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乙女ゲームみたい?

穴落ちチビモフ戦士は捕まる。

お久しぶりです(泣)


阿野根の作者は4RTされたらフェロモンたっぷりな狼の獣人で監禁される話を書きます。 http://t.co/GSSJRDldsn

で書かせていただきました。

わーん、助けてみゅ〜。

わたちは夜空に向かって遠吠えした。


モリターイェル王国は獣人や精霊やエルフやドワーフや人間等他種族がごちゃまぜにくらしていてそれぞれの良い所を活かして国を成り立たせているみゅ。


「本当にお使い出来るの? 」

「ガルフォちゃんがいるから大丈夫みゅ」

「心配だなぁ」

「大丈夫ったら大丈夫みゅ」

狼獣人の一族のみんながあたちの代わりに行きたそうだったので急いでお祝いの品物をしっかりワンコ型のリュックに入れた。



アリーナちゃんが婚約したんだから幼なじみのわたちがもっていくのがすじだみゅ。

王宮いってみたいみゅ


「アリーナ以上に頼りないからなぁキリルは」

ガルフォのやつ帰ってこないしなぁと村長さんがあたちの頭を荒っぽくなでた。

お耳が痛いみゅ。

「あたちはアリーナちゃんみたいに弱くないみゅ」

「でもアリーナよりちっちゃいよなぁ」

村長さんのぼやきにアリーナちゃんと一緒にちびちゃワンコずとか言われてたのを思い出してむっとしたみゅ。

いつか村長さんやっちゃうみゅ。


あたちはキリルみゅ、狼獣人の戦士みゅ。

アリーナちゃんより十センチもちっちゃいけど戦闘能力は三倍あるみゅ。


「それ……並の狼獣人の戦士より弱いから……」

「キリルは転ばないけどな」

「転ばない……確かに転ばないけど……落ちるよね」

よいしょとリュックを背負ってたら集落の戦士のみんなが集まってきたみゅ。


「落ちてもすぐあがれるみゅ」

穴落ちのキリルっていうすごい二つ名もあるみゅ。


ともかく華麗な王宮に行ってアリーナちゃんにあってガルフォちゃんを連れて帰ってくるみゅ。


モリターイェル王国は王族がエルフなんだみゅ。

きっときれいな人が一杯なんだみゅ。


うっとりと村から王都への山道を駆けて抜けたところで街道でもの音がしたみゅ。


「ーーはーー」

林の中で話し声がしてるみゅ。


そっと気配をけしてのぞくみゅ。


綺麗な水色の長い髪の後ろ姿が見えた。

その前には覆面姿の怪しい人物が……

思い込みはいけないみゅ、様子を見るみゅ。


「おとなしくついてきていただけると助かるのですか? 」

「断るよ」

覆面の低い声に綺麗な声がきぜんとことわった。

「では少々手荒な真似をさせていただきますぜ」

覆面男が水色の髪の人に手を伸ばした。

水色の髪の人が避けた時耳が見えた。


尖った耳が……


え、エルフみゅ、王族みゅ。

助けるのが王国に仕える戦士の役目みゅ。


わたちは思いっきりよく跳躍した。

しながらナイフを二本懐からだして構える。


「悪者みゅ」

ナイフで覆面を斬りさいて返りで胸に蹴りを入れる。


「な、なんだチビが? 」

力が足りなかったのか覆面の一部がたれさがり頬から血がポタポタ落ちている。

「にげるみゅ」

わたちはエルフ様の手を引いた。

「君は? 」

「にげるみゅ〜」

覆面の方がわたちより大っきいから一人の時は逃げるが勝ちみゅ。


ま、待て、その方は〜

と叫ぶ覆面を無視してわたちはエルフ様と駆け出した。


「なんで僕を助けたの? 」

「綺麗みゅ」

水色の長い髪に青い目の美しいエルフ様に少しだけみとれたみゅ。

「それだけ? 」

僕の方が悪人だったらどうするのとエルフ様が言った。

なんか自嘲気味だったけど……わたちは本能を信じるみゅ。


「エルフ様は悪くないみゅ」

わたちは微笑んだ。


エルフ様が急に黙った。

なんか悪いこといったかみゅ?


ともかくにげるみゅ。

エルフ様もついて来てるからにげきれるみゅ。


王都に行けばガルフォちゃんもいるみゅ。

アリーナちゃんはやくにたたないけど近衛騎士のアルフォードおじちゃんがいるから大丈夫みゅ。


すたこらさっさと逃げて逃げて王都の手前で覆面が三倍に増殖していたみゅ。


「チビちゃん、そのお方は」

さっきと違うオネエっぽい覆面がいいかけたみゅ。

先手必勝だみゅ。

「やるみゅ」

石畳になってきた街道を蹴ってお腹を蹴ってもう一人も足も蹴ってもう一人は足をかけてバランスを崩させた。


「流石、狼族の戦士? その割にパワーがないわ」

「うるさいみゅ! 」

わたちは元気よく飛んだみゅ。

落ちたみゅー、ふ、古い井戸?


「チビさん、そこで避難していてね」

エルフ様の綺麗な声がしてあたりがすごくあかるくなったみゅ。


なんかビリビリいってるみゅ。

こ、こわいみゅ。


古井戸はかれかけてて私の腰くらいしか水がなかったみゅ。


「チビさん、今あげるね」

綺麗なエルフ様の声がしてフワリと身体が持ち上がったみゅ。

地上についたらガクンとして思わず座り込んだ。

「足がいたいみゅ〜」

「怪我したみたいだね」

エルフ様がわたちの足をみて綺麗なハンカチで膝を応急手当してくれたみゅ。


覆面三倍仕様さんたちはいないけど、どこにいったみゅ。


骨折はしてないけど……井戸水に浸かったから抗生物質ひつようかもみゅ。

ワンコ型リュックをあけて濡れてるのに気がついた。


「お使いできないってみんなに笑われちゃうみゅ」

わたちはお祝いの包みが濡れてるのに気がついて泣きそうになった。


中身はみんなでお金を集めて買った守護護符(アミレット)って聞いたけど濡れたら使い物になるのかみゅ〜。


わたちは悲しくなって涙が出てきた。


「大丈夫? すぐに治してあげるからね」

エルフ様がわたちを抱き上げた。

「直してくれるみゅ」

「うん、そっち系も得意だよ」

そのためにはうちに帰らないとだけどね。

エルフ様がわたちの頭を撫でた次の瞬間、お部屋にいたみゅ。


大きなベッドのあるハーブっぽい匂いのお部屋でお屋敷っぽいみゅ。

見上げるほど大きい調度品は豪華だみゅ。


「ああ、チビさんが落ちないように格子つけとくね」

エルフ様が窓を見たとたん今までなかった植物のつるで出来た格子がうねってできてたみゅ。


「チビさんでなくてキリルですみゅ、狼族の戦士ですみゅ」

「キリルさんかぁ、僕はウニアス、オルエンティアの魔法使い」


オルエンティアはモリターイェル王国の隣の隣の国で遺跡が多いので冒険者がいるってきいたみゅ。


有名な遺跡が巨神の黄昏って言う巨人が守ってるエクセレントクラスしか入れない超難易度の迷宮遺跡があるってきいたみゅ。


あそこはモリターイェル以上に多種多様の種族がいるってきいたみゅ。


「モリターイェル王国の王族様じゃないみゅ? 」

「モリターイェル王国の王族だったのは……今も現役で迷宮巡りをしてるお父さんかな」

さあ、治療しようかとエルフ……ウニアス様がわたちをベッドにおろしてのズボンをめくったみゅ。


「なんでエルフ……ウニアス様はモリターイェル王国にいるみゅ?」

「王太子殿下の婚約祝いに両親が呼ばれたんで代理できたんだけど連中がうるさくてね」

ウニアス様がため息をついた。


やっぱり覆面たちはわるものみゅ。


「あたちが覆面たちをやっつけるみゅ」

「頼もしいね、でも子供に助けてもらうほど落ちぶれてないつもりだよ」

「わたちは子供じゃないみゅ、アリーナちゃんより10センチちっちゃいけど10歳うえみゅ」

ガルフォちゃんより2歳うえの大人みゅの方が良かったみゅ?

「そのアリーナちゃんっていうのは……」

「王太子殿下の婚約者みゅ」

ウニアス様が困惑した顔をしたのでわたちは成人年齢過ぎてる事をつたえたみゅ。

別に童顔じゃないみゅ。

 

「そうなんだ、もう痛くない? 」

いつの間にか痛みが止まってた。

「ありがとうございますみゅ」

ウニアス様は腕のいい魔法使い様なのみゅ。


「ところでもう、夜だから泊まっていきなよ」

ウニアス様が優しく微笑んでわたちの頬にき、キスしたみゅ。


守護護符(アミュレット)も大丈夫かどうか確かめてないしお言葉に甘えて庭にビバークするみゅ。


「庭にわざわざでなくていいよ」

ウニアス様がそう言って優雅に呼び鈴を鳴らすとダンディーな壮年の男性が執事? のお仕着せで現れたみゅ。

「モリターイェルからいつお戻りに? 」

「あの連中に拉致られかけて彼女に助けられたんだ」

今晩泊まるから世話してやってとウニアス様がわたちを自分の前に抱えた。

執事さんと目があったので手を振った。

「さようでございましたか」

微笑を浮かべて執事さんが優雅に礼をした。

ウニアス様から私をうけとって抱き上げた。


「ワンコを拾ったのでございますね」

「その娘、狼だから」

さようでございますか、少々老眼でございまして……

そういいながら執事さんは廊下に出て黙って待ってた侍女さん風の女性に預けられた。

「御前の命だ、よく洗って世話をせよ」

「かしこまりました」

侍女さんがわたちを抱えたまま軽く会釈をしたみゅ。


その前を執事さんが足早に去っていくまで侍女さんはだまってたみゅ。


「きゃー可愛い〜ミニマムワンコ獣人〜」

侍女さんがわたちを抱きしめた。

「わたち、狼獣人なのみゅ」

小首をかしげるみゅ。

どこがワンコ獣人みゅ? 立派な狼みゅ。

「いやーん声まで可愛い〜」

お母さんが今キレイキレイにしてあげますからねと鼻息荒く言われてわたちは風呂場に連れこまれた。


あの、わたちのお母さんは村にいるみゅ。

侍女さんはお母さんじゃないみゅ。


みゅ〜基本的にズボン希望みゅ〜。

そうじゃないと穴落ちしても戻ってこれないみゅ。



「御前、お嬢様の支度が整いましてございます」

「そうか……可愛いね」

「ドレスだと戦えないみゅ」

フリフリのドレスなんてどこにあったんだろうという代物だみゅ。


「今日は戦わなくていいよ、キリル姫」

ウニアス様がわたちを抱き上げて食卓についた。

あれ……普通そこ席につかせてくれるところだみゅ。


侍女さんたちそこでほっこりしないみゅ。

わたちは大人の狼獣人だみゅ。


「ワンコ様には玉ねぎ抜きの料理を準備しております」

執事さんが手を叩くと給仕さんたちが料理を運んできたみゅ。


「別に玉ねぎ食べられるみゅ」

「そうなんだ」

美味しそうなミートパイを切り分けてわたちに何故か食事介助(あーん)してくれながらウニアス様が笑ったみゅ。

御前様、ワンコにチョコレートと玉ねぎはいけません。と執事さんがチョコレートケーキと蒸しパンの皿を給仕に運ばせながら止めた。


「大丈夫だよ」

「そういえばウニアス様の家はモリターイェルのどこみゅ?」

「……キリルさん、ここはオルエンティア王国だよ」

ウニアス様が忍び笑いをしたみゅ。


お、オルエンティア王国みゅ? モリターイェル王国じゃないみゅ?


「御前は女王陛下のお従兄弟様で公爵の嫡男様でございます」

冷たく執事さんが微笑んだ。

もの知らずですみませんみゅ。

いつか執事さんもやっちゃうみゅ。


「僕は単なる魔法使いでいいんだけどね」

「そうなのですかみゅ? 」

ウニアス様は魔法使いとインプットされてるのでそうしてもらえるとありがたいみゅとつぶやいたらウニアス様が少しビックリした顔をして嬉しそうにわたちを撫でた。 


その日は素敵なウニアス様と同じ天蓋ベッドで寝て起きたら場所がかわってたみゅ。


石畳に毛布に包まって寝てたみゅ。

周りを見たら石造りの牢屋だったみゅ。


「ここどこみゅ? 」

コツンコツンと石畳を歩く音がした。

「モリターイェルの狼戦士とは鋭い(ヤイバ)のような切れ者が多いと聞いたが……それは単なる噂だったようじゃな」

足音が止まって極彩色のドレスを着て極彩色の羽根仮面で半面顔を覆った女性が鉄格子の前にたった。

後ろに覆面たちが五倍に増殖して立ってるみゅ。


どのくらい増殖要員がいるか興味あるみゅ。


「狼戦士は強いみゅ」

「そなたは弱いようじゃが? 」

女性が持っていた羽扇で自分をあおいだ。

「アリーナちゃんの三倍強いにゅ」

「……まあ、どうでも良い、ウニアスと別れよ」

「みゅ? 」

わたちは女性のいってることがよくわからなくて小首を傾げた。


覆面の色気(オネエ)担当覆面? がキャっと両拳を口元にやって女性ににらまれた。


「そなたには過ぎた相手よ」

「みゅ?」

女性が羽扇を鉄格子の向こうから突きつけた。

よくわからなくてまた小首を傾げた。


「わからぬか! 」

「みゅ? 」

女性が怒って鉄格子にてをかけた。

わたちは怒られる理由がわからなくて小首を傾げた。


おひいさん近づくと危ないかもしれないぜと(びんぼうくじ)担当覆面が鉄格子の中に手を入れようとした女性をとめた。


「じょお……お嬢、通じないので少し頭を冷やしてもらったらどうですか? 」

冷静(つっこみ)担当覆面が女性にいった。

「そう……じゃな、そこでみゅーみゅー泣いて答えを出すが良い」

息荒く女性が羽扇を突き付けて叫んで踵を返した。


やーんみゅーみゅーってないたらますます可愛い〜。と色気(オネエ)担当覆面が身悶えたのを冷静(つっこみ)担当覆面がぽかっと後頭部を殴って行くぞと引っ張っていった。


あの〜ご飯はここにおいておきますねぇと世話(テンネン)担当覆面が小さな包みと水筒を隙間から入れて去っていった。


玉ねぎは抜いてございますと嫌味(ハラグロ)担当覆面が嘲笑を唯一見える口に浮かべて踵を返した。


本当にここどこみゅ。

オルエンティアなのはたしかだみゅ。


玉ねぎ……抜いてあるみゅ?

どういうことみゅ?



サンドイッチと生暖かいミルクをのんでどうやって逃げようと考える。


牢屋の天窓から月がみえた。


助けてみゅー、ガルフォちゃん、アリーナちゃん……村長さん、お父さん〜お母さん〜助けてみゅ!


わたちは力の限り遠吠えしたみゅ。

誰も応えないみゅ。


みゅーみゅー……


泣いてても誰も来ないみゅ……


わたちは立ち上がったみゅ。

天窓は高いけどちっちゃいわたちがなんとかぬけでられるかもみゅ。


見張りは……全然いないみゅ。

狼獣人戦士をばかにしてるみゅ。


わたちは精一杯牢屋のはしによった。

そこから助走をかけて壁を蹴って蹴って蹴って天窓から……みゅ〜飛び出たらそのまま落ちたみゅー。


た、高いみゅ〜。

塔みたいなところみゅ〜。


「助けてみゅ〜」

落ちながら木々が近づき地面が近くなるのが見えた。


死んじゃうみゅ〜。


わたちは目を閉じた。

衝撃に備えてなるべくまるまる。


「お使いもできないのか! 」

声が聞こえて次の瞬間誰かの腕の中にいた。

風をまだ感じるけど落ちてはいないみたいみゅ。

「ガルフォちゃんみゅ〜」

わたちは抱きかかえてくれてる銀の狼獣人にしっかりつかまった。


ガルフォちゃんは空中で塔の壁を蹴って地面に膝を曲げて衝撃をゆるめて降りた。


「来なかったときに本当に青くなったぞ」

「わたちも巻き込まれる気は無かったみゅ」


ガルフォちゃんにしがみついてブルブルふるえた。

高い塔が黒々とそびえ立っていて一番上に薄明かりがみえた。


「キリルさん無事? 」

「ウニアス殿世話になった」

ガルフォちゃんが茂みから出てきたウニアス様をジロリとみた。


無事でよかったよとウニアスが近づいてきた。


「ウニアス殿、チビ狼が何に巻き込まれたか教えてもらおう」

ガルフォちゃんがウニアス様を睨みつけた。

「ここでは言えない」

ウニアス様がそう言って腕を振った。


落ち着いた居間に場所が変わった。


「座って」

ウニアス様がそうってクリスタルのベルを鳴らした

扉が静かに開いて執事さんが顔を出した。


一瞬、ガルフォちゃんにだかれたままのわたちを見て顔をしかめた。


「お茶の準備をたのむよ」

「かしこまりました、そちらの方たちはミルクでございますか? 」

玉ねぎももちろん抜いてと執事さんが丁寧にお辞儀をして出ていった。


あ……どっかで聞いたセリフみゅ。


「あの人は女王陛下、僕に王配になれとせまってる」

僕は単なる魔法使いなのにとウニアス様がため息をついた。

「それになんでこいつが巻き込まれたんだ」

「僕がモリターイェルに逃げ込んだと思った女王陛下があの連中を送り込んだからだよ」

僕は父方の従兄弟の婚約祝いにお父さんの代理出いっただけなのにとウニアス様がため息をついた。

「つまり、あの連中とやらの誤解をとけば良いんだな」

「そうだけど……無理じゃないかな」

ウニアス様が弱々しく微笑んだ。


とたん扉が乱暴に開かれ覆面五倍が入ってきた。


「いったいどうやって逃げたのでございますか? 」

嫌味(ハラグロ)担当覆面が慇懃無礼に聞いた。

「いやーん大っきいワンコもいる〜私好みだわ」

色気(オネエ)担当覆面がキャっと虫取りアミの大きいのを出した。

「仕事だ、落ち着け」

冷静(つっこみ)担当覆面がぱしっと色気(オネエ)の背中をハリセンで叩いた。

「おひいさんの怒りをとかんと帰れんしな」

(びんぼうくじ)担当覆面腕組みした。

「よくあの絶望の塔から逃げられましたねぇ」

のんびりと鞭を持って世話(テンネン)担当覆面が笑った。


なんでこのタイミングでしかも私邸でいるんだみゅ?


「まったくしつこい、僕は女王陛下にお断りしたはずだよ」

ウニアス様がため息をついて杖をだした。


「あなた様に危害を加えるつもりはございません」

嫌味(ハラグロ)担当覆面が慇懃に言った。

「身の程知らずの犬どもを排斥するのみでございます」

嫌味(ハラグロ)がステッキを構えた。


「モリターイェルの狼戦士を馬鹿にするとはいい度胸だ……身を持って思い知るがいい」

ガルフォちゃんがわたちを床におろした。


うん、やっちゃうみゅ!


ガルフォちゃんが鋭い爪で嫌味の肩を切り裂いた。

わたちは頭のお腹に飛び蹴りを入れてその反動を利用して世話のお腹に頭突きを入れるくるりと床に降り立つとガルフォちゃんが色気の足にけりをかまして倒していやーんと言われてげんなりしてた。


ウニアス様が電撃を全体的にかましたので二人で退避した。


「ま、負けませんぞ」

嫌味が肩を押さえてふるえながらステッキをかまえた。

ガルフォちゃんが容赦なく爪をきらめかせた。


「やめよ」

キンキラキンの金のドレスと目が痛くなるような盛った金の髪飾りと冠を被った女性が近衛兵っぽい制服の連中を連れて部屋に入ってきたみゅ。


近衛兵? が一斉に槍で威嚇しだした。


「この屋敷のセキュリティどうなってるみゅ? 」

「さあな」

わたちとガルフォちゃんは首をひねった。


「狼戦士の襲撃を受けたとおききしました」

近衛兵が丁寧にウニアス様にお辞儀をした。

「私の王配を守るのじゃ」

キンキラキンの女性が持ってたキンキラキンの羽扇でわたちたちを示した。


はっといって近衛兵が槍を付き出したところでわたちを抱き上げてガルフォちゃんが後ろに飛んだ。


「まったく、僕は王配じゃない! 」

ウニアス様が杖を振るった。

近衛兵たちが風でなぎ倒される。

「わらわのどこが不満なのじゃ、たしかにそなたより美しくないが女王として精進してきたつもりじゃ! 」

女王陛下が羽扇でウニアス様をさした。

「君が頑張っているのは知ってるよ」

「ならばなぜ受けぬ」

「僕は……いち魔法使いでいたいし、それに……派手な娘は好みじゃないんだ」

クスリとウニアス様が笑った真っ青な女王陛下の顔……


……次の瞬間、モリターイェルの王宮の門の前にいたみゅ。


「どういうことだ、こりゃ」

「僕の転移魔法だよ」

「みゅ〜」

わたちとガルフォちゃんは茫然自失だったみゅ。


「移住するからキリル姫に案内してほしいな」

にっこり微笑んで腕を差し出されたので移ろうとしたらガルフォちゃんに先にアリーナと王太子殿下に面会だとしっかり抱き込まれてお祝いがなくなってるのに気がついて真っ青になった。


「大丈夫だ」

どうせキリルじゃ無理だと俺が呼ばれてとってきてあるからあのお守りはお前の追跡用だ、お前が来なくてオリンティアまで行くことになったがな。ガルフォちゃんが苦虫を噛み潰した顔でいった。

「みゅ〜」

「はじめてでもないお使い大失敗だな」

ガルフォちゃんのいじわるな発言にわたちは運ばれながら泣いた。

「君さ……」

ウニアス様がため息をついたところで近衛騎士のアルフォード隊長が出てきて王宮に元々来る予定だったウニアス様と一緒に案内されることになったみゅ。


アリーナちゃんと王太子殿下に会ったとき一緒にいた王妃様にうふふモフ戦士ちゃん可愛いって言われて満足だけど少し寒気がしたのは風邪でも引くのかみゅ。


ウニアス様……ウニアスちゃんはその後モリターイェルに移住して何故か狼獣人の集落から宮廷魔法使いとして王宮に就職したみゅ。


あの女王陛下から度々帰ってこいといわれてるみたいだけど好きな人がいるから帰らないと言ってたみゅ。

だれみゅ?


ガルフォちゃんは甘い菓子をあきらめて王宮から集落に度々帰ってくるようになったみゅ。

性悪エルフにお前が捕まると困るからなといいながら……


ウニアスちゃんはそんな人じゃないみゅ。

時間があれば対魔法戦闘訓練に付き合ってくれるし今日みたいに食事に誘ってくれたりするみゅ。


「チビワンコ様、玉ねぎ抜きのハンバーグでございます」

にっこりと微笑んで執事さんがお皿を置いたみゅ。

何故かこの人もウニアスちゃんのところに来て暮らしの世話をしてるみゅ。


たぶん嫌味覆面だとお鼻が言ってるけど黙っててあげるみゅ。


「玉ねぎ大丈夫と度々言ってるみゅ」

「御前の大事なペット様ですから」

慇懃無礼な微笑みで執事さんがパンをおいたみゅ。

ウニアスちゃんがお膝抱っこして食事介助(あーん)するから誤解されてるみゅ。

「ペットじゃないよ」

「愛玩動物でしたか? 」

失礼いたしましたと慇懃無礼に執事さんがスープを置いた。


それ言い方変えてるだけだからとウニアスちゃんがため息をついてハンバーグをわたちの口に入れてくれたところでガルフォちゃんが窓から乱入したみゅ。


「てめぇ、よくも! 抜け駆けしたな! 」

「先手必勝だよ、それにキリルは綺麗なエルフ好きだよね」

いきり立つガルフォちゃんにウニアスちゃんがわたちの頭を撫でて笑った。

「す、好きみゅ」

エルフ様グッズあつめるくらい好きみゅ。

「ああ、そうかよ、俺は嫌いなのかよ」

「ガルフォちゃんも好きみゅ」

だって大事な年下の友人……なのみゅ?

「僕は? 」

ウニアスちゃんが耳元で囁いた。

「す、好きみゅ」

背筋がゾクゾクした。

満足そうにウニアスちゃんがわたちの頬にキスした。


見せつけんじゃねぇとガルフォちゃんが騒いだところにデザートを用意した執事さんが来て犬戦士様、愛玩動物の回収ご苦労様でございますとおんぶ紐をガルフォちゃんに渡していつも通り帰る帰らない、返せ返さないの大騒ぎになったみゅ。


ウニアスちゃんが来てから毎日楽しいみゅ。

お母さんとか集落の女性みんながどっちが好きなの? って聞くけどどっちも好きみゅと小首を傾げといた。


そういう意味じゃないのよってお母さんが言ってたけどどういう意味みゅ。

恋人とかよくわからないみゅ。


でもいてドキドキするのは……どっちもみゅ。


えーとワンコ型リュックも新しいの作ってもらったし今度こそお使い完遂するみゅ。


村長〜わたちできるみゅ。

だから行かせてみゅ。

アリーナちゃんの四倍つよくなったみゅ。


それでも弱すぎっていつか村長やっちゃうみゅ。

オリンティアにウニアスちゃんのお父さんにお手紙届けるお使いやるみゅ。


無理じゃないみゅ。

はじめてお使い完遂するんだみゅ。

穴落ちしてもやっちゃうみゅ。


結局、ガルフォちゃんにお使いを取られてふて寝してるところをウニアスちゃんに捕獲されて赤ちゃん抱っこされてるのを執事さんにペット様と呼ばれるストレスがたまる日々。


いつか村長さんも執事さんもみんなまとめてしっぽでペンペンの刑やっちゃうみゅ。

決めたみゅ。


うん、僕も手伝うよ個人的に報復したい奴いるしとウニアスちゃんが耳元で囁いた。

ゾクゾクしながら頑張るみゅと心に誓ったみゅ。


ウニアスちゃんが個人的に報復したい奴ってだれみゅ?

なにはともあれ計画は万全を期して行うみゅ。


その後計画が何故かバレて村長さんに逆にしっぽペンペンされたり執事さんにしっぽがないことに気がついたり頓挫したみゅ。


ガルフォちゃんとウニアスちゃんがじりじりと果たし合いみたいになってたのはどういうわけかみゅ。

お母さんたちがきゃー愛の戦いねと喜んでたみゅ。

ハリセン持ってど付き合いしてるだけみゅ?


今度こそ計画をしっかり立てて報復するみゅ。

ウニアスちゃんみたいにハリセンよういしてたたいてもいいみゅ。


そう思いながら綺麗なエルフ様と精悍な狼戦士の華麗なるハリセンのど付き合いを見てたらお母さんたちに上の空いた携帯簡易檻に入れられてお花で飾られたみゅ。


まさにペットサークルでございますねと執事さんに言われたけど魔法がかかってて入ってるものには動かせないし飛び出せないみゅ。


「キリルは僕のだよ」

「うるせーキリルは俺が一生面倒見るんだ」

二人が引き分けで地面に倒れ伏したのでお母さんたちがかけ不成立ーと嘆いてたみゅ。


ウニアスちゃんがきてから毎日楽しいみゅ。

だからいつまでもここにいてほしいみゅ。


村長はわたちにお使いさせるみゅ。

きちんと最後までやり遂げてみせるみゅ。


集落の木の上で夕日に誓って飛び降りたら子供の掘った落とし穴にはまった。


みゅ〜だれか助けてみゅ〜。

けっこう深くてでられないみゅ〜。


遠吠えしたらウニアスちゃんの優しい魔法とガルフォちゃんの少し荒い手がわたちを出してくれたみゅ。


まったくといいながらガルフォちゃんに服をはたかれたりウニアスちゃんに擦り傷を治してもらったりしながらわたちは思った。


二人とも優しくて大好きだみゅ。

いつか恩返しするみゅ。


そうに告げたらだったら穴落ちするなとガルフォちゃんに怒られウニアスちゃんはそうですかと頭を撫でられたみゅ。

フェロモンはどこいったぁ(泣)


読んでいただきありがとうございます♥

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