 映画などでガトリング式の銃を撃っていると、チャリンチャリンと薬莢がいくつも飛び跳ねて周辺が埋まっていく様子が描かれていますね。

 それだけの勢いで連射しているということです。





 初期のガトリング砲は方向転換に致命的な欠陥を抱えていました。左右への打ち分けが苦手だったんですね。

 あまりにも大きく重量は80キログラムにもなり、多少左右に動くものの、大きく向きを変えるためには台車に備え付けられている大きな車輪を活用して、台車ごと向きを変えないといけませんでした。


 クランクを回さないと発射できないため、向きを変えるためには他者の力が必要なだけでなく。このクランクも一定で回さないと詰まりを発生させるため、焦った砲手がついついクランクを早く回してしまい、引っかかって発射できなくなる事が頻発しました。


 このガトリング砲を改良、進化させた銃器はフランスに渡り、ミトライユーズ砲と呼ばれてライフル弾を連射できる兵器となりました。

 重量はガトリング砲を上回り340キログラムと凄まじく重く、左右への方向転換も苦手としていましたが、2キロメートル離れた対象を粉みじんにするほどの破壊力を持っていました。


 さらにさらに、改良を加えられていったガトリング砲は安定した連射力を持ち1分あたりの発射数も飛躍的に増加、クランク式から自動式になり玉詰まりも発生しなくなりました。

 苦手だった左右への方向転換も、観光地にある望遠鏡のように回転式の台座と両手で抑えられる持ち手などで。瞬時に向きを変える事ができるようになりました。


 1分間で数千発もの弾丸を発射し、銃弾の雨どころか、銃弾のゲリラ豪雨を降らせる事のできるようになったガトリング砲は車や汽車などの乗り物に搭載されるようになりました。

 それだけぶっ放すんですから、山のような銃弾を用意して持ち運ばないといけないので、車両に搭載されることは納得です。


 創作の世界でも、ロボットの両手や胸、頭に装着されていたりします。

 映画とかでも車両の上からガトリングが火を噴いて、川などに着弾して水柱をあげたりしています。

 すごいのになると、木造建築に向かって銃弾のゲリラ豪雨を浴びせて、あっという間に瓦礫の山に変えたりするシーンがあったりします。

 まぁ『はぁ、はぁ、やったか?』とか『これだけやりゃ、ひき肉になってるぜ』みたいな死亡フラグを立てる切っ掛けになったりしていますが……


 重装甲車の中でもトップクラスの物でもないかぎり、何でも粉々にする事すら可能なのがガトリング砲ですからね。

 そこまで銃弾まき散らしたら、費用がえげつないことになりますけどね。


 映画などでは、手持ち式のガトリング砲も登場していますが、実際に手持ち式のガトリング砲は実在しています。本体は8キログラムを少し切る程度の重量ですが、反動が比較的小さくなるように設計されているので、マッチョマンなら持つ事は可能。

 もちろん毎分4000発という驚異の発射力は保っています。


 ん? 手持ちという事は、銃弾も手持ちですよね?

 1発当たりの銃弾の大きさにもよりますが、13グラム程度の小さい弾丸だったとしても1分間発射分だけで、5.2キログラムにもなります。

 本体と合わせて約13キログラム、重いけれども、非現実的な重量ではなくなってきています。


 街中で乱射したら、どれほどの被害になるのでしょう?

 恐ろしい話ですね。

鉄の雨!


 この『銃弾の雨』って表現はよく聞くけど、簡単に言っちゃいけないような気がします。


 雨に濡れた人の数=怪我した人の数と銃弾で死んだ人の数


 ミトライユースの初期型はガトリングガンより10年ほど前に発明されていましたが、取り扱いの悪さなどから産廃扱いされていた経過があり、実戦投入のレベルになる前にガトリングガンが広まっていました。

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