出会いは突然に
その日、龍谷雛紅は機嫌が良かった。
濃い紅色の瞳に赤いほっぺで、毛先が白い紅色の髪の後頭部に、赤とオレンジのグラデーションがかかった大きなリボンを揺らしながら、ぽっくりで器用にぴょんぴょん跳ねて森の中を移動していた。
ぴょんと跳ねるたびにリボンと同じグラデーションの着物と長い帯がはためく。
「ふふふ〜ん。今日はお茶会〜」
良いジャムが出来たからと、雛紅は狐野コンビのお茶会に呼ばれていた。
雛紅はそれを楽しみにしていて、ほぼスキップ状態の跳ね方にもそれが出ていた。
「クワクワ、クワクワ、クワの実ジャムぅ〜」
ぴょんと一段と高く跳ねた時、何かが飛んできて雛紅に被さり、雛紅の目の前が真っ暗になった。
「キャー! な、何!」
飛んで来たのは薄汚れた白色のマントで、雛紅はマントごと地面に落ちる。
「ち、ちょっと、どうなってるの!」
雛紅は外に出ようとマントの中でバタバタ暴れるが、マントは雛紅よりも遥かに大きく、マントの中で泳ぐだけになった。
「ごめんなさい」
誰かの声とともに、マントが引き上げられる。
「きゃあ!」
マントから転がり出た雛紅は地面の上で大の字になった。その雛紅を雛紅より遥かにデカい顔が覗き込む。顔のサイズが雛紅の全身より大きかった。
「大丈夫?」
マントと同じように汚れた白髪で、茶色いトゲのようなくせ毛が、髪の毛全体から飛び出ている。額からは茶色いツノが対になるように二本生えていた。目を閉じているが、眉と目がハの字に下がっていて、雛紅を心配しているのが分かる。
雛紅はあまりの大きさの違いに、ギョッとして目をパチクリさせながらその顔を見ていた。
「大丈夫? どこかケガした?」
反応のない雛紅にもう一度声がかけられる。
「あなた……。誰?」
「私はアマニタ・グランディ」
これが、龍谷雛紅とアマニタ・グランディの出会いだった。