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マジカル回復魔法は回復自体は凄い

勝った。


それは4人での夕食。私はケイト様とティア様を抑え令嬢らしく上品かつ高速かつ大満足の満腹ご馳走様フィニッシュを行った。


私の屋敷なのだから私に当然遠慮は無く、料理へのルートは完全把握、対する2人は食事のルート選択に一瞬一瞬遅れが発生しておりその差は歴然だった。ずるさを極めた悪の勝利だ。



「ふふ…準備は万全のつもりでしたが甘かったようです。さすがは悪の策略」

「悪の策略ってこういう感じなんです!?」

「サメ、サメ、ワニの食事風景…!ああ…!最高でしたわ…!」



ちなみにエレン様はいつもゆっくり少しずつ食べながら観戦を楽しまれるので常に勝者である。



「ティア様が満腹で動けない内に色々相談しようと思っていたのですが、魔術書を軸に考えていたので今日はもう脳が回りません」

「えっと!お家の場所や構造は覚えました!」

「ふむ、いざというとき駆けつけて貰う時の為という話でしたか。そういえば緊急時には回復魔法を使って頂けるけど制限もあるとか?」


(おお、さすがケイト様)

(フォローありがたい)

(聞きたかったやつだが本のショックで忘れてた)


ケイト様のフォローで情報が回転する。こういう時はやっぱり人数の多さがありがたい。やっぱりサメは頭が多いほど良い。



「はい!マジカル回復魔法は万能じゃないです!皆さんなるべく大怪我しないで下さい!」

「サメの前でもあんまりスプラッタしちゃダメなんですね。体がバラバラになったり食べられたりは限度外なのでしょうか」


(おお、さすがエレン様…?)

(性能確認のフォロー…か?)

(サメに食われる想定していないか…?)


「どれが誰だか分かるくらいじゃないとダメです!下手したら間違ってくっついちゃいます!」


((((((ひぇっ))))))

「えぐいですわ」

回復性能の話かと思っていたら急激に話が危なくなってきた。ティア様の言う大怪我の想定範囲もだいぶ大怪我過ぎる。


「くっつく…!」

「エレン様、ダメ、ダメです。顔がマッドサイエンティストです」

「ふふ…すごく怖い」


阿鼻叫喚である。今後エレン様が回復魔法を学ぼうとしてたら全力で止めなければならない。彼女は前にサメが何かと融合してるの大好きだと言っていた。



「えっと!賢い方のワニが!どんなに治せても痛みや恐れた記憶が消えるわけじゃないから、とにかく酷い目には合わないほうが良いと!」


賢い方のワニ、未だに存在がよく分からないが確かに賢く優しい。



「まぁ回復魔法の出番があったらもう私としては失敗なのです。事件の発生自体を止めたいので」

「そう!そういう感じで!イベントを無理やり変える恐ろしさを知った上でシャークさんがその覚悟なのはとても嬉しいので、わたしも出来る限りの協力をします!」

「まぁ、デメリットがあるのですか?」

「おや、大事な事を聞き逃していたようですが?」


「あっ…いや、その、そういえばアン先生に相談して満足して忘れてまして…」


「武術の達人にだけ相談とは更に穏やかではないですね?」

「ああ…!ショックです…!そんな大事な相談に省かれるなんて」


しまった、完全に言い忘れていただけだけど、余計な心配を…でも本当に余計な心配すぎてちょっと今更言いづらく


「エロい触手が出ます!」

「!?」

「!?」

「ティア様!刺激が強すぎるのでもう少しだけおしとやかな感じに!」

「あっ、えっ、その、触手が、エッチなことしてきます!」

「!!?」

「!!?」

「もっとダメですわ!」


ここまで驚愕するエレン様とケイト様の顔は滅多にみれない。私達はそもそもおしとやかな令嬢なので。しかも多分軽く茶化しつつ真面目に心配してたシリアスな脳に直撃した筈だ。


「私、えっちな触手VSサメ興味があります!」

「エレン様!!?」


いけない、完全に混乱している。



「ふ…ふふ…今宵は乙女の夜のパジャマパーティですから、刺激の強い話もこっそり伺うことにしましょうか。本番はお風呂に入ってパジャマを纏って部屋に閉じこもってから…楽しみになってきましたね」



フォローのような余計ダメなような案がケイト様から出て食後のお喋りは終わり、まずはお風呂の時間へと移行する。


やはり即座に洗って即座に出ようとするティア様をなんとかちょっとゆっくりしてもらいつつ、我が家自慢の広いお風呂でなかなか経済効果の高そうな光景がしばらく繰り広げられ、親睦を深めるのだった。

明日明後日の土日は午後ロー無いので更新も無い

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