第2話 既視感と早起き
この前は申し訳ありません。
第2話になります。
俺は紬と一緒に家に帰り未だに頭上に見える好感度システムに関して調べる事にした。
「ただいまー、って言っても誰も居ないんだけどな。」
「駄目だよお兄ちゃん、誰も居なくてもただいまは言わないと罰が当たるよ? ただいまー。」
両親は共働きの為、必然的に妹と二人きりになり何故か妹は上目遣いで俺に頭を向けてくる。
「何だ、どうかしたか?」
「むぅ……、知らない!」
紬は何故か頬を膨らませ怒って部屋に入って行った。
「何なんだ? あ、そういやハートマーク三つになったな。」
俺も自分の部屋に入りギャルゲーの続きをプレイしようとパッケージを手に取ると描かれているキャラクター全てに既視感を覚えていた。
(あれ、このキャラクター達……。)
今まで何となくプレイしてきたが、何故だろうか幼馴染みのキャラは当然のように綾音に似ている。
「これって偶然か?」
そう思う事でしか納得の出来ない現象が目の前で起きている。
何故なら、ゲームの妹キャラは紬に似ているし主人公の隣に座っているクラスメイトは時雨にそっくりで、先輩キャラに限っては利香子先輩の性格をまんま再現しているかの様なキャラばかりなのだ。
「そうだ、このゲームの好感度システムも頭上にハートマークが表示されるんだったな。」
俺はゲームをパソコンで起動しゲームパッドでプレイを始める。
「うーん、流石に名前までは一致してないか……そりゃそうだよな。」
(さて、試しに時雨に似たキャラでも攻略してみるかな。)
黙々とプレイしてみたが、やはり既視感の有る展開が次々とストーリーを進めるとでてくる。
今朝、時雨とのやりとりがゲーム内でも同じ様に隣の席の女の子から教科書を忘れたから見せてと言われ仕方なく見せる主人公が自分と重なる。
「おいおい、本当に偶然かこれ?」
時雨と似たキャラクターの頭上にも五つのピンク色のハートマークが浮かび上がっていた。
『私だけ見てほしいのに。』
「え?」
ゲームのキャラは聞き覚えのある台詞を言いだし、俺は鳥肌が立った。
「もしかして、今朝時雨が呟いたのって……。」
この先の展開も自分が体験したような出来事が、そのまま擬えているような錯覚に陥る。
「はは……、まさかなゲームのやりすぎで疲れてるだけさ。 少し寝るか。」
怖くなりゲームを止めベッドに寝そべり睡眠をとる事にした。
それから、時間が経ち躰を揺さぶられる感覚がある事に気付く。
「お兄ちゃん、起きて夕飯の時間だよ?」
「ん、もう夜か。」
俺は重苦しい躰を起こし、食卓へと紬に誘導される。
(やっぱ消えては無いか、好感度システム。)
疲れをとる為に寝たのだが、どうやら消えてはくれないようだったが別に日常生活に支障をきたす訳でも無いので向き合う事を心に決めた時、母親の頭上を見るとピンク色のハートマークが五つ並んでいた。
「いや、何でだよ!!」
「急にどうしたの、お兄ちゃん?」
「あら、今日はハンバーグ作ったけど別のが良かった?」
「いや、そうじゃなくて……その頭の……。」
「分かるー、今日おもいきって散髪させてきたのよ! 直人も女心を分かってきたじゃない、細かいところに気付く男の子はモテるわよ~!」
(違う、そうじゃない!!)
母さんはご機嫌なようだし、これ以上追求したところで俺だけにしか見えていない好感度システムの事は一旦忘れる事にした。
「まあ、いいや……いただきます。」
「はーい、召し上がれ。」
「いただきまーす。」
父さんは夜遅くまで働いている為、三人で食事を摂るのが日課になっている。
俺は考え事をしながら夕飯を食べ進める。
(この好感度システムは幻覚じゃないって事はよく分かった……、っつーことはだ。 これを利用しない手はないな。)
俺は好感度システムが女子が自分に対して今どれくらい好かれているのかの目安なのではないかと考え、これを利用し綾音の好感度を最大にして告白すれば恋人同士になれるのではと考えた。
「お兄ちゃん……何かにやけ方、気持ち悪いよ。」
おっといけない感情が顔に出ていたようだ学校では気をつけないとな。
「ごちそうさま。」
俺は明日が待ち遠しくなり早めに風呂に入り、10時には眠りについた。
「お母さん、何か今日のお兄ちゃん朝から変なんだよね。」
「そう? 思春期の男の子って皆あんな感じよ?」
「そうなのかなー。」
翌朝、朝早く起きてしまい暇を持て余してしまった。
(あかん、楽しみすぎて早起きしちまった。)
時計を見ると5時になっており、俺はしばらくの間ぼーとしていた。
「あ、肝心な事忘れてた……どうやって綾音の好感度上げればいいんだ?」
思考巡らせていると時間が経つのは早いらしく時計は6時になっていた。
「もう6時か、時間が経つのは早いな。」
俺は朝ごはんを食べ、何時もより早く学校へと登校する。
「この時間の学校って静かなんだな。」
独り言をブツブツと言いながら教室を開けると誰かが俺の席で突っ伏していた。
「ん、誰だ? ……っつってもハートマークの数からして時雨か。」
「くぅ……ふぅ……直人くぅん………。」
完全に時雨は俺の席で寝ているようだが、このままにしておく訳にもいかず躰を揺らして起こそうとするが起きる気配がない。
「おーい、起きてくれないと席につけないんだが……。」
「ん……直人……君、激しい………よぅ…♡」
(どんな夢見てんだよ!)
これ以上、起こそうとすると俺の理性がヤバイ事になりそうだから仕方なく時雨の席に座る事にした。
(こりゃ、自然に起きるのを待つしかないな。)
「ふへへ……、直人君………もう一回する……?」
時雨は本当に意味深な寝言を言ってくる為、俺はスマホにイヤホンを差して音楽を聴く事にした。
(もう一回って何だよ! 止めてくれよ、変な誤解生まれかねないだろ!!)
俺は時雨が起きるまで音楽を聴き続けるのであった。
恋愛物はどう書いていけば良いのか分かりませんが、なるべく好感度システムを落とし込んで書いていくつもりです。
投稿頻度は遅いですがよろしくお願いします。