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二度あることは
「あなたが先に立って」
雛紅はグランディの手のひらで言う。
「立ってからあなたの頭にのせてもらうわ」
「なるほど。それなら落ちないね」
グランディは雛紅に言われた通り、雛紅を手にのせたまま立ち上がった。
木の幹に頭をぶつけることはなかったし、手のひらを傾けて雛紅を落とすこともなかった。
「じっとしていてよ」
雛紅はグランディの腕を伝って、トコトコとかけ上る。肩にたどり着くと、よいしょとグランディの頭をよじ登り、頭の上に到着した。
「乗ったあ?」
「ええ、今度こそ大丈夫そうね」
「よし出発!」
グランディが歩き出す。が、数歩といかないうちに立ち止まった。
「あ」
「どうしたの?」「落としちゃった」
「え?」
雛紅の胸を嫌な予感が駆け抜ける。
そして、それは的中した。
「落としたマント拾うからちょっと待ってね」
グランディは振り返って、落としたマントに手を伸ばした。身体を腰から曲げる形で。
「待っ! キャーーー!」
頭から滑り落ちた雛紅は、グランディの前髪に必死に掴まりぶら下がった。
「少しは考えて行動しなさーい!」
雛紅の叫び声が、森の中にこだました。