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彼女は令嬢のサメである。

挿絵(By みてみん)


サメ作品には無限の可能性があるが、日常生活を平和に描くサメ作品がまだ少ない気がしたので着手した。つまり、これはサメだが、どちらかというと平和で血の出ない日常コメディのサメである。

時折、深い青の夢を見る。

それは、静かで、暗くて、すこしだけ怖い夢。


そして、私の中に、抑えきれない黒い衝動がある。



デデン……デデン……(なんだか不安な感じのするホラー系のBGM)



私は、その香りに、耐え難いほど惹きつけられてしまう。

いいえ、違う、私じゃなく、私達が。



デデデデンッ……デデデデッ……(少し激しい感じになってきたホラー系のBGM)



ああ、耐えられない……!

血の、匂い……!!


ガシャーーーンッ!(激しいSEと激しいBGM)

ジャアアアアク!!!!(シャークと邪悪が混ざる悪役令嬢シャーク特有の叫び)



自分の叫びに驚いて目覚めると、私はまたも枕を食いちぎっていた。


「ああ…羽毛ね。羽毛に興奮したわねこれは。海鳥感ね。」


それは私の中のもう一人のわたしの気持ち。産まれた時から私の中にある、いくつもの私の心。



それは、サメだった。

3匹の聡明なサメと、6つ頭なのに馬鹿なサメの、心だった。



「羽毛製品はダメだと何度もお願いしたのに…」

(すまない、すごく海鳥感で我慢が出来なかった)

「仕方ないわ、誰だって羽毛製品に触れたら海鳥を想起するものよ」

(本当にすまない…)


聡明なサメもやはりサメなのだ。海鳥が居たら飛びついてしまう。


「後で謝罪ついでに羽毛は辞めて頂けるようまたお願いしておきましょう」

(すまない…)

((((((逆に食べ物を枕にすればよいのでは!?))))))

(黙れシックス!)


シックスは頭が6つあるわりに全員気が合うのか大体同じ意見が6つ被る。私達は私達なので本来なら名前など分けないが、聡明なサメがよくひとまとめにして叱るのだ。



「まぁ寝坊せずにすんだという利点もあるわ。悪役とて学び舎に何度も遅刻は許されないの」


私は、本当だったら自我が芽生える筈のない、規定された行動を行うだけのキャラクターだ。それも、”プレイヤー”という特殊な存在を引き立てるための、邪悪な悪役だ。


いずれ正しき者に滅ぼされる赤髪の悪役・シャーロット=ブラッドレイク。

可愛らしい名前と血の湖は私そのものを明確に表している。

見た目は可愛く、血の惨劇を引き起こす邪悪な乙女…。



そして、名称の頭がシャで最後がクだったら、大体のものはシャークである。


ゆえに皆は私をシャルでもレイクでもなく、令嬢シャークと呼ぶのだ。

初の投稿の為、気づいていない不手際がどこかにあるかもしれないです。

その場合何かしらの手段でこっそり伝えて頂けると助かります。

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