表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Brown  作者: Nostalgicman
8/8

episode 8

「どういう・・・こと?」ザックの口調が変化した


「お前はこの世界の人間じゃない」


「俺は薄々気づいてたんだ。なんでグラルモには誰もいる気配がなかったのに、グラルモの部品は届いたんだ?教科書は100年前に廃止されているのに、なんでおまえが知っているんだ?。それに昨日お前は、あの家が100年前の物であると言ったが、なぜ特定できたんだ?お前はそこで、俺にあの階段を見つけさせるように誘導してた。お前は俺がここへくることが分かっていた、違うか?」


「それは・・・」


「俺もやっと思い出したよ。100年前の戦争で、人類は滅亡している」


「これは、この世界は、全て俺が作り出した幻想だ」


その瞬間、背中にいた彼女から、まばゆい光が発せられ、彼の体を包んだ

     ・

     ・

     ・

「ここ・・どこだろう?」


闇の中で、彼は一人だった


彼は宙に浮いていた


目の前には彼女がいた


「よかった。目が覚めたんだね」彼は笑いかけた


「・・・」


「こわい・・・・こわいの」彼女は震えていた


「大丈夫さ。ここには戦争はやってこないから」


「君、夢の中でずっと泣いていたね。嫌だって言ってたんだ」


「あなた」


「えっ?」


「あなたが怖いの。あなたが私を飲み込んでく」


「!?」


「あなたはわたし、わたしはあなただから」


「あなたの正体を教えてあげる。あなたは100年前グラルモで作られた戦闘用アンドロイド。私はその記憶よ」


「なんだって?」


「あなたは、人間からアンドロイドに改造されたの。あなたの製造は国家機密で、外部へ決して漏れなかった。でも100年前の戦争に、あなたは参加できなかった。なぜだか分かる?」


「?」


「あなたに感情があったからよ。あなたは戦うことを拒否したの。あなたは平和の象徴だった」


「だからあなたは、人間が死んでも生き続けた。ずっと、ずっと、100年もの間」


「その間、あなたの体はさまよい続けた、記憶とはその間に分離したの」


「私はあなたをずっと探していたの。だけど、あなたの思いが強すぎて、見つけられなかった。」


「寂しかったのね。過去を否定してまで、現在を生きようとした」


「あなたのその強い思いが幻を生み出した」


「幻?」


「そう、全てあなたが見せた幻、知らず知らずのうちに、周りも飲み込んでた」


「じゃあ、ザックも?」


彼女は無言でうなづいた


「僕のいた街も?・・・」


「そうか。やっぱりね。知ってたんだ、ずっと」彼は涙を流していた


「だけど、あなたには、自分から過去を見つめる勇気があった」


「あなたは帰らなくちゃ。もとの居場所へ」彼女がゆっくりと遠ざかっていく


「待って!! 行かないで!! 僕を一人にしないで、ああ!!」




「夢から覚めるのはいやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」






ある荒廃した街に、一体のアンドロイドが立っている


100年間ずっと



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ