表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/34

インターミッション、帰ってきた平日は相談と思考の日

小冒険の後の情報整理

正義のワニであるティア様と接触し、ちょっとした冒険を終えた休日が開けると、またいつもの日常がやってくる。登校の朝だ。


「おはようございますシャーク様。休日は如何でしたか?」

「おはようございますエレン様。すごかったです」


いつものように気がつくと隣りにいるエレン様とお話しながら学び舎へと向かう。


「というわけで、どうやら血の惨劇と関係あるかは不明なものの、私は悪魔と契約する可能性が高いようなのです。それも複数」

「まぁ。驚きもありますが、確かそういった予想の話をしたことはありましたね」

(何か外部要因でも無いと令嬢が惨劇など起こさんだろうしな)

((((((乗っ取られたり))))))


エレン様に続き私の中の聡明な3匹のサメや6つ頭のサメ達も同意する。



「またお喋りの話題に時折これの相談が入りそうです」


私は近しい人に自分が血の惨劇を起こすであろう事をなるべく伝えており、対策の相談にも乗ってもらっている。事が起きた時にはすぐさま勘付いて避難して欲しいし、悪なので自分以外の力にどんどん頼ってもいいのだ。



「既に人以外の力を持つ私達サメ令嬢が、更に悪魔に頼って何をするのか今のところ全く思いつきませんが、少なくとも悪魔が存在するのは確かなようですから」

「悪魔の実在は驚きですが、元のゲームにはサメの方々が居ないでしょうから、もしかしたらもう一部分は防げているのかもしれませんね」

「そうだと有り難いのですが、逆にサメと悪魔で事態が悪化でもしたら大変なので駄目そうな時はすぐ遠くまで離れて下さい」

「…ああっ!デビルシャーク!?そんな…!絶対観たいですわ…!」

「ダメです、絶対離れて下さいね」

「そんな…!!」




 * * *




「ふむ…なるほど、悪魔。正直に言ってしまうとサメやワニの後で聞いても驚きが少なくて、反応が薄味になってしまいそうです」

「でもデビルシャークかも知れないのですよ…!」



昼休みには早速ケイト様も交えていつもの3人での相談会になったが、ケイト様は悪魔に対して手厳しく、エレン様は明らかに悪魔とサメの合体を想定していた。


「お二人共、警戒だけは絶対お願いしますね。悪魔がどのような感じか分かりませんが、仮にそれで私達サメが暴走でもしたら近い人ほど巻き込みやすいでしょうし、近い人ほど巻き込みたくないですから」

「ふふ…心得ていますとも」

「意外と足の速さと身を隠す技には自信があるのです」

((((((に、ニンジャ…エレン様…))))))

(どうしたシックス)



「本当はあまり誰とも近づかないほうが安心かもしれないのですが、逆にそれが惨劇を悪化させる要因になるかも知れませんし、私は悪なので一緒に居たいのを我慢なんてせず、大丈夫と言われたら信頼して頼っちゃいますからね」


「ライバルであって欲しい人が及び腰ではこちらも困りますとも」


「私達サメでも悪役でも無い存在だって、突然何かが起きてそれにシャーク様を巻き込むかも知れませんから。まだ見ぬ未来はお互い様と思っていて頂かないと、こちらが何か起こしそうな時に頼れませんわ」


「そうです。予定があるぶん一番防ぎやすかったのがシャーク様でしたね、なんて未来だった時に笑い合える関係が望ましい」



実は、この2人はとんでもなく優しいのだ。皆が優しく優雅な令嬢達の学び舎の中であっても光り輝く程に。


マスターゴリラことアン先生が言っていた、令嬢の器の大きさの話。あれはきっとこの2人から学べる事が沢山あると思う。




 * * *




「なるほど、悪魔。であれば筋肉が必要となる場面もありましょうシャーク様」

「…!アン先生…!まさかそれは…」

「そう。マッスル。つまり」

「魔…スルー…!」

(よせ!)(ダジャレで分かり合うな!)(マスターもそちら側なのか!)


そして午後。アン先生の授業で組み手しながらの相談。連打とパリィの間に生まれた共振。やはり森の賢者とも謳われる麗しき大猩猩マスターゴリラ、センスも只者ではない。



「それともう一つ、もしかしたらエロい触手を空間ごと消し飛ばさねばならないかも知れないのです」

「なんと、エロい触手」「まぁ…!」「まぁ…!」


アン先生と、そして共に組み手をする令嬢仲間たちもこちらには大きく驚く。どうも悪魔の扱いが軽い気がするが、令嬢の学び舎にエロい触手が出現でもしたらこの世の理が崩れてしまう可能性すらある。



「ですが、貴方がタイフーンに至るサメならば、それに対して何か特別な技を練る必要は無いでしょう。真のタイフーンであれば空間はおろか因果すらも空へ舞う。サメが空を飛ぶのではなく、空を飛ぶからサメとなる。貴方にはきっとそれが出来る」


(なるほど)(深い)(可能性を感じる)

「わかりました。きっと成してみせます。より一層ご指導のほど宜しくお願い致します」


最近は少しずつ私の動きから生まれるサメの幻影が大きくなってきている。アン先生の教えは間違いなく私達サメの力を大きく引き出しつつあり、恐らくはこの先に真の悪役ナインヘッド令嬢シャークタイフーンがあるのだ。


そしてちらりと脳裏にティア様の姿が浮かぶ。速さ。あれもまた私に欠けている強さの一つ。速ければ速いほどいざというとき遠くまで手が届き、重大な時間という要素に幅が出来る。


魔法を知らない私達が速くなろうと思えば、やはりそれは肉体の鍛錬しかないだろう。この授業で手に入るものはあまりに多い。



「ではアン先生、皆様方、私もっともっと全力で参りますわ」

「そうです、常に全力の一歩先が筋肉です」

「私達も一段と鍛えねば」「そうですわね」「ぬぅぅううん」


アン先生の授業を選ぶ時点で他の生徒達もやはり鍛錬意識は高く、授業は一層熱を帯びていく。この教室の仲間が令嬢達の綺羅びやかな武闘会にお呼ばれしても、遅れをとることはそうそう無いだろう。




 * * *




…皆に丸一日悪魔の相談をした夜。私達サメは書斎で改めて文献をあたっていた。

(悪魔契約の知識を得るのは恐らくこの書斎だろう)

(実際いくつかの魔術書にはそういった記載もある)

(問題はどれが本物の魔術なのか我々にはよく分からん所だが)


どこまでがフィクションなのか私達には分からない元の世界の物語や、幻想的な世界で遊ぶブックゲーム達に紛れて魔術書も納められていたので、正直判別がかなり難しい。


何らかの呪文の載った本も沢山あるし、悪魔や宇宙規模の神なども山ほどいる。契約したら血の惨劇どころか世界の危機っぽいのが多すぎる。



今まで何度も読んでいるため、やはり読み直したところで急に新しい何かが発見出来るような様子はなかった。


「…魔法が使えるティア様ならば魔術書の真贋もあるいは…?」

(確かにな。持ち歩いて安全かも分からんし一度招くべきか?)

(緊急時のためにこの家の構造も知っておいて貰うのは良い筈だ)

((((((アリゲーター仮面呼びたい!!!))))))

(問題は家に招くのがちょっと時間もらうの範疇で済むかだな)


「出来る限りの知恵を自分で絞って、かつ出来る相談はどんどん試しましょう。時間制限が分からない以上、立ち止まる時間はなるべく減らしたい」

(うむ)(確かに)(そうだな)



今日は全体的な相談と報告と方針決めの日になった。まだ起きてない事件の調査はなかなか大変で、一歩進んだら一旦進捗と方向を確認し、また進む。


血の惨劇の犯人と探偵は私。未来の犯行日時と動機は不明。凶器候補に浮かんできたのは悪魔契約。明日からは再びティア様との遭遇作戦、目指せパジャマパーティだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ