彼女と出会う
夏休みの2日前終業式前日に、ふと女子と目が合った。僕の学校は小さくて、クラス替えも無いような所だったけど全く思い出せなかった。いや、知らなかったのかもしれない。その女子は七海と言うらしい。他の人達はみんな疑問を持たず普通に話しかけていたが、不思議と七海が一瞬、透けて見えた。一瞬だけだったが、確実に透けていたと分かった。
放課後、透けたことが気になってはいたが確かめられるほど明るい性格でもなく、友達も居なかったので聞くことも出来なかった。帰ろうと校門を出た瞬間、後ろからどつかれた。七海だった。急の事で理解が追いつかず、ポカーンとしていると、「何してるの?早く帰ろー」さらによく分からないことを言われ腕を引かれ走り出した。
「え?どういうこと?」そう言うと七海は「いいから着いてきて!」と言われたまま止まってはくれない。
息切れして、疲れたと思ったところでやっと歩きはじめ、「君、私の事分からなかったでしょ?」と言われた。今まで通り過ごしていたら意味が分からなかっただろうが、初めて理解することが出来た。
「どうして、分かった?」「実は私、未来人なの」
また理解出来なくなってしまった。未来人ってなんだ?夢でも見てるのか?そう思った時、「もうすぐ雨が降るよ」と言われた。
だが、快晴で降るはずは無かった。「今の天気見てわからないの?雲ひとつない大空だよ?」「いいから信じて歩いてて!」
そう言われて数メートル歩いていると大雨が降ってきた
「え?ほんとに降ってきた!?」そう思って七海を見ると全く雨が降っている素振りをみせない。頭を抱えないし、傘も持たない。空を見てもやっぱり雲は無かった。「後ろ見てみて」振り返る時雨が止んだ。子供が水で遊んでいただけだった。「ほんとに未来人なのか?」「だからそう言ってるでしょ?」」今から全部説明するからよく聞いていてね?私、みんなの記憶を変えて、過去にやって来たの、ある事実を変えるために」「ならなんで僕の記憶は変わらなかったんだ?」「その事実に深く関わっていると記憶を変えられないみたいなの、恐らく過去を変えさせないようにするためかしらね」「その事実って?」「今は教えられないわ数週間後に分かるかもしれない、ただ言えることはみんなの記憶には私とあなたは付き合ってると言うことにしているだけ」「え?なんで?」「記憶を変えられないならこうするしかないじゃない、私1日9時間しか過去に戻れないの、明日9時に駅前の銅像に来てね」そう言って消えていった。僕は普通の夏休みは送れないと感じた