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あらあら☆浴衣欲しさに侵略計画


シャラルナに似合うのは浴衣だ!


と決めたものの、そんなもんこの国には無いってさ。

そりゃそうか。

みんな日本語使ってるけど、日本じゃないし。


その話を聞きつけたというアシェラさんが、なにやら邪悪な笑い方をしながら俺の部屋を訪ねてきた。

普段寝ているベッドに腰を掛けられると、少し緊張する。


「ユーイチ、探している服ってのは、こういうのじゃないのか?」


羊皮紙に描かれた白黒の絵を見せられる。

浴衣ではないが、近いものだ。

柄が地味で、帯が簡素にできている。


「そうですね、これをちょっと変えたものですね」


俺の返事に機嫌よく頷くと、アシェラさんは意味のわからないことを言った。


「じゃあ、この服を生産している国を侵略しよう」


あまりにも何を言ってるのかわからないと、聞きなおすことすら出来ないものだ。

シャラルナに浴衣を着せたい、そのために国を侵略する。

全く理解できない論法だ。

俺の表情を伺って、アシェラさんはベッドをぽんぽんと叩いた。


えっ?

隣に座れってこと?

ベッドに?


「少し、この国の事情を説明しよう」


真面目な声色だが、ちょっといい匂いがしすぎだ。

お互い前を向いたままの状態で話を続ける。


「我が国は海に面しておらず、周囲の国家の全てと同盟を結んでいない。常に戦争しているような状態と言っていいだろう。しかも軍事力は最低だ」


マジカヨ、やばいじゃん。

それにしても綺麗な髪だな。

俺の生徒たちもこのくらい綺麗でいい匂いの髪になってくれたらいいのに。


「群雄割拠の状態故に、各国が様子を伺っているが、いつ滅ぼされてもおかしくないのだ」


アシェラさんって何歳なんだろ。

俺よりは年上だろうけど、若いよな。


「小さくてもいいから他国を侵略すれば、戦力を見せつける事ができる。うかつに攻めてくることもなくなるだろう」


生脚を見せつけながらベッドに腰掛けるなんて、普通駄目だろ。

俺が紳士じゃなかったらどうなってたと思うんだ。

そもそもなんで軍服がホットパンツなのだ。

いや、凄くいいチョイスだと思うけど……。


「その服の生産国は山に囲まれた小国だ。基本的に占領したところで意味がないが、その衣服を得ることで魔力が得られるなら話は別。なにもその服で魔力が上がるのはシャラルナだけではないだろう?」


すね毛が一本も生えていない。

剃ってるのだろうか。

それにしても綺麗過ぎる。

生えないのかな。


「聞いてるか?」

「えっ、もちろん」

「では、頼みたいこともわかるな?」


……全然聞いてなかった。

さっぱりわからないし、心臓はバクバクだ。

思春期の男子の部屋を尋ねるというときの服装をもっと考慮していただきたい。


「3人でいい。我が国が誇る3人の魔法使いの魔力を向上させれば、その魔力を見せるだけでも降伏させることができるだろう。市民の生命と財産は残し、従属だけという条件ならば」

「はぁ、つまり3人の魔法少女をもっと萌えさせればいいってことっすね」

「察しがよくて助かる」


よくわかんないけど、アシェラさんはそんな国家戦略を決められるほどの地位にいるのだろうか。

こんなに若くて綺麗な女の人なのに。


俺は翌日、アシェラさんに連れられて、3人に会いに行った。


「ふ~ん、彼が噂の?」

「ほう。こいつがねえ」

「あら~、結構かわいいじゃな~い」


三者三様に異なる美人が出てきた。

やっぱり魔法力が高いってのはイコール、見目麗しいってことで間違いないんだろう。

アシェラさんに紹介され、適当に挨拶する。


「私はレダ。よろしく頼む」


レダさんはいかにも軍人という感じだ。

意志の強い顔立ち、赤毛のショートカット。

灰色の麻のタンクトップに、レザーのハーフパンツ。

アシェラさんよりも更に凛々しく、戦隊モノなら赤だな。


「マリブルだ」


マリブルさんは背が高く、ストレートの長い髪。

細身だが引き締まった体格で、知的な雰囲気もある。

黒一色の上下で、ブーツは革。

戦隊モノなら青だな。


「イエーラだよ~、よろしくね~」


イエーラさんは金髪でゆるくふわふわした長い髪。

全体的に柔らかくてふくよかな女性らしい雰囲気。

癒し系のような気もするが、色気も凄い。

ベージュ色の地味なワンピースだが、赤いパンプスが似合っている。

戦隊モノなら黄色かな。


って、全員戦隊モノに当てはまるのかよ。


「どうだ? ユーイチ」

「戦隊……」

「戦隊?」


アシェラさんの質問に、うっかり素で答えてしまいそうになる。

いやいやいや、戦隊モノみたいなスーツ着せちゃ駄目だろ。

世界観と合わなさすぎるし。


彼女たちは生徒たちとは違い、全く似合っていない格好ということもなかった。

現状でこの国のTOP3の魔力が出せているからな。

にしてもみんな地味だ。


この3人だったら、アイドルみたいな格好でいいだろうに。


「おお! そっかアイドルだ!」


全員が俺の突然の大声に、訝しげな顔を見せる。

何いってんだこいつ、と思っているのだろう。


「アシェラさん、歌ったり踊ったりすると魔法力が上がったりする?」

「そ、それは試したことがないというか、発想になかった」

「そっかー。衣装の発注をかけたら、歌とダンスのレッスンだな」


テンション上がってきたぜ~!

アシェラさんは俺を頼もしく、見ているが、3人は全く理解できないようで愕然としていた。










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