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第十四話 継承のとき 終章
―― アーティルトが重傷を負い、ロッドもまた戦線を離脱したその日。
カルセストはもの思いに捕らわれながらも、己が為すべきことを果たすべく、決死の覚悟で細剣を振るい続けた。
そして仮面をはずした公女は家臣達を指揮し、領民を守るため立ちあがっていた。
誰もが、王都よりつかわされるはずの救援を待ち望み、その力を尽くしていた。
そして、その日も日暮れに間近くなって、遠き王都ではひとつの告知が発せられる。
国王カイザール=アル・ディア=ウィルダリア=フォン・セイヴァン、崩御。
―― それは名君と呼ばれ愛された王の、五十年にわたる治世が、ついに終焉を告げた知らせだった。




