episode 7
「い・・・や・・だ・・」
「誰?」
「夢・・・さ・・・・や・・だ」
「夢?」
「・・・や・・・・だ」
「そこにいるのかい?」
「待ってよ・・・置いていかないで・・・一人にしないで・・」
・
・
・
「ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」
「はあ、はあ、はあ、はあ、・・・」
また同じ夢でうなされていた。だんだんはっきりしてくる
夢の中で聞いた声を彼は知っているような気がした
階段の底は、広い湖になっていた
そこは、明かりが無いのに、ぼんやりと明るかった
彼女を背負った彼の後を、ザックがただついてきていた
全てが静止したかのように、世界は静かだった
違和感は、前からあった
なぜ、脱出した時に、何も追っ手がかからなかったのか
まるで世界がここにくることを、誘導したかのように
彼は何となく分かり始めていた
世界には、もう人間はいないんじゃないかということを
彼の夢は覚め始めていた
いや、最初から分かっていたのかもしれない
異変を感じたのは今日が初めてではなかった
僕が自ら世界を閉ざした
記憶を奥深くに閉じ込めて
「なあ、ザック?」
「なにぃ?」
「お前、この世界の人間じゃないだろ」